目次Contents
この記事のサマリー
・「偏屈」とは、性質がかたくなで素直でないこと。
・偏屈な態度の裏には、恥ずかしがり屋な一面や注目欲求、トラウマが潜むことも。
・偏屈な人との付き合い方は、「聞き役になる・タイミングを選んで話す・距離を取る」の3つが有効。
「ちょっとあの人、偏屈だよね」というセリフを耳にしたことはありませんか? ネガティブに聞こえる言葉ですが、その背景には人それぞれの考え方や心のクセが隠れています。
この記事では「偏屈」という言葉の本来の意味から、偏屈な人の心理、上手な付き合い方、そしてポジティブな言い換え表現までを丁寧に解説します。
「偏屈」とは? 言葉の本来の意味と使われ方
まずは、「偏屈」という言葉が本来どんな意味を持ち、どのように使われるのか、整理しましょう。
「偏屈」の読み方と意味
「偏屈」は、「へんくつ」と読みます。素直でなかったり、ひねくれていることを意味します。辞書では、次のように説明されていますよ。
へん‐くつ【偏屈/偏窟】
[名・形動]性質がかたくなで、素直でないこと。ひねくれていること。また、そのさま。「―な人」
[派生]へんくつさ[名]
引用:『デジタル大辞泉』(小学館)
江戸時代の文献にも「偏屈」という表現が見られます。つまり、古くから「自分の考えを曲げず、他人の意見を受け入れにくい性質」を指す言葉として使われてきたのです。
現代での使われ方と印象
「偏屈な人=頑固で扱いづらい人」という印象で語られることが多いものの、使う場面やトーンによってニュアンスは変わります。
例えば、職場で「○○さんはちょっと偏屈だけど、信念がある人だよね」と言えば、「柔軟ではないが、ブレない人」という尊敬を含む言い方にもなります。
一方で、相手の意見を頭ごなしに否定するような態度に対して使うと、強い批判の意味を帯びることも。
このように、「偏屈」は文脈次第でプラスにもマイナスにも転ぶ言葉です。使う側・受け取る側の関係性や距離感を意識することが、誤解を避けるコツといえるでしょう。

「偏屈」な人の特徴と心理的背景
「偏屈な人」と聞くと、少し距離を置きたくなるかもしれません。しかし、その態度の裏には、他人とうまく関われない理由があることも。ここでは、行動の表れ方や心理的な背景をわかりやすく解説します。
自己中心的に見える人の内面
「偏屈な人」は、自己中心的で扱いづらいと思われがちです。しかしその多くは、他人を否定したいわけではなく、「むやみに周囲に合わせたくない」「流されたくない」という強い自立心を持っていたりします。
例えば会議で多数派の意見に反対する人も、「自分の意見を通したい」よりも、「安易な同調で誤った結論に進みたくない」という思いから発言している場合があったります。
周囲からは頑固に映っても、本人にとっては「自分の信念を曲げないための自己防衛」。その態度の根底には、他人に流されずに考えたいという誠実さが隠れている場合もあるでしょう。
プライドの裏にある不安
「プライドが高い」「謝らない」などの特徴も、偏屈な人によく見られる傾向です。しかしその根底には、「自分が認められないことへの恐れ」や「自信のなさ」が潜んでいる場合があります。
完璧であろうとするほど、人は弱さを見せられなくなるもの。その結果、意見を曲げられない・謝れないという形で表れてしまうのです。
こうした心理を理解して接すると、偏屈な人にも少し優しくなれるかもしれません。
素直になれない人のトラウマ
偏屈な人の中には、過去の人間関係で傷ついた経験を持つ人もいます。「否定された」「裏切られた」などの記憶が、素直さを封じ込めてしまうのです。
例えば、褒められても「裏があるのでは?」と疑ってしまうのは、信じることで再び傷つくのを恐れているから。その背景にある痛みを理解することが、関係をスムーズにする第一歩です。
「偏屈」になる心理的な原因は?
偏屈な態度の裏には、感情のこじれや自意識の高さなど、さまざまな心理的要因が関係しています。ここでは、人がなぜ偏屈になってしまうのかを心理面から考えていきましょう。
恥ずかしがり屋が生む「逆行動」
意外かもしれませんが、偏屈な人の中には「恥ずかしがり屋」が多いといわれています。褒められると照れてしまい、ついそっけなく返す…。「ありがとう」と言いたくても、心の防御反応が先に立ってしまうのです。
こうした「照れ隠しの裏返し」の行動は、いわば大人の「ツンデレ」。可愛げを持ちながらも、少し不器用なコミュニケーションの一形態といえるでしょう。
注目欲求と逆張り発言
周囲が「これ、いいよね!」と盛り上がっている時に、あえて「自分はそう思わない」と言う人。このタイプも偏屈に見られがちです。
背景には「注目されたい」「特別でありたい」という承認欲求があります。SNSなどで「逆張り発言」をする人も、同じ心理構造を持つことが多いです。
つまり、反発心のようでいて、実は「認めてほしい」という願いの表れでもあるのです。

