「隣の芝生は青い」の意味は?
「この人は何でもできて凄いな」「あの人は生き生きとしていて、羨ましい…」。そんな風に、他人と自分を比較して、嫉妬したり落ち込んだりすることはよくあることですね。他人が良く見えてしまうのには、理由もあるようです。今回は、その人の心理状態や対処法、類語を解説します。
「隣の芝生は青い」という言葉の意味は、何でも他人の物は良く見えるということ。英語で表現すると、「The grass is always greener on the other side of the fence. 」となります。略して、「The grass is always greener.」とも表します。
この場合の「青い」というのは、芝生が青々と成長し、美しく生えそろっている様子を表します。自分の家より、他人の家の庭の芝生の方が美しく見える、といった状態です。そこから、自分の持っているものや環境の良さに気が付かず、他人と比較しては、嫉妬したり、落ち込んだりしてしまう状態を指します。
テレビや新聞、ネットニュースやSNS、常にさまざまな情報が、耳や目から入ってくることが多い昨今。キラキラした人や華やかな人の情報に触れるたびに、気持ちが揺れ動くこともあるでしょう。まさに、隣の芝生が青く見える状況に常にさらされているとも言えます。
一方で、自分自身に目を向けてみると、頑張っていたり、努力していたり、他人にはない良い点が必ずあるはずです。他人に目を向ける前に、一度、自分の良い点を振り返ってみるといいかもしれません。自分の家の芝生の青いところを見つけてみましょう。
「隣の芝生は青い」時の心理状態
他人のことを羨ましく思ったり、嫉妬したり。そのように感じてしまう心の状態は、どんな時に起こるのでしょうか? 一緒に見ていきましょう。
1:自己肯定感が低い
自分を否定的に捉えてしまい、他者と比較して自分を劣っていると感じやすい状態にあります。他人からの評価を重視し、自分に対する評価が厳しいとも。過去に失敗してしまったことや、批判されたことなどを意識してしまい、自信を持ちにくい人もあてはまると言えます。
自分の成功体験に焦点を当て、自分の強みを認識したり、ポジティブな言葉を使うことを心がけるといいかもしれません。
2:現状に満足していない
自分が置かれている状況に不満を抱き、物事がうまくいっていないと感じている状態にあります。将来に対する不安や焦りを感じている場合も。どんなことでもネガティブな感情につながってしまい、できたことや成果を見逃してしまうことが考えられます。
小さなことでもいいので、ちょっとした成功や前向きな感情に目を向けることが大切です。何か目標を設定し、具体的に行動し、進捗を感じると、満足感が向上するでしょう。
3:目標がない
自分に具体的な目標がなく、将来に向けての計画や方向性が定まってない状態です。目標がないことで、何事に対してもモチベーションが低く、日々の活動に充足感を感じることができない場合が多いでしょう。
自分が興味や関心があることに基づいた目標を、設定することから始めてみるといいかもしれません。ファーストステップで、どんなことに興味があるか、書き出してみましょう。
「隣の芝生は青い」の類語
「隣の芝生は青い」には似た表現のことわざや類語があるようです。ここでは3つ紹介します。
1:隣の花は赤い
他人の物はなんでもよく見えることのたとえです。人の花は赤い、とも表現します。古くは「よその花はよく見える」などと言い、「隣の花は赤い」が定着するのは、明治になってからのようです。
2:内の米の飯より隣の麦飯
自分の物より、他人の物は何かにつけてよく見えることを表します。自分の家で食べる米の飯よりも、隣の家の麦飯の方がおいしく思える、という意味。麦飯といえば、今では健康食というイメージが強いですが、戦前戦後の日本では、粗末な食べ物の位置づけでした。内の飯より隣の雑炊、という表現もあります。
3:隣の糂粏味噌(じんだみそ)
隣の糂粏味噌のほうが香ばしく感じられるように、よその物はなんでもよく見えることを言います。糂粏味噌は、ぬかみそのこと。あまり美味しくない糂汰味噌も、隣の物だと美味しそうに見えるという表現です。同じ食事でも、他人の家の食事は美味しそうに見えることがありますね。
「隣の芝生は青い」時の対処法
対処法を知っていれば、他人と比較して落ち込むことも軽減されそうですね。ここで、マスターしておきましょう。
1:自分が心地いいと感じる時間を過ごす
人に自慢したり、「いいね」を求め、SNSにアップするために、どこかに出向いたり。他人に目を向けるのではなく、自分が一番リラックスできる時間を過ごしましょう。休日はゆっくり起きる、天気のいい日に少し遠出してみる、お気に入りのカフェで本を読む、など。携帯電話を家に置いて、外出してみるのもいいかもしれません。
2:隣の芝生は青いものだと認識する
誰でも「隣の芝生は青い」と感じることがあります。一方で、他人から見れば、自分の方が青い芝生である場合も。隣の芝生は青いものだと認識しておけば、気持ちも軽くなるのではないでしょうか。みんな違って、みんないい。他人の青さも、自分の青さもそれぞれの個性であると言えます。
3:自分で自分を認める
自分で自分を褒める、ことも大事ですが、その前にまず、自分を認めることから始めてみましょう。「今日はプレゼンがうまくいった」「タスクを1つこなせた」「ウォーキングで5000歩、歩いた」。どんなことでも構わないので、できた自分を認めてあげましょう。
自分を認める体験を少しずつ積み重ねることで、自信を持てるようになります。まずは、実行できそうなことから、始めてみてください。
最後に
他人がやっていることや、チャレンジしていることは気になるところ。それがとっても素晴らしく、素敵なことに感じてしまい、「私なんて… 」と感じてしまう方も、いらっしゃるかもしれませんね。隣の芝生は青いですが、自分の芝生も青いことを、お忘れなく。他人の芝生を意識するより、自分の芝生を青く立派に育てることを心がけましょう。
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