目次Contents
この記事のサマリー
・「自己主張」とは、辞書では「自分の考えなどを言い張ること」とされています。
・「自己主張」が強すぎると協調性を欠き、弱すぎると誤解を招きます。
・「自己主張が強い」という表現は、「判断が明確」などに置き換えることができます。
「自己主張」という言葉には、「意見をはっきり伝える」という前向きな印象がある一方で、「わがまま」などと受け取られるリスクも含まれています。
しかし、「自己主張」は日常のコミュニケーションに欠かせない重要な要素でもあったりしますよね。
この記事では、「自己主張」の意味を辞書で確認し、社会人として知っておきたい「わがまま」との境界線を整理します。実務で役立つ効果的な伝え方のコツまで紹介しますので、ぜひ参考にしてください。
「自己主張」とは?
まずは、「自己主張」という言葉の正しい意味を確認しましょう。
「自己主張」の意味
「自己主張」とは、「自分の意見や考え、欲求などを言い張ること」と定義されています。辞書で確認しましょう。
じこ‐しゅちょう〔‐シユチヤウ〕【自己主張】
[名](スル)自分の意見や考え、欲求などを言い張ること。「―の強い人」
引用:『デジタル大辞泉』(小学館)
この定義からもわかるように、「自己主張」という言葉には、やや強く主張するニュアンスが含まれます。伝え方や場面によっては、相手に強引な印象を与えることもあるため、使い方には注意が必要です。
「自己主張」と「わがまま」の違い
「自己主張」と「わがまま」は、しばしば混同されやすい表現ですが、その本質は異なります。両者の違いを整理してみましょう。
「自己主張」
自分の意見や気持ちを、相手に対して明確に伝える行為です。
例:「会議では、遠慮せずに自己主張することが求められる」
「わがまま」
他人の立場や都合を顧みず、自分の望みを一方的に押し通す態度を指します。自分勝手ともいいますよ。
例:「自分の都合だけで予定を変えるのは、わがままだと受け取られかねません」
このように、意見を伝えること自体は悪いことではなく、相手への配慮があるかどうかが、信頼につながる要素といえそうです。
参考:『デジタル大辞泉』、『日本国語大辞典』、『日本大百科全書』(すべて小学館)

「自己主張」が強い、できないときに起きやすい課題
「自己主張」の強さや弱さによって、職場で起こりやすい具体的な例をもとに、相手に配慮しながらも自分の意見を伝えるための、実践的な工夫とスキルを紹介します。
「自己主張」が強いと言われる行動
「自分の意見をしっかり伝えたい」という前向きな意図があっても、その伝え方や振る舞い方によっては「押しが強い」あるいは「協調性に欠ける」と受け取られることがあります。
具体的には、以下のような行動が「自己主張が強い」と見なされやすい傾向です。
・会話の主導権を一方的に握ろうとする姿勢。
・相手の話を最後まで聞かずに、自分の考えを遮って述べてしまう言動。
・無意識のうちに、話しすぎたり、結論を性急に急いだりする振る舞い。
これらの行動は、相手への尊重が欠けている印象を与えてしまう可能性があります。
「自己主張」ができない人が抱えやすい心理
反対に、「言いたいことがあってもなかなか言えない」と感じている人も少なくありません。その背景には、以下のような繊細な気遣いや不安が隠れていることが多いです。
・「否定されたくない」という恐れや、失敗への不安。
・「場の空気を悪くしたくない」という過度な配慮。
・自分の意見を述べることへの遠慮や、ためらい。
こうした傾向は、繊細さや協調性の表れでもありますが、必要な場面で自己主張ができないと、誤解や自分自身の不満の蓄積につながることがあります。
適切に伝えるためには、まず自分の考えや感情を整理する力が第一歩となります。

