「但し書き」とは?
経費で何かを購入した際、ショップスタッフから「但し書きはどうしますか?」と聞かれて、何のことかわからなかったという経験はありませんか?
「但し書き」とは、内容についての説明や条件を示した文のこと。資料や契約書などに記載されることもありますが、ビジネスシーンでよく使われるのは、領収書の「但し書き」かもしれません。
いずれにしても、ビジネスシーンにおいては重要な意味を持つ言葉ですから、意味だけでなく使い方も把握しておきたいですね。
読み方は「ただしがき」
【但(し)書(き)】
読み方:ただしがき
「但し」の語を書き出しにして、前文の内容などについての説明・条件・例外などを書き添えた文。「契約書の末尾に—を付ける」
『デジタル大辞泉』(小学館)より引用
「但し書き」は、契約書類や一般的な文書などにも登場しますが、上述したように、ビジネスシーンでよく使われるのは、領収書の但し書きでしょう。
領収書の但し書きは、商品やサービスなどの内容を具体的に示すという役割を担います。税制上の控除を受ける際に必要になることもあり、適切な経理処理に欠かせません。領収書の但し書きについては、さまざまな注意点があります。後述で紹介しますので、ぜひチェックしてください。
「但し書き」という言葉の使い方
ここからは「但し書き」という言葉の使い方を紹介します。ビジネスシーンにおいて、この言葉をどのように使うのか、一緒にチェックしましょう。
例文で紹介
《例文1》資料に記載されている但し書きについても、しっかりとお目通しください
打ち合わせ資料や提案書などに但し書きを入れることは多いですが、中には読み飛ばしてしまう人や、気づかずにいるという人もいるものです。但し書きは、前文の補足説明のような役割を担うこともあるため、読み手に目を通すよう口頭で伝えるというパターンも多いでしょう。
《例文2》領収書の但し書きが空欄だったため、もらい直しをしなければならない
領収書の但し書きが抜けているということは、割と起こりがちです。その場合、領収書をもらった人が記入するのはNG。それをすると、文書を改変したことになってしまいます。領収書の発行権限は、代金を受け取った側にのみあるもの。そのため、但し書きも領収書発行側のみができると考えてください。
「但し書き」と似た言葉
ここからは、「但し書き」と似たイメージを持つ言葉を紹介します。但し書きとの違いを把握し、適切に使い分けてくださいね。
「注意書き」
利用者などに対し、安全面などで注意すべきことや警告を喚起するための文章や文書のこと。内容の補足というよりは、注意喚起や警告を意味します。「注意書き」は、但し書きよりも伝える内容の重要度が高いと考えるのがいいでしょう。また、領収書に「注意書き」をすることは基本的にありません。
但し書きと似たイメージのある言葉ですが、意味は異なります。誤用すると誤解を招く恐れもあるため、その点は意識したいですね。
《例文》使用する場合は、別添えの注意書きによく目を通すようにしてください
「断り書き」
前に述べた事柄について、補充・修正・説明などを書き添えること。また、その文のことも指します。読み方は「ことわりがき」。但し書きとほぼ同義とされるため、言い換えの表現として使うこともできるでしょう。
ただし、領収書については「断り書き」とは言わず、但し書きという表現を使うのが一般的。「断り書き」と言っても意味が通じない可能性が高いので、但し書きを使うことをおすすめします。
《例文》内容を明確に把握してもらうために、資料内に断り書きを入れることにした
領収書の「但し書き」、注意点は?
領収書の但し書きについて、注意すべきことを紹介します。領収書を発行する時はもちろん、受領する際も意識するといいでしょう。
上述した「但し書きの記入は、領収書発行側のみができる」ということ以外に、何を注意すべきか見ていきましょう。
事実と合致しているか確認
領収書の但し書きは、支払の内容を明確に示すという役割を担います。そのため、事実と合致する正確な内容を記載しなければなりません。もし、事実と異なることを記載すると、法律違反と取られる可能性が生じます。
領収書発行はもちろん、領収書を受領する際も、内容が正しく記載されているかをしっかりとチェックしてくださいね。
「但し書き」は具体的に
領収書の但し書きには、具体的な品目やサービス内容を記載しなければなりません。但し書きがあいまいだと、経費として認められない可能性があるからです。
2023年にスタートしたインボイス制度により、その重要度は増しています。領収書を発行する際や、領収書を受け取る際は、適切な但し書きになっているかを確認する方がいいでしょう。
たとえば、但し書きを「お品代」と記載しても、何を買ったのかまったくわかりませんよね。「お品代」では経費として計上できない可能性が高いので、避けることをおすすめします。
領収書の但し書きは、業種や企業により異なることがほとんどです。領収書の但し書きで迷う場合は、前もって上司や経費処理担当者、専門家などに確認しておくといいですね。
請求書に「但し書き」は必要?
請求書には、「名目」や「品目」のような項目があります。その項目には、商品やサービスについての詳細を記入するため、ひと目で内容が把握できることがほとんど。そのような請求書であれば、但し書きをつける必要はありません。
もし、商品やサービスの詳細が記載されていない請求書があった場合、基本的には請求書の再発行を依頼することになるでしょう。このことからも、請求書に但し書きは必要ないと言えます。
最後に
「但し書き」という言葉について紹介しました。但し書きは資料や契約書などでもよく登場しますが、ビジネスシーンでよく使うのは領収書の但し書きでしょう。インボイス制度がスタートしたこともあり、領収書の但し書きは、より正しい内容で記載することが求められています。
但し書きの内容があいまいだと、経費で処理することを認めてもらえない可能性がありますので、発行側も受領側も注意しなければなりません。不安な人は、経費担当者や専門家に確認するなどしておくといいですね。
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