「上には上がある」とは?
「上には上がある」とは、世の中には自分より優れた人や優れたものが必ず存在することを表すことわざです。自分の実力や立場に満足しすぎないよう戒める意味や、どんな分野でもさらに上があることを示すときに使われます。
ここでは、ことわざの意味と由来について解説します。
ことわざの意味
「上には上がある」とは、どれほど優れているものであっても、さらにその上をいく存在があるという意味のことわざです。ある分野で優れた成果を上げたとしても、それより優れた結果が存在する可能性があることを示しています。
このことわざは、自分の能力や立場を過信しないよう戒める場面で使われることが多い表現です。たとえば、競技や仕事、学問などで高い評価を得たとしても、さらに優れたものがあるかもしれないという認識を持つことの大切さを表しています。
また、他人の能力の高さに驚いたときにも使われることがあります。世の中にはさまざまな才能や実力を持つ人がいることを示す言葉として、日常会話や文章の中で幅広く用いられていることわざです。
上には上がある
出典:小学館 デジタル大辞泉
最高にすぐれていると思っても、さらにすぐれたものがある。うぬぼれや欲望を戒める言葉。
ことわざの由来
「上には上がある」ということわざは、特定の出来事や人物に由来するものではなく、人間社会の経験から生まれた教訓的な表現とされています。昔から、どの分野でも優れた人物の上にはさらに優れた人物が存在するという認識があり、その考え方がことわざとして定着しました。
明治時代(1893年)の落語「素人茶道」に使用例が見られ、当時すでに使われていたことがうかがえます。
「上には上がいる」との違いは?
「上には上がある」は、「上には上がいる」という使い方をされることがあり、どちらが正しいのか迷うかもしれません。
ここでは、それぞれの違いや、同じように誤って使われやすいことわざについて解説します。

人ではなく行為や状態を指す
正しい表現は「上には上がある」で、「上には上がいる」は誤った表現です。これらの違いは、比較する対象が異なる点にあります。「上には上がいる」は人を主語としており、人であれば「ある」よりも「いる」の方が適切と考えた表現といえるでしょう。
しかし、ここで「上か下か」と比べているのは「人」ではなく「行為や状態」です。「自分より優れた人がいる」という意味ではなく「自分よりも優れた才能や能力がある」という意味で使います。たとえば、技術の高さや成果のレベルなどについて「さらに上の段階がある」という意味で用いられます。
同じく間違いやすいことわざ
「上には上がある」と同じく間違いやすいことわざに「足下をすくわれる」「取り付く島もない」「新規まき(蒔き)直し」などが挙げられます。それぞれ、次のような間違いをしがちです。
・〇足をすくわれる→×足下をすくわれる
・〇取り付く島もない→×取り付く暇もない
・〇新規まき(蒔き)直し→×新規巻き返し
「足をすくわれる」は、相手に不意を衝かれて失敗させられるという意味のことわざです。足はすくえますが、足下はすくえません。
「取り付く島もない」は、相手の態度が冷たく、頼みごとや相談を持ちかける余地がまったくない様子を表すことわざです。船で遭難したときに頼りにできる島が周囲に見当たらないことをたとえにしています。
「新規まき(蒔き)直し」は過去の出来事を一度リセットし、原点に戻って一からやり直すという意味です。「巻き返し」は劣勢から立て直して反撃することで、「新規」とは組み合わせません。
「上には上がある」の例文
「上には上がある」を正しく使うためには、例文の確認がおすすめです。いくつかの例文をみていきましょう。
・今回の出品は高く評価されたものの、他社にはさらに優れたものもあり、上には上があると感じた
・営業成績が伸びて自信がついたが、トップの成績を見ると上には上があると実感した
・今回の業績には満足しているが、さらに良い結果を出している企業もあり、やはり上には上があるものだ
「上には上がある」の言い換え
「上には上がある」と似た意味を持つ表現には、以下のものが挙げられます。
・上を見ればきりがない
・上を見れば方図(ほうず)がない
いずれも、世の中にはさらに上の存在やレベルがあることを示す言葉です。それぞれの言い換え表現を見ていきましょう。

上を見ればきりがない
「上を見ればきりがない」は、上のレベルを見ていくと限りがないほど優れたものがあるという意味の表現です。「きり」は、物事の終点や区切りを意味します。どれほど高い成果を上げても、その上にはさらに優れた人や結果があり、終わりがないことを示しています。
ことわざというよりは、日常的な言い回しとして使われる言葉です。「上には上がある」と同様に、世の中にはさらに高いレベルが存在することを示す言葉として広く使われています。
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上を見れば方図がない
「上を見れば方図がない」は、上を見て比べ始めると際限がなくなるという意味です。「方図がない」とは、限度や節度がないこと、または終わりがないことを表しています。
より高いものを求めて比較し続けると終わりがないという意味で、自分の状況に満足することの大切さを示す教訓として使われることがあります。
「上には上がある」とよく似たことわざですが、「比較し続けると終わりがない」というニュアンスがより強い表現といえるでしょう。
「上には上がある」を正しく覚えよう
「上には上がある」は、どれほど優れているものであっても、さらに上の存在があることを表すことわざです。自分の実力に慢心しないよう戒める際にも使われます。「上には上がいる」という表現は誤っているため、注意が必要です。
似た表現には、「上を見ればきりがない」や「上を見れば方図がない」があります。意味や使い方を正しく理解し、適切な場面で使えるようにしておきましょう。
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