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この記事のサマリー
・「二転三転」は物事の内容や成り行きが何度も変わることを表します。
・「ご案内が二転三転し、深くお詫び申し上げます」はビジネスでも使うことができます。
・謝罪や説明では「内容が変わって申し訳ありません」などの言い換え表現も有効です。
一度決まった方針や計画が、何度も変更されることは、改善のための見直しとして前向きに機能することもありますが、同時に現場の混乱を招く原因にもなります。こうした状況を簡潔に伝えたいときに、「二転三転」という言葉で表します。
この記事では、「二転三転」の正確な意味や適切な使い方、そして状況に応じて使い分けたい言い換え表現について、辞書の定義に基づいてわかりやすく紹介します。
「二転三転」の意味と使い方を整理
最初に「二転三転」の意味と使い方を把握しておきましょう。
「二転三転」の意味
「二転三転」は、「にてんさんてん」と読みます。辞書の記載を確かめましょう。
にてん‐さんてん【二転三転】
引用:『デジタル大辞泉』(小学館)
[名](スル)物事の内容・状態・成り行きなどが、何度も変わること。「話が―して申し訳ありません」
「二転三転」は、物事の内容や状態、成り行きが何度も変わることを指す言葉です。
決定が続けて変更になった際に、「話が二転三転してしまい、申し訳ありません」といった表現で謝罪することは、ビジネスシーンでも馴染みがありますよね。
誤用に注意|人の性格を表す言葉ではない
「二転三転」は、あくまで物事の内容や状況が何度も変わる様子を表す言葉です。ですから、「あの人は二転三転する性格だ」というように、人の性格や気質を表現するために用いるのは誤用です。
参考:『デジタル大辞泉』、『日本国語大辞典』(ともに小学館)

「二転三転」の使い方と言い換え表現
ビジネスの現場で物事が「二転三転」すると、相手に混乱や不信感を与えることがあります。そうした場面では、状況の変化を丁寧に説明し、誠意を込めた謝罪や報告が求められます。ここでは例文を通じて、「二転三転」の使い方と、言い換え表現を例文と共に確認しましょう。
謝罪する場面での例文
「話が二転三転して申し訳ございません」は、定番の謝罪表現です。さらに丁寧に伝えることで、誠意や配慮の気持ちがより伝わります。
例:
・「話が二転三転してしまい、ご迷惑をおかけしましたことをお詫び申し上げます」
・「ご案内が二転三転し、混乱を招きましたこと、深くお詫び申し上げます」
・「方針が二転三転してしまい、現場の皆さまにご心配をおかけしました」
言い換え表現の例文
「二転三転」という表現を避けたいときには、以下のような言い換えが可能です。
「ご説明が行き届かず、何度もお手数をおかけし申し訳ございません」
「ご案内がたびたび変更となり、混乱を招きましたことお詫び申し上げます」
「内容が定まらず、ご迷惑をおかけし大変失礼いたしました」

「二転三転」の類語
「二転三転」に近い意味を持つ言葉を紹介します。
「紆余曲折(うよきょくせつ)」
「紆余曲折」は、物事が順調に進まず、複雑で入り組んだ経過をたどることを表します。
例文:「商品化までには紆余曲折があったが、ようやく完成にこぎつけた」
「右往左往(うおうさおう)」
「右往左往」は、うろたえてあわてふためく様子を表す言葉です。混乱状態を表現したいときに使います。
例文:「会議直前に資料の不備が見つかり、スタッフが右往左往していた」
「朝令暮改(ちょうれいぼかい)」
「朝令暮改」は「朝に出した命令を夕方には改める」という意味から、方針が頻繁に変わって定まらないことを指します。
例文:「上層部の朝令暮改に現場が混乱している」
「二転三転」の英語表現とは?
英語でも、「二転三転」のように変化を表す言い回しがあります。
“keep changing”
“change(変わる/変える)” に “keep ~ing(~し続ける)” を組み合わせた表現です。方針や予定が安定せず、何度も変化する様子を伝えることができます。
例文
“The plan kept changing.”
(計画が二転三転した。)
“The schedule kept changing due to unexpected issues.”
(予期せぬ事情でスケジュールが二転三転しました。)
“again and again”
“again and again” は、動詞と組み合わせて「何度も変わった」「何度も修正された」という意味を伝える際に使うことができる表現です。
例文
“The plan changed again and again, causing confusion.”
(計画が二転三転して、混乱を招きました。)
参考:『プログレッシブ和英中辞典』(小学館)

「二転三転」に関するFAQ
ここでは、「二転三転」に関するよくある疑問と回答をまとめました。参考にしてください。
Q1. ビジネスメールで「二転三転して申し訳ありません」と書いても失礼ではありませんか?
A. 謝罪や説明の文脈であれば使用可能です。語調に配慮すればより丁寧ですよ。
Q2. 「二転三転」はポジティブな場面でも使えますか?
A. 基本的には混乱や迷走を含む、否定的な場面で使うことが多い言葉です。
Q3. 「二転三転」のNGな使い方はありますか?
A. 人の性格を表す場面での使用は誤用です。状況や出来事に限定しましょう。
最後に
「二転三転」は、物事の方針や状況が、何度も変わる様子を表す言葉です。
この言葉は、試行錯誤の結果として使うこともありますが、状況が定まらないことによる混乱や、計画性の欠如といったネガティブなニュアンスを伴うこともあります。そのため、特にビジネスシーンでは、謝罪や状況説明の場面で使うことが少なくありません。
言葉の意味と、相手に与える印象を正しく理解し、場面に応じて適切に使い分けましょう。
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