「水滴石穿」という言葉を目にしたとき、どんな情景を思い浮かべるでしょうか? 普段の努力がなかなか形にならなくても、積み重ねていくうちに大きな変化につながる―そんな希望を静かに語りかけてくれる表現かもしれません。
この記事では、「水滴石穿」について、意味や由来、使い方まで丁寧にひもといていきます。
「水滴石穿」とは? 読み方と意味から知ろう
まずは「水滴石穿」の読み方と意味、そして由来について触れていきましょう。
「水滴石穿」の読み方と意味
「水滴石穿」は「すいてきせきせん」と読みます。「たゆまず努力すれば必ず事を成し遂げることができる」という意味を持ちます。
「水滴石穿」と「水滴石を穿つ」・「点滴穿石」の違いは?
「水滴石を穿つ(すいてきいしをうがつ)」は、ほんのわずかな水滴であっても、絶えず落ち続ければ、やがて硬い石に穴があくという意味です。どんなに小さなことでも、地道に続けていれば大きな成果につながる、というたとえとして使われます。
一方、「点滴穿石(てんてきせんせき)」も、同じように小さな水滴が長い年月をかけて石に穴をあけることから、「小さな努力の積み重ねが、やがて大きな結果をもたらす」という意味を持っています。
いずれも、「水滴石穿」の類語であり、コツコツ続けることの大切さを伝えています。

「水滴石穿」を使った例文をチェック
日常や仕事、勉強など、どんな場面でも「水滴石穿」の精神は生きてきます。具体的な例文を通して使い方を確認しましょう。
最初は無理だと思っていたプロジェクトも、水滴石穿の気持ちで地道に進めたら、ついに完成した。
困難な課題でも、焦らずにコツコツと取り組むことで、最終的には成し遂げることができるという意味で使われています。
語学の習得には時間がかかるが、水滴石穿という言葉を信じて、毎日練習を続けている。
なかなか上達しないことでも、地道に続けていれば成果が見えてくるという前向きな気持ちを表しています。
毎日のランニングは短い距離でも、水滴石穿の精神で続けていたら、健康診断の数値が改善された。
日々の小さな積み重ねが、やがて目に見える変化をもたらすことを、「水滴石穿」を使って表しています。

「水滴石穿」の類語や言い換え表現を紹介
「水滴石穿」と同じような意味を持つ言葉を知っておくと、表現の幅が広がります。ここでは、3つの言葉を紹介しましょう。
雨垂れ石を穿つ(あまだれいしをうがつ)
『漢書』枚乗伝に由来することわざです。どんなに小さな努力でも、あきらめずに続けていれば、やがて大きな成果を生むことを伝えています。
愚公移山(ぐこうやまをうつす)
「どんな困難も、粘り強く取り組めばやがて達成できる」というたとえです。中国の『列子』という書物に登場する寓話に由来し、愚公という人物が、長い年月をかけて家の前の山を移したという話から生まれました。
継続は力なり
「わずかなことでも、やめずに続けることで必ず成果につながる」という意味の表現です。「水滴石穿」と同様に、日々の努力の積み重ねの大切さを伝えています。
参考:『新選漢和辞典 Web版』(小学館)

「水滴石穿」の英語表現は?
英語にも「水滴石穿」と似た意味を持つ表現があります。日本語と同じく、継続することの大切さや小さな努力の積み重ねをたたえる言い回しがいくつか見られるので、紹介しましょう。
Little strokes fell great oaks.
「小さな一打でも大きなオークの木を倒すことができる」ということわざです。少しずつの努力がやがて大きな成果につながる、という意味で使われます。
Perseverance is the key to success.
「根気強さは成功への鍵」という意味のフレーズです。意訳すると「継続は力なり」となります。途中であきらめずに続けることが、成功につながるという考えを表しています。
最後に
「水滴石穿」という言葉は、目の前の困難に向き合うとき、そっと背中を押してくれる存在かもしれません。毎日の小さな努力が、思いもよらない力に変わることもあると、心に留めておきたいですね。
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