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「所変われば品変わる」とは?
「所変われば品変わる」とは、地域が変われば風習や文化、好まれるものが異なるという意味のことわざです。暮らし方や考え方の違いを柔軟に受け入れる姿勢を表しています。
ここでは、ことわざの意味や使われる場面について解説します。
ことわざの意味
「所変われば品変わる」とは、地域により、その土地ごとに風俗や習慣が異なるという意味です。
人々の暮らし方や価値観は地域ごとに多様であり、1つの基準で判断できないことを示しています。
また、「自分の常識がほかの人の常識とは限らない」という戒めの言葉としても使われ、異なる環境や文化を尊重する大切さを表すことわざです。
所変われば品変わる
出典:小学館 デジタル大辞泉
土地が違えば、風俗・習慣なども違う。
使われる場面
「所変われば品変わる」は、旅行や転勤などで新しい土地に移ったとき、その土地ならではの習慣や価値観に触れた場面でよく使われる表現です。
たとえば、食文化や言葉づかい、挨拶の仕方が異なることに気づいたときに「所変われば品変わるものだ」と表現します。
また、ビジネスの場でも、地域ごとの商習慣や価値観を理解する姿勢を示す際に用いられます。多様性を認める柔軟な考え方を伝える言葉といえるでしょう。

「所変われば品変わる」の例文
例文を知ることで「所変われば品変わる」の使い方について理解が深まるはずです。いくつかの例文をみていきましょう。
・地域によってビジネスの慣習や価値観が違うのは、まさに「所変われば品変わる」ということだろう
・東京と地方では意思決定のスピードに差があり「所変われば品変わる」と実感している
・海外の取引先との交渉を通じて文化の違いが大きいことを知り「所変われば品変わる」という言葉の意味を理解した
・同じ業界でも地域によって顧客のニーズが異なり「所変われば品変わる」という考え方が大切になる
・本社と支店で仕事の進め方に違いが見られ「所変われば品変わる」ことを改めて認識した
「所変われば品変わる」と似たことわざ
「所変われば品変わる」と似た意味を持つことわざに、次のものがあげられます。
・郷に入っては郷に従え(ごうにいってはごうにしたがえ)
・難波の葦は伊勢の浜荻(なにわのあしはいせのはまおぎ)
いずれも「所変われば品変わる」と同じく、土地ごとに異なる風習や習慣を尊重する大切さを教えています。
それぞれの意味や例文をみていきましょう。

郷に入っては郷に従え
「郷に入っては郷に従え」は「ほかの土地に行ったら、その土地の風俗や慣習に従うのが賢明である」という意味のことわざです。
自分の常識を押し通すのではなく、周囲の文化や価値観を受け入れて行動する柔軟さを示しています。海外旅行や転勤、転校などで、新しい環境に入る際によく用いられる傾向に。
ビジネスでも、相手先の文化や企業風土を理解して対応する姿勢が大切だという教訓を含んでいることわざです。
〈例文〉
・海外支社での会議では、まず現地の習慣を学ぶことが大切だ。まさに「郷に入っては郷に従え」である
・転職先では前職のやり方にこだわらず「郷に入っては郷に従え」というように、まずは新しい会社の社風に合わせることが重要だ
難波の葦は伊勢の浜荻
「難波の葦は伊勢の浜荻」とは「場所が変われば呼び名や形も変わる」という意味のことわざです。大阪では「葦」と呼ばれる植物が、伊勢では「浜荻」と呼ばれることをたとえにしています。
同じものでも土地によって見方が異なり、地域の違いを受け入れる必要があることを示しています。「所変われば品変わる」とほぼ同じ意味で使われる言葉です。
〈例文〉
・地域によって同じ商品でも好まれる特徴が異なるのは、「難波の葦は伊勢の浜荻」といえる
・この地方の特産品は地元では人気だけど、他県ではあまり売れていない。まさに難波の葦は伊勢の浜荻だ
「所変われば品変わる」の反対の意味のことわざ
「所変われば品変わる」と反対の意味を持つことわざには、次のものがあります。
・阿波に吹く風は讃岐にも吹く(あわにふくかぜはさぬきにもふく)
「どこに行っても本質は同じ」という考えを表すことわざです。意味と例文を解説します。

阿波に吹く風は讃岐にも吹く
「場所が違っても、同じような出来事や考え方は存在する」という意味のことわざです。
四国の隣り合う地域、阿波(徳島)と讃岐(香川)で吹く風は同じということをたとえにして「地域が変わっても本質は変わらない」ことを示しています。
世の中の道理や出来事の本質は、場所は違っても共通しているという教えです。
〈例文〉
・どの会社に行っても人間関係の悩みは似たようなものだ。まさに「阿波に吹く風は讃岐にも吹く」である
・どこの地域でも景気の影響を受ける業種は似ており、「阿波に吹く風は讃岐にも吹く」といえるだろう
「所変われば品変わる」の意味を覚えよう
「所変われば品変わる」ということわざは、地域や環境が変われば、文化や考え方、価値観も異なることを表しています。自分の常識だけで判断せず、多様な違いを受け入れる姿勢を持つことで、人間関係や社会生活がより円滑になることを示すことわざです。
ビジネスの場では、地域性や相手の文化を理解し、状況に応じた対応をとることが信頼関係の構築にもつながります。
「所変われば品変わる」の意味とともに、似た意味や反対の意味を持つことわざも、覚えておくとよいでしょう。
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