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2025.01.09

「張子の虎」の意味と由来を解説! 現代に活かせる魅力的な使い方とは?

「張子の虎(はりこのとら)」とは、見た目の勇ましさとは裏腹に「見かけだおしの人」という意味を持つことわざです。この記事では、「張子の虎」の意味や由来と歴史、例文等を紹介します。

「張子の虎」という言葉を聞いた人や姿を見たことがある人は、多いかもしれません。日本の伝統的な工芸品である「張子の虎」には、どのような意味や背景があるのでしょうか? この記事では、「張子の虎」の魅力や文化的背景、そして現代における楽しみ方を具体的に探っていきます。

「張子の虎」とは? 意味と由来を知ろう

「張子の虎」は、特に日本文化において、飾り物や縁起物として長い歴史を持つ工芸品です。その形や意味には、日本独自の価値観が詰まっています。ここでは、「張子の虎」の基本的な情報を整理し、わかりやすくお伝えします。

辞書
(c) Adobe Stock

「張子の虎」の意味

まずは、「張子の虎」の意味を辞書で確認しましょう。

はりこ‐の‐とら【張(り)子の虎】
虎の形をした首の動く張り子のおもちゃ。転じて、首を振る癖のある人、また、虚勢を張る人、見かけだおしの人などをあざけっていう語。

引用:『デジタル大辞泉』(小学館)

「張子の虎」は、見た目の勇ましさとは裏腹に「見かけだおしの人」という意味合いを持つことわざとしても知られています。例えば、見た目だけで中身が伴わない状況を象徴的に表現する際に使われることが多いです。

一方で、「張子の虎」の工芸品は、インテリアや縁起物としては力強さの象徴として親しまれています。

張子の虎の由来と歴史

「張子の虎」とは、そもそも張り子で作った虎の玩具のことを指します。つつくと首を振る仕掛けになっています。「張子の虎」は、江戸時代に玩具として広まりました。

始まりは、中国から伝わった虎王崇拝の影響を受けています。虎は力強さや魔除けの象徴とされ、日本では健康祈願や尚武精神を象徴する存在として、端午の節句などで親しまれるようになりました。

1687年の井原西鶴(さいかく)の『男色大鑑(なんしょくおおかがみ)』や1772年の『江都二色(えどにしき)』といった江戸時代の文献には、すでに張子製の虎玩具が登場しており、当時の人々に愛されていた様子がうかがえます。子どものおもちゃとしてはもちろん、縁起物や祭りの飾りとしても幅広く活用されていました。

時代が進むにつれ、第二次世界大戦中には「虎は千里行って千里帰る」という言葉にちなみ、出征兵士の守りとしても利用されるようになりました。戦後は郷土玩具として再び注目され、地域ごとの特色を持つ張子の虎が各地で製作されています。

「張子の虎」は、どんな場面で使える? 具体的な例文を紹介

「張子の虎」は日本の伝統的な工芸品であるだけでなく、日常会話でも比喩として用いられます。ここでは、具体的な例文と背景を解説し、「張子の虎」という言葉の魅力を深く掘り下げていきます。

仕事 会話
(c) Adobe Stock

「彼のリーダーシップは張子の虎だね。見た目は堂々としているけれど、中身が伴っていないんだ」

この例文では、「張子の虎」を中身が伴わない見かけ倒しの象徴として使っています。リーダーシップが見かけだけで実質が伴わない人を表現する際に、日常の会話で使える比喩表現です。

このフレーズは、やんわりと批判を込めつつも直接的すぎないため、ユーモアとしても活用できます。

「新しいレストラン、外観は豪華だけど料理は普通だったね。ちょっと張子の虎みたいな感じ」

ここでは、レストランの見た目が豪華な割に、中身である料理が期待外れだったという状況を「張子の虎」にたとえています。美しい外観や広告だけで実質が伴わないものを表すときに、親しみやすく伝える言い回しとして適しています。

友人との会話など、カジュアルな場面での表現としても活用できますね。

「端午の節句には、張子の虎を飾ると厄除けになるといわれているよ」

このフレーズは、張子の虎が縁起物として使われる文化的な役割を説明しています。特に、端午の節句では、虎が魔除けや健康祈願の象徴として親しまれています。この文脈では、張子の虎が持つ歴史的・文化的な価値を伝えることができます。伝統的なイベントや風習について語る際に適した表現です。

「張子の虎」を知れば地域文化も深まる!

「張子の虎」は日本各地で親しまれており、地域ごとの特色を反映した名産品として知られています。それぞれの背景を知ることで、地域文化への理解がより深まります。観光やお土産としても注目される張子の虎を、各地の視点から見てみましょう。

張子の虎 外
(c) Adobe Stock

島根県出雲地方の「張子の虎」

出雲の張子の虎は、独特のデザインで知られています。尾がS字に曲がって立ち、お尻を突き出している姿勢は、他の地域の張子の虎とは一線を画します。また、口を開けたひょうきんな表情も愛嬌たっぷりで、見る人を和ませる魅力があります。

製作には、和紙を張り合わせた上に貝殻を原料とする胡粉を塗り固める伝統的な技法が用いられます。黄色と黒を基調とした鮮やかな色彩が施され、シュロを使ったひげや埋め込まれた牙など、細部までこだわり抜かれた仕上がりが特徴です。

香川県三豊市の「張子の虎」

三豊市の張子の虎の魅力の一つは、表情の多様性です。手作業で作られるため、同じデザインでも一つ一つに個性があり、購入者はお気に入りの一体を探す楽しみを味わうことができます。

ひょうきんな顔立ちや愛嬌のあるデザインは、特にキーホルダーやストラップのような小型の作品で顕著です。作り手によって形や表情が大きく異なるため、それぞれが持つユニークさも、張子の虎が長く愛され続けている理由の一つでしょう。

岡山県倉敷の「張子の虎」

倉敷の張子の虎は、地域の縁起物として広く親しまれてきた伝統工芸品です。その起源は、男児の誕生を祝い、健康と幸運を祈るために倉敷の職人が創作した張子の虎にあります。この作品が評判を呼び、やがて地域独自の文化として定着しました。

倉敷の張子の虎は、ユーモラスな動きと表情が最大の特徴です。その愛らしさは見る人を和ませます。倉敷では、虎だけでなく、十二支をはじめとするさまざまな動物の張子も手掛けるようになり、そのバリエーションは地域文化の豊かさを示していますよ。

地域ごとのデザインの違いを楽しむ

各地域を訪れた際には、地元の歴史や風土が反映された独自の「張子の虎」を探す楽しみが広がりますね。それぞれの地域に根付く文化の中で生まれた「張子の虎」は、工芸品としてだけでなく、その土地の物語を伝える存在でもありますよ。

最後に

「張子の虎」は、古くから愛される伝統工芸でありながら、現代の生活や文化にも寄り添った多様な魅力を持っています。その意味や歴史を知ることで、より豊かな視点を得られるのではないでしょうか? ぜひ、あなた自身の生活にも取り入れてみてください。

TOP画像/(c) Adobe Stock

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