夫唱婦随という言葉は、現代の価値観とは必ずしも一致しない言葉でしょう。しかし、意味や由来、言い換え表現を把握しておくことは、知識として役に立つことがあります。早速、確認していきましょう。
夫唱婦随の意味や読み方、由来は?
まずは、「夫唱婦随」の意味や成り立ちを確認し、現代的な視点での解釈を考えてみましょう。
読み方と意味
「夫唱婦随(ふしょうふずい)」は、「夫が主導し、妻がそれに応じる」という意味を持つ四字熟語です。
ただし、ここでの「主導」や「応じる」という言葉は、古い価値観のまま捉える必要はないでしょう。むしろ、それぞれが自分の得意分野を活かしながら、互いを補い合う関係性を象徴していると考えることができます。
由来は?
「夫唱婦随」は、中国の古典『関尹子(かんいし)』三極の「天下の理は、夫は唱え、婦は随う」から来ています。
「夫唱婦随」の類語や言い換え表現にはどのようなものがある?
「夫唱婦随」という言葉が持つ意味を少し異なる角度から表現したい場合、類語や言い換え表現を活用することで、シチュエーションに合ったニュアンスを伝えることができます。ここでは、それぞれの言葉が持つ独特の魅力を紹介します。
夫婦和合
「夫婦和合(ふうふわごう)」は、夫婦が互いを尊重し、穏やかで調和のとれた関係を築いている様子を指します。この言葉は、特定の役割分担や主従関係を強調する「夫唱婦随」とは異なり、平等で対等なパートナーシップのイメージが強いのが特徴です。家庭内での関係性を円満に保つことを表現する際に、幅広く使える便利な言葉でしょう。
(使用例)「夫婦和合の家庭を築く秘訣は、互いの意見を尊重することだと思う」
比翼連理
「比翼連理(ひよくれんり)」は、中国の伝説に由来する言葉で、男女の深い絆や調和を意味します。
「比翼」とは、雄と雌がそれぞれ一つの目と翼しか持たない伝説の鳥であるため、常に寄り添いながら一体となって飛びます。一方、「連理」は、2本の異なる木が枝を交え、まるで一つの木のように成長し、木目さえ通じ合う様子を表します。この2つが結びつき、男女の切っても切れない深い愛情や絆の象徴として使われているのです。
「夫唱婦随」が日常的な協力や調和を表すのに対し、「比翼連理」は愛情の深さや強い絆をロマンチックに伝える言葉だといえますね。
(使用例)「結婚記念日には、比翼連理のような二人の関係を改めて誓い合った」
呼応
「呼応(こおう)」は、夫婦だけでなく、職場や友人関係など幅広い人間関係で使える表現です。相手の言葉や行動に対して、自分も調和して動くことを指します。この言葉の魅力は、「夫唱婦随」のように特定の立場に偏らない点です。対等な関係性での協力や連携を表現するのに適しています。
(使用例)「チーム全員が呼応して働いたおかげで、このプロジェクトは成功した」
夫唱婦随を四字熟語を英語表現にすると?
続いて、「夫唱婦随」の英語表現を紹介しましょう。
the wife to follow the husband’s lead
英語では「the wife to follow the husband’s lead」が対応する表現として使えます。直訳すると「妻が夫の導きに従う」です。
使用例:“In today’s relationships, mutual respect often replaces the traditional notion of the wife to follow the husband’s lead.”(現代の関係では、相互の尊重が伝統的な「夫唱婦随」の考えに取って代わることが多いです。)
最後に
「夫唱婦随」という言葉は、時代背景や文化を理解するうえでの手がかりとなります。現代の価値観とは異なる考え方も、歴史的な視点で学ぶことで新たな発見があるかもしれません。
TOP画像/(c) Adobe Stock