百発百中とは?
百発百中は、「ひゃっぱつひゃくちゅう」と読みます。ここでは、百発百中の意味や由来となった中国の故事を見ていきましょう。
言葉の意味
百発百中は、発射した弾丸や矢などがすべて命中するという意味です。そこから、予想や狙いがすべて当たることを表しています。
「百発」は、矢や弾丸などを百回放つこと。「中」は当たるという意味で、「百中」は放った百の矢や弾丸がことごとく命中するという意味があります。そのため、何回やってもすべてが成功するという意味が込められた言葉です。
ひゃっぱつ‐ひゃくちゅう
出典:小学館 デジタル大辞泉
1 放った矢や弾丸が必ず命中すること。「—の腕前」
2 計画や予想がすべて当たること。
百発百中の故事
百発百中は、中国の古書である「戦国策」が由来のようです。書物には、楚(そ)の国の弓の名人である養由基(ようゆうき)が、100歩離れたところにある柳の葉に矢を100回放って100回命中させられたという故事があり、これが百発百中という言葉の出典とされています。
百発百中の使い方・例文
百発百中の例文をいくつか紹介します。文脈から、言葉の使い方を確認しましょう。
・彼は弓道の名手として有名で、その腕前は百発百中といわれている
・彼の企画したプランは百発百中といってもいいほど成功する
・百発百中とは行かなくても、数発はあたるように腕を磨きたいものだ
・百発百中できるほどの腕前になるために、彼は射撃の訓練に励んでいる
・彼が推薦する映画は百発百中の割合で人気が出るため、その目利きは信頼できるだろう
・彼女はとても勘がよく、その推測は百発百中の精度で当たっている
・彼はやり手の営業マンで、百発百中で商談を獲得しているという噂がある
百発百中の類義語・言い換え表現
百発百中には、次のような類義語や言い換え表現があげられます。
・一発必中(いっぱつひっちゅう)
・百戦百勝(ひゃくせんひゃくしょう)
それぞれの意味をみていきましょう。
一発必中
一発必中とは、弾丸や矢などを目標に放ち、必ず命中させるという意味です。ただ一度のチャンスで成功させるという意味もあります。
必ず命中させるという意味で百発百中と似た言葉です。どちらも精度が高いことや、優秀なものを表現するときに使えます。ただし、「一度のチャンスで成功させる」という意味は百発百中にはないため、使用する際は注意してください。
〈例文〉
・彼はいつも一発必中の覚悟で試合に臨み、思い通りの結果を出してきた
・彼女は難度の高い資格試験に初めて挑戦し、見事に合格した。まさしく一発必中といえるだろう
・初めてのプレゼンテーションは一発必中の勝負だったが、無事に成功させられた
・何事も一発必中のつもりで行わないと、いつまでたっても成功できない
百戦百勝
百戦百勝とは、100回戦って100回勝つという意味です。戦うたびに必ず勝利することを表しています。
言葉の由来は、古代中国の孫子の言葉とされています。 「百戦百勝、善の善なる者に非らず」という言葉で、「百戦百勝」は最善の戦略というわけではなく、敵兵と戦わずして勝つことが最高の戦い方であると伝えています。
戦いにおいては、自分の国や軍隊をできるだけ傷つけずに済ませるのが最善であり、実際に戦って相手を打ち破るのは損害を伴うことから次善の策であるというものです。
百発百中は予想や狙いが的中したときに使う言葉ですが、百戦百勝は勝負事やスポーツ、ビジネスなどで使われることが多いでしょう。
〈例文〉
・近年のスポーツは力の差がなくなり、以前のような百戦百勝という選手は出てこなくなった
・賭け事はなかなか百戦百勝というわけにはいかず、かえって負けてばかりのことが多い
・ゲームなら百戦百勝の自信があるが、現実となるとなかなかそうはいかないだろう
・彼は社内で成績がトップの営業マンで、その実力は百戦百勝ともいわれている
百発百中の対義語
矢が必ず命中するという意味の百発百中と反対の意味になる言葉は、「下手な鉄砲も数撃てば当たる(へたなてっぽうもかずうてばあたる)」があげられます。
下手で的に当てられない場合でも、何度も試してみれば成功することがあるという意味のことわざです。物事を根気よく行うことで、成功できる可能性があることを表しています。
〈例文〉
・下手な鉄砲も数撃てば当たるで、多くの会社にエントリーしたが、まだ1社からも内定をもらえていない
・自分は特に特技はないが、下手な鉄砲も数撃ちゃ当たる精神で誰よりも多くの経験をしてきた。その結果、現在の成功につながっている
・我が社の営業は周到な戦略が必要であり、下手な鉄砲も数撃てば当たるといった心構えでいてはいつまで経っても契約を獲得できないだろう
・下手な鉄砲も数撃てば当たるではないが、まず行動してみなければ成功できるかどうかはわからない
百発百中は計画や狙いがすべて当たること
百発百中は、放った矢や弾丸がことごとく命中するという意味です。そこから、予想や計画、狙いがすべて当たることを表しています。精度が高いこと、腕がいいことを表すときに使う言葉です。
類義語には、一発必中や百戦百勝があげられます。いずれも「必ず成功すること」を指して使われますが、百発百中とは使う場面が異なる場合もあるため、意味を確認して使い分けるとよいでしょう。
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