「鷲鳥不群(しちょうふぐん)」という言葉は、第102代内閣総理大臣・石破茂氏の座右の銘として広く報道されました。政治の世界もそうですが、ビジネスの世界で一歩先を行くためには、他者と異なる視点や行動が求められます。
その中で、「鷲鳥不群」という言葉が持つ深い意味に触れることで、自分らしい生き方や働き方を見つけるヒントが得られるかもしれません。意味や「鷲鳥不群」の実践例などをみていきましょう。
「鷲鳥不群」の意味と活用法
「鷲鳥不群」という言葉は、あまり聞きなれない言葉かもしれません。まずは読み方と意味から確認していきましょう。
「鷲鳥不群」の読み方と基本的な意味
「鷲鳥不群」は、「しちょうふぐん」と読みます。鷲(わし)のような強い鳥は群れを作らず、単独で行動することを表しています。この言葉は、卓越した人物は他者に流されず、自らの信念に基づいて行動することを示唆しているといえるでしょう。
成功者に学ぶ「鷲鳥不群」の実践例
歴史的にも「鷲鳥不群」の精神を体現した人物が多く存在します。その中の一人、陸奥宗光(むつむねみつ)を紹介します。彼の生き方から、独自性を持つことの大切さを学びましょう。
陸奥宗光の場合
明治時代の外交官・政治家である陸奥宗光は、「鷲鳥不群」という言葉を好んでいたことで知られています。和歌山藩士の子として生まれた宗光は、坂本龍馬の海援隊に参加し、明治維新後は政府の要職を歴任しました。
しかし、薩長藩閥による政治に不満を抱き、自らの信念を貫くために独自の道を歩むことに。その後、外務大臣として不平等条約の改正に尽力し、日本の国際的地位を高めることに成功しました。
陸奥宗光の生涯は、他者に流されず自分の信じる道を進む「鷲鳥不群」の精神を体現しているといえるのではないでしょうか。
なぜ今、「鷲鳥不群」がビジネスパーソンに必要なのか
現代のビジネス環境は急速に変化しており、従来の方法では生き残れない場面が増えてきました。そうした社会では「鷲鳥不群」の精神を持つことで、独自の価値を提供し、他者との差別化を図ることができます。なぜ「鷲鳥不群」の精神が必要とされるのかを見ていきましょう。
独自性が求められる現代のビジネス環境
急速な技術革新や市場の多様化により、ビジネスは予測不可能な時代に突入しています。このような環境では、他者と同じ戦略では競争に勝てないでしょう。自分独自の視点や価値観を持ち、それをビジネスに活かすことが求められます。
例えば、新たなニーズを発見し、これまでにないサービスを提供することで市場を開拓するなど、自らの独創性が成功のキーポイントとなります。「鷲鳥不群」の精神を持つことで、他者に流されず、自分だけの道を切り開くことが可能になるといえますね。
群れから抜け出すことで得られるメリット
周囲の常識や慣習に縛られず、自分の道を歩むことで、新たな可能性が開けるものです。例えば、新しいスキルを習得したり、異なる業界に挑戦することで、自身の視野や経験が大きく広がります。
また、自ら決断し行動することで、問題解決能力やリーダーシップが養われるでしょう。こうした行動は個人の成長だけでなく、独自の価値を生み出す原動力となり、結果的にビジネスでの成功につながるといえます。
座右の銘にしたい四字熟語
「鷲鳥不群」の他にも、ビジネスパーソンが心に留めておきたい四字熟語があります。数多くある中から、3つを紹介しましょう。
明鏡止水(めいきょうしすい)
まずは、「明鏡止水」の意味を辞書で確認しましょう。
めいきょう‐しすい〔メイキヤウ‐〕【明鏡止水】
引用:『デジタル大辞泉』(小学館)
《「荘子」徳充符から》曇りのない鏡と静かな水。なんのわだかまりもなく、澄みきって静かな心の状態をいう。「―の心境」
「明鏡止水」は、澄み切った鏡や静かな水面のように、心が雑念や迷いから解放された状態を表していることがわかりました。ビジネスの場で冷静な判断を下すためには、心の平静を保つことが大切です。心に留めておきたい言葉ですね。
泰然自若(たいぜんじじゃく)
「泰然自若」の意味を辞書で確認します。
たいぜん‐じじゃく【泰然自若】
引用:『デジタル大辞泉』(小学館)
[ト・タル][文][形動タリ]落ち着いていて物事に動じないさま。「―として騒がず」
「泰然自若」は、どんな状況でも落ち着きを失わず、堂々とした態度を保つことを意味します。困難な状況に直面しても動揺せず、自信を持って行動することで、周囲からの信頼も得られるでしょう。どんなときも、こうした態度を実践したいですね。
一意専心(いちいせんしん)
「一意専心」の意味も辞書で確認しましょう。
いちい‐せんしん【一意専心】
引用:『デジタル大辞泉』(小学館)
(副詞的に用いて)わき目もふらず心を一つのことだけに注ぐこと。「―環境問題に取り組む」
「一意専心」は、ただ一つのことに心を集中させることを指すということがわかりました。目標達成のために全力を注ぐことで、高い成果を生み出すことができます。やらなければならないことが数多くあったとしても、目の前にある一つ一つに集中して取り組むことの大切さを教えてくれているような言葉です。
最後に
「鷲鳥不群」の精神は、現代のビジネスシーンにおいても大いに役立つ考え方です。他者に流されず、自分だけの価値を見つけ、それを磨き続けることで、新たな道が開けるかもしれません。あなたも「鷲鳥不群」の心を持って、自分らしいキャリアを築いてみませんか。
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