上手に意見を伝えるための「自己主張」と、言い換え表現
「自己主張」には「言い張る」という意味があるため、ときに強い印象を与えてしまうことがあります。
ここでは、相手への配慮を保ちつつ自分の意見をしっかり伝えるためのスキルと、実務で役立つ柔らかな言い換え表現を紹介します。
「アサーション」
自己主張を適切に行うためには、心理学でいう「アサーション」の考え方が参考になります。
アサーションとは、自分と相手の両方の立場や感情を尊重しながら、率直かつ穏やかに意思を伝えるコミュニケーションの方法です。
以下は、対話のきっかけを作りたい場面で有効な表現です。
「私はこう考えていますが、いかが思われますか?」
(自分の意見を述べつつ、相手の意見を促す)
「その点について、私の意見も少しだけお伝えしてもよろしいですか?」
(許可を求め、相手への丁寧な姿勢を示す)
こうした言葉は、自分の意見を伝えることに不安がある場面でも使いやすく、会議や報告、相談のシーンで効果的です。
参考:『現代心理学辞典』(小学館)
対立を避けたいときの調整
意見の相違が明らかになった場面では、相手に敬意を示しながらも、立場の違いをやわらかく伝える表現が求められます。ここでは、対立的な印象を回避するための具体的な言葉の選び方を考えましょう。
否定を避ける表現
「それは違います」とストレートに否定するのではなく、「そういう視点もありますよね。私の立場からはこう見えています」と伝えることで、対立的な印象をやわらげることができます。
拒否を協力に変える表現
依頼を断る場面でも、「できません」と突き放すのではなく、「その日程では難しいのですが、〇日であれば対応可能です」と代替案を提示することで、誠実かつ協力的な印象を与えられます。
「自己主張が強い」を前向きに伝える言い換え表現
「彼女は自己主張が強い」という表現は、時として「押しが強い」「協調性に欠ける」といったネガティブな印象を与えかねません。その人の意見の明確さや信念といった長所を正確に伝えるために、以下のようなポジティブな言い換えが有効です。
「彼女は自分の考えを明確に伝えられるため、議論の進行役に適している」
「彼女は判断が明確なので、チームの方向性に迷いが生じない」
「彼女には自分の軸があるため、周囲の意見に流されず、一貫した行動をとる」
このように、具体的な能力や行動に焦点を当てて表現を工夫するだけで、伝わる印象は大きく変わり、相手に安心感や信頼を与えることができるでしょう。
「自己主張」を英語で伝えるとき
「自己主張」に相当する英語表現としては self-assertion が代表的です。また、「自己主張をする」と言いたい場合は assert oneself を使うことができます。
例文:Self-assertion is important in the workplace.
(職場では自己主張が大切です。)
例文:It’s not easy to assert oneself in front of senior colleagues.
(目上の同僚の前で自己主張するのは簡単ではありません。)
参考:『プログレッシブ和英中辞典』(小学館)

「自己主張」に関するFAQ
ここでは、「自己主張」に関するよくある疑問と回答をまとめました。参考にしてください。
Q1. 「自己主張」はネガティブな印象を与えることがありますか?
A. 「自分の意見ばかり押し通す」という印象を与えると、否定的に受け止められることがあります。ただし、相手への配慮を示しながら伝えることで、円滑なコミュニケーションにつながります。
Q2. 「自己主張」と「わがまま」は同じ意味ですか?
A. 「自己主張」は自分の考えをはっきり伝えることで、「わがまま」は他人への配慮を欠いた振る舞いです。
Q3. NGな「自己主張」とはどんな例がありますか?
A. 「相手の話を遮って自分の意見を押しつける」ような言い方は、自己中心的と受け取られるおそれがあります。
最後に
「自己主張」は、単なるわがままとは異なり、自分の考えや立場を正直かつ建設的に伝えるために欠かせない力です。
意見を述べる際も、相手を思いやる姿勢を忘れないことで、誤解や対立のない、よりよい信頼関係を築くことができます。
自己主張することに苦手意識がある方も、伝えるスキルと表現は少しずつ練習を重ねることで必ず向上します。ぜひ、この記事で紹介した境界線と伝え方をヒントに、あなたらしいコミュニケーションを実現してください。
TOP画像/(c)Adobe Stock



