中本悠太「演技には発声がいかに大事なのか、気づけた瞬間でした」
映画『スペシャルズ』(3月6日公開)は、過去に「ダンス経験がある!? ⋯」という理由で集められた、伝説の殺し屋・ダイヤら〈孤高のプロの殺し屋たち〉が裏社会のトップ・本条会のクセ者親分が必ず訪れるダンス大会での暗殺をもくろみ、チームを組んで大会の出場を目指すことになるダンスアクション・エンターテインメント。
今回は、桐生役を演じた中本悠太(NCT)さんにスペシャルインタビューを敢行。『スペシャルズ』の撮影秘話や最近始めた習慣まで等身大にたっぷり語っていただきました。取材メモ付きでお届けしますのでお見逃しなく!

――『スペシャルズ』は、本格的なアクションシーンも見どころのひとつ。映画の公開に先立って解禁された予告映像では佐久間大介さん、青柳翔さんとの銃アクションが話題になっています。アクションは過去にも経験されていますが、今回の感想やこだわりを教えてください。
自分で言うのもなんですが、映画『HiGH&LOW THE WORST X』でアクションに初挑戦したときにすごく褒めていただいたんです。自分でも手応えを感じていたので、今回の銃アクションのシーンも「よし、やるぞ!」と気合十分で挑みましたが、ここまで違うのかというくらい別物の感覚でした。僕はマイクを持つときに指が上がる癖があるのですが、それがここでも出てしまって…しっかり銃を握らないとサマにならないんです。演じる桐生は一流の殺し屋という設定なので、そういう小さな綻びが出ないよう徹底しました。
苦戦したことで言うと、動作にリアリティを出したくても本当に弾を撃つわけにはいかないじゃないですか。だから、弾が放たれてから0.何秒でどうやって避けるべきか、その距離の取り方も想像でやらないといけないのがすごく難しかったです。いろんな角度からかっこよく撮ってくださったのですが、「こうしておけばよかったなぁ」という反省はありますね。
――『スペシャルズ』では、NCT、NCT 127での音楽活動とは違うジャンルのダンスパフォーマンスを披露されていますが、いかがでしたか?
NCT 127はK-POPの中でもすごく個性が強く、“いかに絶妙に崩すか”にこだわっているチームなんです。だから、パフォーマンスのときも少し首の角度をつけたり、ニュアンスを足してみたり。でも、今回はそういう個性をなくす必要があったから、佐久間(大介)くんとも「いかに自分を出さずにストレートに忠実に踊るかが大事だよね」という話をしました。普段とは真逆のダンスに少し気恥ずかしさを感じながらも、楽しくやらせていただきました。
あと、ラーメンを食べながらや街を歩きながら踊るコミカルなシーンもあるのですが、すごくテンポがよくて楽しかったんです。その日の撮影は結構待ち時間もあったのでみんなで過ごして和気藹々とした空間でした。ラーメンのシーンのためにみんなでご飯を抜いてきて替え玉していたら、撮影終わる前に「ラーメンもうないよ~」と言われてしまったり、湯気はCGで足すかもしれないから、と少しぬるいラーメンだったり、そのどれもが本当に思い出になっています。

――『スペシャルズ』でのダンスシーンの撮影は、普段のアーティスト活動で MVを撮るのとは感覚的な違いはありますか?
