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「夢のまた夢」という言葉には、どこか儚げな響きがあります。現実離れした願望を指すこともあれば、過去を振り返るときに使われることもあります。日常会話ではあまり意識しないかもしれませんが、「夢のまた夢」には歴史的な背景があり、文学や音楽にも取り入れられています。
意味を理解し、使い方を知ることで、この表現が持つ奥深さをより感じられるのではないでしょうか?
「夢のまた夢」とは? 意味や由来をわかりやすく解説
「夢のまた夢」の意味と由来を知ることで、より深い理解につなげましょう。
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「夢のまた夢」の意味
まずは、「夢のまた夢」の意味を辞書で確認します。
夢(ゆめ)の夢(ゆめ)
引用:『デジタル大辞泉』(小学館)
夢の中で見る夢。非常にはかないことをいう。夢のまた夢。
「娑婆(しゃば)の栄花は―」〈平家・一〉
「夢のまた夢」とは、夢の中でさらに夢を見ているような状態を表します。そこから転じて、実現が難しいことや、儚く消え去るものを意味するようになりました。
現実離れした理想や、手が届きそうで届かない願望を表現するときに使われることが多いです。
「なにはの事も夢のまた夢」とは?
「なにはの事も夢のまた夢」は、豊臣秀吉の辞世の句「露と落ち 露と消えにし わが身かな なにはのことは 夢のまた夢」に由来しています。
天下統一を果たした秀吉も、死を前にしてすべてが幻のように感じられたのでしょう。栄華の儚さを表す言葉として、後世に伝えられています。
「夢のまた夢」の使い方と例文
「夢のまた夢」は、現実からかけ離れた理想や、叶う見込みの少ない目標を指すときに使われます。具体的な状況を考えることで、よりニュアンスが理解しやすくなるでしょう。
「会社を立ち上げて成功するなんて、今の私には夢のまた夢かもしれない」
現状と目標との距離が大きく、実現が難しいと感じている場面で使われます。少し諦めがちな気持ちが込められていることが特徴です。
「若い頃に憧れていた海外移住も、子どもが生まれた今では夢のまた夢になってしまった」
かつては実現できる可能性があったものの、環境の変化によって難しくなってしまった状況を表します。
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「この不況の中で給料が倍になるなんて、夢のまた夢の話だね」
現実的には実現が極めて困難なことを、やや皮肉を込めて語る場面で使われます。夢物語のような感覚が強調されています。
「夢のまた夢」は、単なる夢ではなく、実現の可能性がほぼない願望や理想を指す表現として使われます。場面に応じて、希望的なニュアンスや諦めの気持ちを込めることができるでしょう。
「夢のまた夢」の言い換え・類語表現
「夢のまた夢」には、「実現が難しい理想」や「儚い願望」といった意味があります。場面によって別の表現に置き換えることで、ニュアンスを調整することができますよ。
絵に描いた餅
実際には得られない理想を指します。「夢のまた夢」が叶いそうにない願望を表すのに対し、「絵に描いた餅」は、計画や理想が現実には役に立たないことを強調する表現です。
うたかた
水面に浮かぶ泡のように、すぐに消えてしまうものを指します。儚さを強調し、現実には到底続かない一瞬の出来事を表す際に使われます。
夢幻(むげん)
夢や幻のように、はかなく実体がないことを指します。「夢のまた夢」は個人的な願望に対して使われることが多いですが、「夢幻」は人生や世の中の無常さを表す場面にも使われる表現です。
![はかなさ マーガレット](https://oggi.jp/wp-content/uploads/2025/02/sAdobeStock_1149441854.jpg)
「夢のまた夢」の英語表現
「夢のまた夢」を英語で表現する場合、“at the end of the rainbow”が使えるでしょう。
“at the end of the rainbow”は、「手に入れたいが無理で」という意味があることから、「夢のまた夢」と同じように使えますよ。
コラム|「夢のまた夢」とエンタメ・文化との関わり
この言葉は、文学や音楽の世界でしばしば使われており、儚さや叶わぬ願いを象徴する表現として親しまれています。また、タイトルや作品のテーマとして用いられることも少なくありません。
楽曲・作品タイトルとしての『夢のまた夢』
1994年に発売された鈴木雅之さんの楽曲『夢のまた夢』では、叶わなかった恋の切なさが描かれています。この言葉が持つ「手が届かないもの」「儚さ」というニュアンスが、楽曲の世界観と重なります。
音楽だけでなく、映画や小説のタイトルとしても使われることがあり、夢と現実の対比や、叶わぬ想いを表すテーマによく合う言葉といえるでしょう。
最後に
「夢のまた夢」という表現は、儚さや叶わぬ願望を表す言葉として、長く使われてきました。その背景には、豊臣秀吉の辞世の句があり、日本語の持つ独特の情緒が感じられます。
日常生活の中で使う機会は限られるかもしれませんが、この言葉の持つ意味を知ることで、より深みのある表現ができるようになるのではないでしょうか。
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