皆さんは、買い物でどちらを購入しようか迷った時、「大は小を兼ねるって言うし…」と言って、大きいものの方を買った経験はありませんか? 日常生活で馴染みのある「大は小を兼ねる」という言葉ですが、そもそもどのような意味なのでしょうか。
そこで本記事では、「大は小を兼ねる」の意味や使い方、対義語を解説します。
「大は小を兼ねる」の意味
「大は小を兼ねる」は、「だいはしょうをかねる」と読みます。意味を辞書で確認してみると、
大きいものは、小さいものの役目もすることができる。
『デジタル大辞泉』(小学館)より引用
と記載されています。大きいものは、小さいものの代用品としても使うことができるということですね。「兼ねる」は、「1つで2つ以上の働きをする」という意味。つまり、小さいものより、大きなものを持っていた方が、たくさんのことに利用できて便利だ、と言いたい時に使われます。
使い方を例文でチェック!
日常生活で「大は小を兼ねる」と言うのは、どのような場面でしょうか? よくあるパターンを例文を交えてみていきましょう。
1:一人暮らしだけれど、大は小を兼ねるというし大きめの冷蔵庫を買った。食材が入りきらなくなったら嫌だしね…。
家電を買うときに、大きめのサイズにするか小さめのサイズを選ぶか、迷うところではないでしょうか? 部屋のスペースを考えたら、あまり大きくないものを置きたいと思うものの、小さい容量で足りなくなったら嫌だから、結局ワンサイズ大きめの商品を買う人も多いはず。身近な「大は小を兼ねる」ケースですね。
2:どちらのカバンを買うか迷っていたら、母から「大きい方にしたら? 大は小を兼ねるっていうし」と言われた。
一家の家計を握るお母さんの中には、例文のように「大は小を兼ねる」が口癖の人もいるかもしれませんね。迷った時にはとりあえず、使い道が多い大きいサイズのものを選ぶという方もいるのでは? いろんな用途で使えるものの方が、お得感がありますよね。
3:「大は小を兼ねるから」と言って、大きめのソファを買ったら部屋が狭くなってしまった…。
「大は小を兼ねる」と言いながら欲張って大きいソファを買ったら、かえって損をしてしまったというケースです。現代では、ネットで家具を購入することも多いので、実際に商品が届いたら予想していたよりも大きかった! という誤算を経験した人も多いでしょう。部屋に置くものは、よく考えてから購入したいですね。
似た意味合いを持つ言葉は?
「大は小を兼ねる」と似た意味合いを持つ言葉には、「備えあれば憂いなし」「転ばぬ先の杖」などがあります。意味をチェックしていきましょう。
1:備えあれば憂いなし
「備えあれば憂いなし」は、「そなえあればうれいなし」と読みます。意味は以下の通りです。
万一に備えて、あらかじめ準備をしておけば、事が起こっても少しも心配事がない。備えあれば憂えなし。
『デジタル大辞泉』(小学館)より引用
「事前に準備をしておけば、いざという時も心配にならずに済む」と言いたい時に、このことわざを使います。小さいものではなく、何かあった時のために大きいものを持っておくという、「大は小を兼ねる」も、「備えあれば憂いなし」と似たような考え方と言えるかもしれませんね。
(例文)
・万一病気になった時のためにある程度貯金をしている。備えあれば憂いなしよ。
・備えあれば憂いなしってことわざもあるし、長期保存できる食料を備蓄しておきたいね。
2:転ばぬ先の杖
「転ばぬ先の杖(ころばぬさきのつえ)」の意味を見ていきましょう。
前もって用心していれば、失敗することがないというたとえ。
『デジタル大辞泉』(小学館)より引用
いざという時でも安心なように、手を打っておくことを「転ばぬ先の杖」と言います。失敗して痛い目を見る前に、あらかじめ準備しておくこと、という教訓や戒めが込められた言葉です。失敗しないように保険をかけておくという点が、「備えあれば憂いなし」や「大は小を兼ねる」と似ているかもしれません。
(例文)
・転ばぬ先の杖というように、ある程度貯蓄をしておきたいものだね。
・転ばぬ先の杖として、NISAを始めることにした。
対義語は?
「大は小を兼ねる」という言葉がついたことわざが2つあります。てっきり類語と思いがちですが、実は、「大は小を兼ねる」という考え方を否定する対義語です! 意味を見ていきましょう。
1:大は小を兼ねるも杓子(しゃくし)は耳掻き(みみかき)にならぬ
「杓子」とは、おたまや、しゃもじなど液体を掬ったりするための道具のこと。「大は小を兼ねるも杓子は耳掻きにならぬ」は、「杓子が耳掻きの代用品にならないように、小さいものでなければ役に立たないものがある」という意味です。
2:大は小を兼ねるも長持ちは枕にならぬ
「長持ち」とは、衣類などを入れる長方形の箱のこと。当然、木などの硬い素材でできているため、枕としては使い物になりませんよね。このことから、「大は小を兼ねるも長持ちは枕にならぬ」は、大きいものがいつも小さいものの代わりになるとは限らないということを表します。
最後に
「大は小を兼ねる」とは、「大きいものは、小さいものの役目もすることができる」ということ。大きいものを買いたいと思った時に、自分自身を納得させるために「大は小を兼ねると言うし…」と言ったりしますね。実際に大きいものを買って得をすることもある一方で、場合によっては損をすることも。その時の状況に応じて、適切なものを選びたいですね。
TOP画像/(c) Adobe Stock