ありますね。桐生は“一匹狼で群れることを嫌う孤高の殺し屋”。桐生がダンスを好きだった昔の気持ちを徐々に取り戻していく様子やみんなと踊る楽しさを演技だけではなくダンスでも表現できたので、そこはよかったかもしれません。最初はダラダラと踊っていた桐生がノリノリで踊るようになる過程も観てほしいです。もしかしたらある意味彼らしくないのかもしれないけど、それぐらいみんなとダンスした時間の中で心が動いた感覚が芽生えましたね、僕としても。
――今回の役づくりはどのようにされたのか教えてください。
言葉数が多い人じゃないので表情で感情を見せる必要がありました。中でも一番気持ちが入ったのはお母さんとのシーン。笑顔の桐生が見られる唯一のシーンだから、演じている僕もグッと込み上げるものがありましたね。彼の細かい背景は台本になかったのですが、お母さんを大事にする人だし、根から悪い奴ではないと思うんです。第一印象は悪いだろうと思いますが、実は義理堅く大切にしたい人にはとことん尽くすタイプだと思ったので、演じるときもそこを意識しました。
――衣装やビジュアルの部分など、ご自身の意見が反映されたところはありますか?たとえば、いつもタンクトップ姿の桐生ですが、悠太さんご自身もタンクトップをこよなく愛しておられますよね。
そこは僕からの提案ではなかったです(笑)。監督や衣装チームと話し合った結果、若い殺し屋で少し生意気っぽいところもあって、自分とかぶる雰囲気もあったのでそこは生かしていきたいねと。「ちょっと悠太くんっぽさもあっていいんじゃない?」とおっしゃっていただき、タンクトップを衣装で着用することになりました。僕好みのタンクトップでしたよ(笑)。いくつか着用した中でも僕は黒いタンクトップと、佐久間くんとETの名シーンのポーズをオマージュするときに着た白のタンクトップが好きでした。

――映画のストーリーのように、最初は乗り気ではなかったもののやってみたらハマったことや気持ちが大きく動かされた経験を教えてください。
最近、新しい習慣を3つ始めたんです。まず日光を浴びること。朝起きてすぐ携帯電話を触らずに日光を浴びてとにかく笑う。それだけで1日の始まりがすごくハッピーな気持ちでスタートできるんです。その後に必ずヨガをやる。このとき、呼吸を意識することが重要です。ソロ活動をして、ひとりで何十曲を歌うのは本当に大変だと実感したんです。ロックをやっているのでこれはやばいぞと思って、呼吸から見直している真っ最中。人って緊張すると呼吸が浅くなって余計に緊張しちゃうこともあるので、いかに自然体で深い呼吸ができるかにこだわっています。
あともうひとつは今年から日記を始めました。今、流行っている5年や10年書ける日記を知っていますか?僕は3年日記を買って、毎日感じたことを書き留めています。過去に自分がどんなことを考えていたのか、1年後、2年後に見返したら面白そうだし、とりあえずやってみようかなと。
――朝も夜もルーティンがしっかりあるってことですよね。
そうですね。朝は食べるものも決まっていて、R-1ヨーグルトにバナナ、ブルーベリー、グラノーラ、はちみつを入れて食べています。ソロを始めてからメンタルを崩さず健康でいようと思うようになりました。いろんなものをひとりでやらないといけないし、僕が崩れちゃうとみんなも崩れちゃう。そんな状況になって、チームでは感じなかったプレッシャーも感じるようになったんです。まずはパフォーマンスどうこうの前にセルフメンタルケアをできるよう日々自分と向き合っています。感じるプレッシャー以上の達成感もあるから頑張れていますね。
――朝、日光を浴びるとやはり違いますか?
(関西弁のイントネーションで)朝に太陽を浴びると全然違います!今、ほんまに関西弁だった(笑)。でも、本当におすすめで皆さんも毎朝15分ぐらいしっかり浴びてみてください。
――『スペシャルズ』にかけて、ご自身にとって特別なものを教えてください。
やっぱりステージです。ステージをこれからもやっていくことが、スペシャルなこと。ありがたいことに武道館公演もやらせてもらいましたが、心の底から自分が満足いくパフォーマンスをやりきれたかというとそうではなくて…。でも、僕のことを応援してくれる方、僕の音楽が好きで来てくれる人たちがいるおかげで公演が成立しているわけです。うまくいかなくてもまたチャンスをいただける環境って特殊でスペシャルなことだと思うからこそ、やり続けなきゃという責任感も持っています。そんな環境でやらせてもらえている自分は本当に己のやることに全力を尽くさないといけない。正直、ソロを始めるまではそんなことまで考えられていなかったんです。

――ソロでの活動で視野が広がった感覚はありますか?
