「二転三転」とは何を意味する?
たとえば、上司の指示が何度も変わるような場合、その状況を「二転三転する」と表すことがあります。この言葉が何を意味するのか、実はわかっていないという人もいるかもしれません。
「二転三転」は、ビジネスシーンで使うことも多いので、正しい意味を把握しておきたいですね。まずは、辞書に掲載されている意味を見ていきましょう。
意味と読み方
にてん‐さんてん【二転三転】
読み方:にてんさんてん
[名](スル)物事の内容・状態・成り行きなどが、何度も変わること。「話が—して申し訳ありません」
『デジタル大辞泉』(小学館)より引用
発言内容がコロコロ変わる、内容が相次いで変更になるというのはよくあることですよね。最初は「A」といっていたのに、途中で「B」になり、それで定まると思っていたのに「C」に変わるというケースです。「二転三転」は、そのような状況を表す際に用いられる四字熟語。「次々と変わること」や「コロコロと変わること」を意味するといえます。
「二転三転」の類語
「二転三転」の類語を見ていきましょう。「紆余曲折」「右往左往」「朝令暮改」を紹介します。それぞれの言葉の意味をチェックしてください。
「紆余曲折」
「紆余曲折」とは、物事が順調に運ばないで、こみいった経過をたどること。「紆余」は、うねり曲がっていることの意。「曲折」は物事がさまざまに入り組み、変化をすることや、込み入った事情を意味します。読み方は「うよきょくせつ」。「紆余曲折を経て解決した」のように使う言葉です。
「右往左往」
うろたえて、あっちへ行ったりこっちへ来たりすることを指す「右往左往」。慌てふためき、混乱したさまを表す際に用いられています。読み方は「うおうさおう」。「右往左往しながら探す」のように使います。
「朝令暮改」
朝に出した命令を夕方にはもう改めることや、方針などが絶えず変わって、定まらないことを表す「朝令暮改」も、「二転三転」と似た意味を持ちます。「朝令暮改」は上の人が出す命令や方針に対して用います。読み方は「ちょうれいぼかい」。
「二転三転」は事態や状況に対しても使いますので、その点が異なることを把握しておくといいですね。
「二転三転」の使い方
ここからは、「二転三転」の使い方を見ていきましょう。どのような状況で使う言葉なのでしょうか?
「二転三転」を使う状況とは?
「二転三転」を使うのは、状況や物事、結果などが何度も変わり、定まらないときでしょう。
ビジネスシーンでは、複数回の変更が生じたことを相手に詫びる際によく使います。そのため、「二転三転」の前後に、「申し訳ありません」「お詫び申し上げます」のような謝罪の言葉をつけて用いることが多いでしょう。
例文
「二転三転」の具体的な使い方を紹介します。次の例文を見ていきましょう。
《例文1》「話が二転三転してしまい、たいへん申し訳ありません。詳細につきましては、あらためてご連絡いたします」
何かしらの変更が何度も生じたことを相手に謝罪している例文です。ビジネスシーンで多いのは、一旦決定した内容や結果が変更になったり、方針や方向性が変わったりすること。取引先や顧客が関係する場合は、謝罪をした上で変更点を伝える、状況をあらためて説明するなどしなければなりません。
《例文2》彼女は話が二転三転するので、話していて疲れることがある
言うことがコロコロ変わる人っていますよね。あまりに話が変わると、接することに疲れを感じるかもしれません。例文が表すのは、まさにその状況です。
「二転三転」の会話例も
「二転三転」は、会話でも使います。姉妹がドラマについて話しているとイメージしてください。
妹「昨日のドラマ、見た?」
姉「見たよ、すごくおもしろかったよ。二転三転するストーリーにハラハラしたわ」
妹「先週の伏線は回収されたの?」
姉「回収されたけど、あの展開は予想していなかったから、驚いちゃった」
妹「リアルタイムで見たかったなぁ。早く帰ろうと思っていたのに残業になって、イライラしたわ。でも、今日も残業なんだよね」
姉「次の休みにゆっくり見たら? 次の放送までには見ておきたいよね」
ドラマや映画、小説などのストーリーは、二転三転するからおもしろいですよね。特に、サスペンスやミステリーは、状況がどんどん変わるため、ハラハラしたりドキドキしたりするでしょう。会話例は、そのようなドラマについて話す姉妹の様子を表しています。
「数」の慣用句を紹介
「二転三転」のような「数」の慣用句は他にもあります。いくつかピックアップしましたので、一緒に見ていきましょう。
「一工面二働き」
世渡りには工夫が第一であり、勤勉に働くことはその次であるという意味の「一工面二働き」。「いちくめんにはたらき」と読みます。「工面」とは、いろいろな手段や方法を考えることの意。むやみに体を使って働くだけでなく、頭を使っていろいろ工夫することが大切だということを表す言葉です。
《例文》父がよく言っていたのは「一工面二働き」。お金を稼ぎたいなら、考えて工夫を重ねろと教えてくれました。
「二人三脚」
「二人三脚」とは、両者が協力して、物事を行うことを指す四字熟語。また、二人が一組になって横に並び、隣り合う足を紐で結んで、三脚で走ることも表します。読み方は「ににんさんきゃく」。運動会の競技に「二人三脚」がありますよね。
ビジネスシーンで用いることが多いのは、前者の意味。お互いに協力関係となり、物事に取り組む際に用いることが多いでしょう。
《例文》新規の事業は、グループ会社のA社と二人三脚で取り組むらしいという噂が流れて、社内は騒然としている。
「三拍子揃う」
「三拍子揃う」とは、必要な要素をすべて備えていることの意。「さんびょうしそろう」と読みます。重要な条件が3つ揃っていたり、大切な条件がすべて揃っていたりするさまを表す言葉です。
《例文》走攻守三拍子そろっている、期待のルーキーが彼です
最後に
「二転三転」について、意味や使い方、似た言葉などを紹介しました。ビジネスシーンでは、謝罪の際に用いることがありますので、意味だけでなく使い方を把握しておきましょう。ビジネスシーンでは、決定事項や発言が「二転三転」すると、相手の信用を失うことがあります。なるべく「二転三転」を避けるためにも、慎重な行動や発言を意識したいですね。
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