「大黒柱(だいこくばしら)」という言葉は、日常会話の中でたまに耳にしますが、その意味を改めて考える機会は少ないかもしれません。家族や組織の中心的な存在を指すことが多いですが、由来は日本の住文化とも深く関わっているようです。
また、近年では「大黒柱妻」という言葉が登場し、家庭のあり方にも変化が見られるようになりました。そこで、この記事では「大黒柱」について掘り下げていきましょう。
「大黒柱」とは? 意味と役割をわかりやすく解説
まずは、「大黒柱」の意味を確認していきましょう。
「大黒柱」の意味
辞書で「大黒柱」の意味を見ていきます。
だいこく‐ばしら【大黒柱】
引用:『デジタル大辞泉』(小学館)
1 民家の土間と床との境の中央に立てる、特に太い柱。また、建物の中央に最初に立てる柱。亭主柱。
2 家や国の中心となって、それを支える人。「チームの―」
一般的に「大黒柱」というと、家族や組織の中心人物を指します。その場合、経済的な支えだけでなく、精神的な支柱としての意味合いも含まれます。
![家族](https://oggi.jp/wp-content/uploads/2025/01/sAdobeStock_262513813.jpg)
「大黒柱」の由来は?
元々、「大黒柱」とは、民家の中央に立てる最も太い柱のことを指しました。建物の位置が定まったときに初めに立てられる柱でもあります。この意味が転じて、一国・一家の中心となって支える人物を指すようになりましたよ。
「大黒柱」の類語や言い換え表現は?
「大黒柱」という言葉は、場面に応じて適切な言い換えをすることで、より伝わりやすい表現になります。それぞれの言葉が持つニュアンスを理解し、状況に応じて使い分けることが大切です。
屋台骨(やたいぼね)
「屋台骨」は、家や建物の構造を支える骨組みを指す言葉ですが、比喩的に組織や一家を支える重要な存在を意味します。
例えば、会社において「営業部が企業の屋台骨を支えている」といった表現が使われることがあるでしょう。この場合、営業部門が会社の基盤として重要な役割を担っていることを示しています。
![営業部 イメージ](https://oggi.jp/wp-content/uploads/2025/01/sAdobeStock_494728560.jpg)
主幹(しゅかん)
「主幹」とは、組織や団体の中心となる人物のこと。「幹(みき)」という言葉が示す通り、木の幹が枝葉を支えるように、組織の成長や発展を支える存在を表現する際に使われます。特に、学術やメディア、官公庁などの分野で使われることが多く、格式のある表現です。
例えば、「この雑誌の編集主幹を務める」という場合、その人物が編集の中心的な役割を担っていることを示します。また、「企業の経営主幹として改革を進める」といった使い方もあり、組織の中核を成すリーダー的な存在を強調する際に用いられますよ。
主軸(しゅじく)
「主軸」は、組織や活動の中で中心的な役割を果たす要素や人物を指します。「軸」という言葉が含まれているように、物事の基盤となる要素や、中心となって支える存在を示す表現です。「主幹」と比べると、より広い場面で使いやすい言葉といえます。
例えば、「このプロジェクトの主軸は、新技術の開発である」という場合、その技術開発がプロジェクトの核となることを意味します。また、「チームの主軸として活躍するリーダー」といえば、リーダーがチームを支える重要な存在であることを示していますよ。
「大黒柱」の英語表現は?
「大黒柱」に対応する英語表現はいくつかあります。「稼ぎ手」としての大黒柱を示すなら“the (chief) breadwinner”、「頼りになる大黒柱」を示すなら“the mainstay”が使えますよ。以下に例文を紹介しましょう。
例文:She is the mainstay of her family.(彼女は一家の大黒柱だ。)
例文の「mainstay」は支柱となる存在を意味し、家族を経済的・精神的に支える役割を強調しています。
![英語表現](https://oggi.jp/wp-content/uploads/2025/01/sAdobeStock_338273146.jpg)
「大黒柱妻」とは? 現代の家庭観の変化
「大黒柱妻」という言葉は、主に夫より収入が多く、生活費の大部分を負担している妻を指します。この背景には、共働き世帯の増加と家庭内の役割分担の変化があります。厚生労働省のデータによれば、共働き世帯は年々増加傾向にあり、2023年には約1,278万世帯となっています。
これに伴い、女性が家計の主要な担い手となるケースも増えてきました。しかし、収入の多寡にかかわらず、家事や育児の負担が女性に偏る「ワンオペ育児」の問題も指摘されています。このような状況下で、夫婦間の役割交替やバランスの取り方が注目されるようになりました。
例えば、田房永子さんの漫画『大黒柱妻の日常』では、夫と妻の役割が逆転した家庭の日常が描かれ、現代の夫婦関係や家庭内の役割分担について考えさせられます。
このような社会の変化に伴い、各家庭が自分たちに合った役割分担を見つけ、柔軟に対応していくことが求められていますね。
最後に
「大黒柱」という言葉は、家庭や職場での中心的な存在を表す場合もあれば、建築における柱としての役割を指すこともあります。
また、社会の変化とともに、「大黒柱妻」という新たな概念も生まれています。この言葉をどのように使うかによって、伝わる印象が変わるため、状況に応じた適切な表現を選ぶことが大切です。
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