鳴かぬなら鳴かせてみせようホトトギスの意味は?
「鳴かぬなら鳴かせてみせようホトトギス」とは、江戸時代に執筆された平戸藩主・松浦静山の随筆『甲子夜話(かっしやわ)』に記されているとされる歌で、一般的に豊臣秀吉の才覚を端的に表現したものといわれています。
機転が働き、人心掌握に優れていた秀吉なら、鳴かない鳥を鳴かせることくらいは簡単なことだったのかもしれません。教科書や参考書などにも記載されている歌のため、なんとなく知っているという方も多いでしょう。日常会話でも次のように使われることがあります。
・課長が私たちの企画に対してOKを出してくれない。「鳴かぬなら鳴かせてみせようホトトギス」の気持ちで、うまくプレゼンして承認してもらおう
・もう3年も彼に告白しているが、よい返事はもらえていない。「鳴かぬなら鳴かせてみせようホトトギス」と、あの手この手でアプローチしているが、思うようにはいかないものだ
文献によっては「鳴かぬなら鳴かせて聞こうホトトギス」と記載されていることもあるようです。いずれにしても、秀吉は「他人の気持ちを思いどおりに動かす人物」として表現されている傾向にあります。
鳴くまで待とう時鳥
出典:小学館 デジタル大辞泉
機が熟するまで辛抱強く待とう、の意。徳川家康の性格を表現した句「鳴かぬなら鳴くまで待とう時鳥」から。これに対し、「鳴かぬなら殺してしまえ時鳥」が織田信長の、「鳴かぬなら鳴かしてみしょう時鳥」が豊臣秀吉の性格を表現しているとする。

「鳴かぬなら殺してしまえホトトギス」の意味は?
織田信長は「鳴かぬなら殺してしまえホトトギス」と詠んだともいわれています。鳴かないホトトギスに腹を立て殺してしまえ」と極端な反応を示している様子は、信長の短気さを端的に表現した歌といえるでしょう。
・あの先生に限って宿題忘れを見逃してくれるはずはない。「泣かぬなら殺してしまえホトトギス」とばかりに叱られるのが目に見えている
・彼女の性格は、簡単に言えば「泣かぬなら殺してしまえホトトギス」だ。問答無用で話し合いの余地がない
「鳴かぬなら鳴くまで待とうホトトギス」の意味は?
「鳴かぬなら鳴くまで待とうホトトギス」は、徳川家康が詠んだとされています。信長とは対照的な気の長さ、また、粘り強い忍耐力などを表現した歌といえるでしょう。
・職場環境改善のための献策を入社以来続けているが、色よい返事はもらえていない。「鳴かぬなら鳴くまで待とうホトトギス」の心境で、改善されるまで訴え続けていく所存だ
・去年彼女にラブレターを渡したが、何の反応もない。「鳴かぬなら鳴くまで待とうホトトギス」というから、粘り強く待とうと思う。
待ったところでホトトギスが鳴くとは限りません。それでも待つのが家康らしさ… といったところなのかもしれません。
「鳴かぬなら… 」は誰が言った言葉?
「鳴かぬなら…」の句は、19世紀前半に記された『甲子夜話』中の歌という説が広く知られています。しかし、18世紀末~19世紀初頭に記された『耳嚢(みみぶくろ)』が初出という一説も。
『耳嚢』は江戸時代の旗本・根岸鎮衛(やすもり)による随筆集で「鳴かぬなら… 」の句を「古い話なのか作り話なのか知らないが」と断りを入れて紹介しているとか。
『甲子夜話』も『耳嚢』もいずれも江戸時代に記されたことから、家康を持ち上げるための印象操作という見方もあるようです。当時も現在も信長・秀吉・家康の三英傑に会った人はいないため、実際の性格については推測の域を出ません。
「鳴かぬなら… 」で大喜利!
真偽のほどはともかく「鳴かぬなら… 」は多くの人々に知られたフレーズです。鳴かないホトトギスに対してどのように対応するか、三英傑とは異なるアプローチでさまざまなアイデアが語られてきました。
「泣かぬなら…」大喜利。ぜひ参加してみてください。

鳴かぬなら鳴かぬのもよしホトトギス
『耳嚢』では、ある歌会で三英傑が詠んだ句としてホトトギスの歌を紹介しています。この歌会には連歌師の里村紹巴(じょうは)も参加したとし、紹巴の句として以下を紹介しました。
・鳴かぬなら鳴かぬのもよしホトトギス
ホトトギスを鳴かせることを前提に歌を詠んだ三英傑とは異なり、「鳴かないのもよいではないか」と大らかに構えた歌です。多様性が尊重される現代に通じた歌ともいえるでしょう。
鳴かぬなら鳥屋にやれよホトトギス
一方『甲子夜話』では、詠み人知らずとして次の句を紹介しているとされます。
・鳴かぬなら鳥屋にやれよホトトギス
江戸時代の鳥屋の位置づけが不明のため解釈はさまざまですが、鳥屋が現在のペットショップと似た場所であれば「泣かないホトトギスなら返品しろ」といったニュアンスでしょうか。また、鳥屋が鳥を育成する場所なら「鳴かないホトトギスは専門家に任せて、うまく泣くようにしろ」といったニュアンスかもしれません。
鳴かぬなら努力を見せろホトトギス
努力第一主義の方なら「鳴かぬなら努力を見せろホトトギス」という句も共感するかもしれません。鳴けないホトトギスに「無理にでも鳴け」と言うつもりはないけれども、せめて鳴こうとしている努力だけでも見せてほしいといったところでしょう。
鳴かぬなら手本を見ようよホトトギス
鳴き方がわからないホトトギスの場合、努力をしても方向性が間違っている可能性があります。正しい鳴き方を身に着けるためにも、まずは手本を見ることが大切でしょう。努力が無駄にならないためにも、適切な手本が必要です。

固定観念を疑ってみよう
「鳴かぬなら…」は信長・秀吉・家康の性格を表した句とされていますが、もしかしたら「家康だけが大将にふさわしい」といった印象操作のために作られた句の可能性もあるよう。
固定観念を疑ってみることで、新しい解釈が生まれることもあります。実際の性格はどうだったのか、想像してみるのも面白いかもしれません。
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