めちゃくちゃ広がりましたね。自分の中で大きいきっかけになっているかもしれません。ソロを始めたことでまたチームの大切さにも改めて気づけたし、昨年、一昨年とはガラリと考え方が変わりました。以前の僕だったら、「自分の溜まっているものをソロで出しています」とちょっと生意気に答えたと思うんです(笑)。今だとできないだろうと思うこともありますし、この経験を経て気づけたことも多い。チームもソロもある中でどうアプローチしていくか、環境づくりをどうしていくかが今の課題です。
実は僕はアウェイの環境に身を置かれたときのほうが強いのかもしれないと思うんです。『SMTOWN LIVE 2025-26 in FUKUOKA』でソロパフォーマンスを披露した際もアウェイではないけれど、僕の曲を知らないかもしれない人たちがいっぱいいる中で思いっきりやりきった。すごく盛り上がってくれましたし、パフォーマンス後は気持ちよかったです。ソロのライブとはまた違った楽しさがありました。
――役者として演技するときと、アーティストとしてパフォーマンスやMVの撮影で演じるとき、感覚や気を配るポイントに違いがあれば教えてください。
僕はアーティスト活動をしているときは、いかにかっこよく、きれいに見せるかに重点を置いているのでこの角度で撮られていたらいい絵が撮れているなとか、この照明で今日はこういうところで撮るのか、カメラはこうか、と見れば大体どうすべきかわかるんですよ。だから、『スペシャルズ』の現場を経験するまでは自分のその感覚を頼りにしてきた。もちろん、役づくりの上で感情を乗せる必要はあるけれど、結局はカメラで撮られていて、完成したものを見るときはカメラで撮ったフィルムなのだから、自分のきれいな顔の角度やどう振る舞えば魅力的に映るかは、アーティスト活動で培ってきた感覚でやろうと思っていたんです。
でも、今回『スペシャルズ』で素晴らしい先輩方とご一緒させていただく中で、本当に空気で持っていかれるってこういうことかと改めて学ばせてもらったんです。セリフひとことでこんなにドスが効くんだ、と。低音が上手なPAさん(音響スタッフ)を連れている本格ロックバンドぐらい訴えてくるものがあるというか、こういう感覚なんだ!と肌で実感させてもらいました。
自分の知らないアプローチの仕方や台本の読み方がもっとあるんだろうなと知りたくなりましたし、もっと本音を言うと、アーティスト活動と並行しながらの撮影で十分に時間が取れない中で撮りきらなきゃいけなかったので、アーティストの活動をセーブして俳優として演技に集中してみたいという気持ちも芽生えました。自分の中にあるものを引っ張り出して延長線上でやっていたことが、小手先だけでやっているということになるのか、それとも画としてはきれいだからある意味正解なのか、どうなんだろうみたいな疑問もあって。そこはまだ自分の中での正解は出ていないけど、そういう感覚を新しく持つことができました。難しいですよね。僕がそう思っていなくても、そう見えているときもきっとあるじゃないですか。アーティスト活動でもそういう葛藤は多いから難しいな、奥深いなと思います。
クランクイン直前までソロツアーをやっていたから、「髪型は変えられません」と一丁前のことを言ったんです。心の奥底で“アーティストが本業だから”みたいな考えが正直あった。昨年、一昨年は実は一番尖っていた時期で、フラストレーションが溜まって「いや、俺のやりたいことをやるんだ」という思いが強かった時期でした。あのとき、髪型は変えられませんと言ってしまいましたが、そうじゃないよなぁと気づくきっかけをもらいましたね。
――先輩方に囲まれて学びも多い現場だったようですが、撮影中の印象的なエピソードを教えてください。
冒頭で椎名桔平さんから「報酬を出すから殺しをやってくれ」と頼まれるカットで、“登場シーンで桔平さんを超えてくれ”という監督のリクエストがあったんです。ただ座っているだけで画が持つ桔平さんとガッツリとセリフを言ったのに飲まれる僕のこの違いはなんだろうと思ったし、小沢(仁志)さんのドスの効いた声や目力に初めて対面したときにも飲まれてしまった自分がいて。そこでは自分を強く見せようと思っていることさえも見透かされているような感覚になって、そんな経験は初めてでしたね。まるで領域展開されているみたいでちょっと怖かったです。

――役者として今後挑戦してみたい役柄は?
