目次Contents
「傾国」という言葉を耳にする機会は意外と多いかもしれません。歴史的背景から現代のエンタメまで、幅広い文脈で使われています。この言葉を知っておくと、会話や表現の幅を広げるきっかけになるでしょう。
「傾国」とは? 知っておきたい言葉の意味と歴史的背景
世代を超えたコミュニケーションで使える言葉には、深みがあります。「傾国」という言葉もその一つ。この記事では、その意味や由来を紹介し、現代での使われ方も見ていきましょう。
「傾国」の読み方と意味、由来
「傾国」は「けいこく」と読みます。意味を辞書で確認しましょう。
けい‐こく【傾国】
引用:『デジタル大辞泉』(小学館)
《「漢書」外戚伝の「北方に佳人有り。…一顧すれば人の城を傾け、再顧すれば人の国を傾く」から》
1 君主が心を奪われて国を危うくするほどの美人。絶世の美女。傾城(けいせい)。
2 遊女。
「白地の娘ども、―の風俗を見習ひ」〈風俗文選・百花譜〉
3 遊里。遊郭。
「あるいは花見の、開帳の、または―、猿芝居、人立ち多き所にて」〈浄・女楠〉
文字通り「国を傾ける」という意味を持ちます。古代中国では、美しさゆえに国を危機に陥らせる女性を指していました。
『漢書』などの史書にも登場し、歴史的に広く使われています。「城を傾ける」という意味の「傾城(けいせい)」もまた、美しい女性をたとえた言葉です。
話題の「傾国顔」とは? あなたも診断してみよう
SNSやネットで話題の「傾国顔」。特定の美的特徴を持つ顔立ちを指し、診断系コンテンツや芸能人の例が注目されています。この記事では、「傾国顔」の具体的な特徴や「建国顔」との違いを詳しく見ていきます。
「傾国顔」の特徴と種類を解説
「傾国顔」とは、美しさによって周囲を魅了し、人々を虜にするような顔立ちを指します。具体的な特徴としては、大きな瞳、整った鼻筋、均整の取れた輪郭が挙げられます。また、儚げな雰囲気や繊細さを感じさせる表情があると「傾国顔」とされることが多いでしょう。
近年では、俳優や韓国のアイドルの中にも「傾国顔」と称される人物が多く、SNS上で話題となっています。
さらに、「傾国顔」は性別を問わず使われることがあり、女性だけでなく美しい男性にもこの言葉が使われるケースがあります。そのため、芸能界やファッション業界で注目される顔立ちの一つといえるでしょう。
「建国顔」とは? 「傾国顔」との違いを紹介
一方で、「建国顔」という言葉もSNSなどで使われています。「建国顔」は堂々とした威厳を感じさせる顔立ちを指し、「国を背負う」ような存在感を持つ人物を表現します。特徴としては、はっきりとした眉、力強い目元、男らしい輪郭などが挙げられます。
「傾国顔」が儚さや美しさによって周囲を魅了するのに対し、「建国顔」は力強さと威厳で人々を惹きつけます。このように、対照的な魅力を持つ二つの顔立ちは、それぞれ異なるファン層を惹きつけ、SNSやネット上で頻繁に話題に上るのです。
どちらの顔立ちも、単なる美しさだけでなく雰囲気や個性が重要視される点が共通しており、これが現代の「美」の多様性を反映しているといえるでしょう。
フィクションで人気! 『傾国悪女』と『傾国の仕立て屋』
「傾国」をテーマにしたフィクション作品は、多くの読者を魅了しています。特に異世界ファンタジーや歴史ものに多く、魅力的なキャラクターとストーリーが読者を惹きつけています。ここでは、『傾国悪女のやり直し王女譚』と『傾国の仕立て屋 ローズ・ベルタン』を紹介します。
『傾国悪女のやり直し王女譚』のあらすじと魅力
『傾国悪女のやり直し王女譚』は、国を傾けた悪女として処刑された王女ソフィアが、5年前に時間が巻き戻り、過去の過ちを正そうと奮闘する異世界転生作品です。彼女は愚かだった自分を反省し、破滅エンドを回避するために努力します。物語は、彼女の成長と周囲との関係性の変化を描き、読者に共感と感動を与えます。
『傾国の仕立て屋 ローズ・ベルタン』のあらすじと魅力
『傾国の仕立て屋 ローズ・ベルタン』は、18世紀フランスを舞台に、貧しい家庭に生まれたマリー・ジャンヌ・ベルタンが、髪結い・お針子としての腕を磨き、後に「ローズ・ベルタン」としてフランス王妃マリー・アントワネットの仕立て屋となるまでのサクセスストーリーです。
彼女の強さと美しさ、そして時代と逆境に立ち向かう姿勢が描かれています。
「傾国の美女」とは? 歴史に名を残す絶世の美人たち
歴史や伝説の中で語り継がれてきた「傾国の美女」。その存在は単なる美しさにとどまらず、時に国や政治を動かすほどの影響力を持つ女性として描かれています。
日本・中国・ヨーロッパにおける「傾国の美女」
古代中国では楊貴妃(ようきひ)や西施(せいし)が「傾国の美女」として知られています。楊貴妃は唐の玄宗皇帝(げんそうこうてい)に愛され、その美しさが国の政治に影響を与えたとされています。一方、西施は呉越の戦いにおいて、美貌を戦略として活用された逸話で有名です。
ヨーロッパでは、クレオパトラやヘレネが「傾国の美女」として語られます。クレオパトラは、ローマの指導者たちを虜にし、エジプトの命運を左右する存在でした。ヘレネは、トロイ戦争の引き金となった美貌を持つ女性として知られています。
日本では、織田信長の妹であるお市の方が絶世の美人として語り継がれており、戦国時代の権力闘争に影響を与えた人物の一人です。
「傾国の美男」もいる?
「傾国の美女」に匹敵する存在として、「傾国の美男」も語られています。例えば、中国の潘安(はんあん)はその代表例でしょう。彼の美貌は伝説的で、「潘安の貌、沉魚落雁(ちんぎょらくがん)」という言葉は、美しい人を形容する際に使われます。
この中国の諺は「魚が水中に沈み、雁が空から落ちるほどの美しさ」を意味し、その美貌が周囲に強烈な印象を与える様子を表していますよ。
知識を深める|「傾国」の使い方と類語
職場や日常生活でも「傾国」という言葉を使いこなすと、知的な会話ができるかもしれません。ここでは、慣用句や類語を紹介します。
「傾国」を使った表現と例文
「彼女はまさに傾国の美女だ」という使い方は定番ですが、他にも「傾国のごとき美貌」、「傾国的な存在」といった表現があります。これらを知っておくと、会話の幅が広がるでしょう。
「傾国」の類義語をマスター
類義語としては「絶世の美人」「佳人」などがあります。それぞれの言葉のニュアンスを理解して使い分けると、言葉の引き出しが増えますよ。
最後に
「傾国」という言葉には、単なる美しさ以上の意味が込められています。歴史やフィクション、現代の流行まで多岐にわたるこの言葉を、自分なりに楽しんで使ってみてはいかがでしょうか? 会話や文章の中で新しい魅力を発見できるかもしれません。
TOP画像/(c) Adobe Stock