「偏屈」な人との上手な付き合い方
人間関係のストレスを軽くするためには、相手を理解したうえでの距離感が欠かせません。ここでは、偏屈な人と無理なく関わるための3つのポイントを紹介します。
まずは「聞き役」になる
偏屈な人は、他人に指摘されることを嫌う傾向があります。無理に反論せず、まずは相手の話を「そう感じたんですね」と受け止める姿勢を意識してみましょう。
例えば職場で意見がぶつかったとき、「そういう考え方もありますね」と返すだけで、相手の態度が和らぐことも。「聞く力」は、どんな性格の人にも通じる最強のコミュニケーションスキルです。
正しいタイミングで意見を伝える
偏屈な人に意見を伝えるときは、感情的な場面を避け、冷静なタイミングを選ぶのがポイントです。会議中や周囲がいる前で反論すると、相手のプライドを刺激してしまうこともあるでしょう。
時間を置いて、落ち着いた雰囲気の中で「さっきの件、もう少し聞かせてください」と切り出せば、建設的な話し合いに変わる可能性も。相手の「顔を立てる」配慮が、円滑な関係を保つ鍵です。
距離を取る勇気も大切
どんなに努力しても、相性の合わない人はいるもの。ストレスを感じる場合は、思い切って一定の距離を取るのも大切です。
職場では業務的な関わりだけにとどめ、プライベートでは無理に付き合わない。「自分を守ることも優しさのひとつ」と考えて、線引きをしておきましょう。無理に「いい人」を目指さなくても大丈夫です。

「偏屈」をポジティブに言い換える
「偏屈」という言葉をそのまま使うと、どうしてもネガティブな印象になりがち。ここでは、同じ意味をやわらかく伝える表現を紹介します。
ポジティブな類語・言い換え例
「偏屈」という言葉の代わりに、「自分の考えを大切にしている」「独自の価値観を持つ」などの表現を使うと、ぐっと印象がやわらぎます。
例えば「彼は偏屈だ」よりも、「彼は自分のスタイルを貫くタイプだ」と言う方が、ポジティブに伝わりますよね。言葉を少し変えるだけで、相手を尊重するニュアンスが加わるのです。
英語で表すと?
英語で「偏屈」に近い表現には “stubborn”(頑固な)、“eccentric”(風変わりな)などが挙げられます。
参考:『プログレッシブ和英中辞典』(小学館)
「偏屈」に関するFAQ
ここでは、「偏屈」に関するよくある疑問と回答をまとめました。参考にしてください。
Q1. 「偏屈」と「頑固」は同じ意味ですか?
A.「頑固」は自分の態度や考えを改めようとしないことを指します。「偏屈」は素直でないことを指します。
Q2. 「偏屈」と「こだわりがある」はどう違う?
A. 「こだわり」はあることに執着しつつも、そのことは譲れないという気持ちのことです。「偏屈」は他と同調しないことを指します。
参考:『日本国語大辞典』(小学館)
Q3. 「偏屈」を使うときの注意点は?
A. 面と向かって指摘するのは、控えましょう。
相手を批判している印象を与えかねません。
最後に
「偏屈」な人の特徴や付き合い方は理解できましたか? 素直に感情表現することが苦手な「偏屈」な人は、身近にいると困った存在かもしれません。自分がストレスを感じないよう、上手な付き合い方を身につけられたらいいですね。
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