クレイジーな役をやってみたいです。これまで口数が少ない役が多かったので、セリフが多い役をやってみたい。『スペシャルズ』を経験して、演技には発声がめちゃくちゃ重要だと感じたんですよ。桔平さんと小沢さんの演技を間近で学ばせてもらって、声帯をどれだけしっかり閉じた状態で話せるか、声の出し方から違うんだとすごく感じました。真似しようにもなかなかできないんですよ。それは歌も一緒で、大きい声になると感情って伝わりにくくなるんです。でも、それを消さずにある程度の声量で歌えるのは練習や経験の積み重ねなんだと思います。結構マニアックな話ですけどね。
――すごい視点ですね。アーティストを真摯にやってきた悠太さんだからこその気づきで面白いです。
おふたりは意識していないかもしれませんが、僕はずっと歌でいかに振動させて伸ばすかをすごくやってきたから、声や音に敏感なんです。どう出しているんだろうという点にまず目がいくんですよ。だれかのコンサートを観に行っても、どういう音をPAさんに伝えているのか、なぜこんなに低音が鳴っているんだろうとそういう部分に意識がいってしまうので、ちょっと職業病かもしれないです(笑)。
――最後に同世代の多いOggi読者に『スペシャルズ』の見どころを教えてください!
こんなダンスアクションエンターテインメントってなかなかないと思うし、何よりこの映画のスピード感が僕はすごく好きなんです。アクションもダンスもやるし、時に笑えて泣けて、青春っぽさもある、すべてがこの作品に詰まっています。テンポよいストーリー展開もポイントだと思うし、リズミカルだけど見せ場がいろいろあって、だんだん5人が変わっていく様子もしっかり描かれています。ラストシーンも僕めちゃくちゃ好きで、たくさんの人にご覧いただきたいなと思います!

【取材メモ】
・撮影は10分の予定だったのですが、表情豊かに素敵なカットを連発してくださる悠太さんのおかげで、時間を余して終了。インタビューの中でも出てきた、長年のアーティスト経験で培った撮影ノウハウとプロフェッショナルな振る舞いを感じられ、スタッフ一同グッと惹きつけられました。
・とにかく飾らずに思いを言葉にして伝える姿が好印象でした。ひとつのことを説明するにも、いろんな角度からたとえてくれたり、聞く相手を思いやる優しさに溢れた人だと感じました。
・ダンスの振りを実際にやって見せてくれたり、「領域展開!」とポーズつきで披露してくれたり、身振り手振りを交えて話してくださる姿が印象的でした。
・テンションが上がると時々関西弁のイントネーションになっておられたのですが、「朝に太陽を浴びると全然違います!」で思いっきり関西弁になり、照れ笑いする姿も。
・もしこの先、続編ができるとしたらこんなストーリーがいいとファンタジー要素強めの案を楽しそうに話す悠太さんでした。
『スペシャルズ』3月6日公開
【STORY】
過去に「ダンス経験がある(⁉)」という理由で集められた、伝説の元殺し屋のダイヤをはじめとするプロの殺し屋たち。裏社会のトップに君臨する組⻑が孫娘の応援のために必ず訪れるダンス⼤会に出演して、暗殺を実⾏するという計画がスタートするが、集められた殺し屋たちはド素人ばかり。仕方なくダンス教室に通い始めるが、ことごとく問題を起こして破門される。そこにダイヤが働く養護施設で暮らすダンス少⼥・明香が救いの手を差し伸べた。最初はいがみ合っていた殺し屋たちも次第にダンスの魅力に目覚め、いつしか<スペシャルな5人>のチームへと。ダンスも成長を遂げ、本気でダンス大会出場への情熱を燃やし、あとは暗殺ミッションに挑むだけであったが…。
【STAFF&CAST】
原案・脚本・監督:内田英治
出演:佐久間⼤介(Snow Man)、椎名桔平、中本悠太(NCT)、⻘柳 翔、⼩沢仁志、羽楽、前⽥亜季、 平川結月/⽮島健⼀、六平直政、⽯橋蓮司
主題歌:Snow Man「オドロウゼ!」(MENT RECORDING)
製作幹事:HIAN
配給:エイベックス・フィルムレーベルズ
(C)2026『スペシャルズ 』フィルムパートナーズ
撮影/尾崎玲央(PEACE MONKEY) 構成/佐々木怜菜、岡野亜紀子



