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この記事のサマリー
・「大は小を兼ねる」とは、大きいものは小さいものの役目も果たせることを表すことわざです。
・語源は、『春秋繁露』だといわれています。
・単に「大きい方が常にいい」という訳ではありません。短絡的に使うと誤解を招くこともあるため注意が必要です。
「大は小を兼ねる」という言葉は、日常会話やビジネスシーンでも幅広く使われていますね。しかし、不用意に使うと誤解を招くこともあります。本記事では、言葉の意味や由来、注意するポイントなどをわかりやすく解説しますよ。
「大は小を兼ねる」の意味や由来とは?
まずは、「大は小を兼ねる」の意味と由来を見ていきましょう。
「大は小を兼ねる」の意味は?
「大は小を兼ねる」は、一般的に「大きいものは小さいものの役割も果たせる」という意味で使われます。
辞書には次のように説明されていますよ。
大(だい)は小(しょう)を兼(か)ねる
引用:『デジタル大辞泉』(小学館)
大きいものは、小さいものの役目もすることができる。
「兼ねる」とは、1つで2つ以上の働きをすることを表します。例えば「大きめのバッグは仕事用にも旅行用にも使える」、「大容量ストレージなら小さいデータもすべて収まる」など、サイズを選ぶ際などに「大は小を兼ねる」と表現できますね。
「大は小を兼ねる」の語源や由来は?
「大は小を兼ねる」の由来は、前漢の学者・董仲舒(とうちゅうじょ)が著した『春秋繁露(しゅんじゅうはんろ)』に見られる「夫(それ)已に大なる者あらば、又小なる者を兼ぬ」という記述だといわれています。
参考:『ことわざを知る辞典』(小学館)

「大は小を兼ねる」を使う際の注意点、使い方を例文でチェック
「大は小を兼ねる」と表現する際に注意するポイントはあるのでしょうか? 注意点や使い方を例文でチェックしていきましょう。
「大は小を兼ねる」を使う際の注意点は?
ビジネスシーンや日常生活において、常に「大は小を兼ねる」とは限りません。不必要に大きなものや、高価なものを導入すると、コストがかさんだり、管理が煩雑になったりする可能性があります。
また、特定の小さな用途に特化した製品の方が、使い勝手がいい場合もあります。そのため、状況をよく考慮した上で「大は小を兼ねる」と表現しないと、誤解を招いたり不信感を与えたりする場合があるので注意が必要でしょう。
使い方を例文でチェック
「大は小を兼ねる」は、 「余裕を持った選択」や「幅広い用途に対応できる選択」を説明するときに使うことができます。
【日常会話の例】
・「本棚は少し大きめを買いました。大は小を兼ねるので、本が増えても安心です」
・「鍋のサイズで迷ったけれど、大は小を兼ねると思って24cmを選びました」
・「引越し用のダンボールは大きいサイズを中心にそろえました。大は小を兼ねるとはいえ、重さだけは注意ですね」
【ビジネスシーンの例】
・「大容量のクラウドストレージにしておけば、デザインデータから書類まで全部まとめられます。大は小を兼ねますね」
・「参加人数が流動的な場合は、念のため広めの部屋を押さえましょう。大は小を兼ねるといいますし、狭くて困るよりいいです」
「大は小を兼ねる」の類語や言い換え表現は?
「大は小を兼ねる」を他の言葉で表したい場合、どんな言葉があるのかチェックしていきましょう。
転ばぬ先の杖
万が一の事態に備えて事前に十分な準備をしておくことを言った言葉です。
辞書では、次のように説明されています。
転(ころ)ばぬ先(さき)の杖(つえ)
引用:『デジタル大辞泉』(小学館)
前もって用心していれば、失敗することがないというたとえ。
【例】「転ばぬ先の杖とも言うし、会議の資料は入念に確認しておこう」
備えあれば患いなし
「備えあれば患いなし」は、「日頃から準備をしておけば、いざという時も心配しないで済む」という意味のことわざです。
辞書では次のように説明されています。
備(そな)え有(あ)れば患(うれ)い無(な)し
引用:『デジタル大辞泉』(小学館)
万一に備えて、あらかじめ準備をしておけば、事が起こっても少しも心配事がない。備えあれば憂えなし。
【例】「備えあれば患いなし、というように日頃から災害に備えて、水や食料を備蓄しています」
汎用性が高い
ことわざではありませんが、ビジネスシーンで使うことができる表現です。「汎用性(はんようせい)が高い」とは、一つのものが、さまざまな用途や分野に広く使えることをいいます。
【例】「この新製品は汎用性が高く、家庭用から業務用まで幅広く使用できます」

「大は小を兼ねる」の対義語は?
「大は小を兼ねる」の対義語には、「大は小を兼ねるも長持ちは枕にはならぬ」が挙げられます。大きなものが必ずしも万能ではないということを言った言い回しです。
辞書では次のように説明されています。
大(だい)は 小(しょう)を 兼(か)ねるも 長持(ながも)ちは 枕(まくら)にならぬ
引用:『故事俗信ことわざ大辞典』(小学館)
長持ちが枕の代用品にはならないように、大きなものがいつも小さなものの代用品になるとはかぎらない。「長持ち」は、衣類、小道具などを入れる長方形でふたのある大きな箱。大は小を兼ねるも杓子は耳搔きにならぬ。
「大は小を兼ねる」の英語表現は?
「大は小を兼ねる」を英語で表現したい場合、次のような言い回しができます。
“A large thing will serve for a small one.”
「大きいものは小さいものの代わりを務められる」という意味です。ビジネスメールや会議で使うことができますよ。
参考:『プログレッシブ和英中辞典』(小学館)

「大は小を兼ねる」に関するFAQ
ここでは、「大は小を兼ねる」に関するよくある疑問と回答をまとめました。参考にしてください。
Q1. 「大は小を兼ねる」の意味を簡単に教えてください。
A1. 「大きいものは小さいものの役目も果たせる」という意味です。
物のサイズや容量だけでなく、範囲や用途を広くカバーできることを表す場合もあります。
Q2. 「大は小を兼ねる」の英語表現はありますか?
A2. “A large thing will serve for a small one.” が挙げられます。
Q3. NGな使い方は?
A3. 「大きい方が常にいい」と安易に解釈して使うことは避けた方がいいでしょう。
実際にはサイズや容量だけでは対応できない場合もあります。
最後に
よく使われることわざだからこそ、正しい意味や由来を知っておくことが大切ですね。また、「大きいものが常にいい」という訳ではありません。使用する際には、「本当に大が小を兼ねられるのか?」「相手に誤解を与えないか?」を意識して使いたいですね。
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