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2024.11.27

寒山拾得(かんざんじっとく)って何? 禅画の題材や人物に関連した四字熟語を解説

寒山拾得とは、禅画の画題の1つです。寒山と拾得の二人の僧が描かれています。
この記事では、寒山拾得の意味や寒山拾得以外の禅画の画題について解説します。また、後半では「寒山拾得」から派生し、人物に関する四字熟語も紹介しているため、ぜひ参考にしてください。

寒山拾得とはどんな意味?

寒山拾得とは、禅画の画題としてよく描かれる二人の僧を意味する四字熟語です。日常生活で目にすることはほとんどかもしれない四字熟語ですが、「初めて知った」という方へ向けて、寒山拾得の意味や美術品としての解説をします。

寒山拾得の意味

寒山拾得(かんざんじっとく)は、「寒山」と「拾得」の二人の僧を表した四字熟語です。寒山が経巻を開き、拾得がほうきをもつ図は、禅画の画題としても知られています。また、長唄の舞踊劇を指すこともある言葉です。

寒山と拾得の二人は、中国・唐代の詩人としても知られており、確実な伝記はいまだ不明のようです。

寒山の詩によると、同人は農家の生まれであったが本ばかり読んでいて、妻や村人に疎まれていたそう。そのため家を飛び出し、放浪の末、天台山に隠棲することになりました。同人は亡くなるまでに、300余りの詩を残したといわれています。

かんざん‐じっとく【寒山拾得】
1. 寒山と拾得の二人の僧。寒山が経巻を開き、拾得がほうきを持つ図は、禅画の画題。
2. 舞踊劇。長唄。坪内逍遥 (つぼうちしょうよう) 作詞、4世吉住小三郎・3世杵屋六四郎 (きねやろくしろう) 作曲、藤間勘右衛門振り付け。明治44年(1911)初演。雪舟の「寒山拾得図」の枯淡、洒脱 (しゃだつ) な感じを表現。

出典:小学館 デジタル大辞泉
本
(c) Adobe Stock

美術品としての「寒山拾得」

寒山・拾得が禅画の画題として描かれるようになったのは、宋代以降のことです。禅僧や、文人たちによって描かれたことが始まりとされています。なお、寒山拾得画は、日本でも鑑賞絵画として作られています。

寒山拾得画は、さまざまな人物によって描かれてきましたが、ほうきや筆や巻物、書状を手にした蓬髪弊衣が有名です。

禅画の画題

禅画とは、江戸時代以降の禅僧によって描かれた絵画のことを指します。禅画の画題には、さまざまなものがあり、ここまで解説した寒山拾得もその一つです。

ほかにも禅画の画材には、以下のようなものが挙げられます。

・達磨図
・祖師図
・禅機図
・釈迦図

それぞれの特徴や代表作について、簡単に見ていきましょう。

三つ重ねられた石と砂
(c)AdobeStock

達磨図

達磨図(だるまず)は、多く人物によって描かれてきたといえる画題です。とはいえ同じ達磨図であっても、作者によって作品から受ける印象は異なるでしょう。

中でも有名なのが、北宗画風の人物画・仏画を得意としていた逸然による、草座に坐する正面観の達磨図といえます。端正な顔立ちと衣の鮮やかな色彩が調和し、凛とした達磨が表現されています。

祖師図

祖師図とは、室町時代の画家・狩野元信作とされる紙本墨画淡彩の絵画のこと。狩野元信は、室町時代〜江戸時代にかけて活躍した日本画の一流派・狩野派の基礎を築いた人物です。狩野派は、日本絵画史上、最大の規模を誇ったとされています。

同人によって描かれた祖師図は、中国・唐時代における禅僧のエピソードを基にしており、仏教の修行において教師や手本とすべき人物の姿を描いたものといわれています。現在は掛軸となっており、国指定の重要文化財です。

禅機図

禅機図とは、おもに禅僧の悟りを開くきっかけとなった体験や極意を、象徴的に表現したもののことです。

禅機図の代表例は、梁楷(りょうかい)の『六祖截竹(せっちく)図』とされています。これは、六祖慧能(ろくそえのう)が竹を割り、その音によって悟りを開いたというシーンを描いた禅機図のようです。

そのほか、因陀羅(いんだら)によって描かれた『丹霞焼仏図』も有名でしょう。

釈迦図

釈迦図や観音図も、禅画の画題として知られています。釈迦図は、禅機図の代表作としても紹介した梁楷(りょうかい)による作品、出山釈迦図が代表作といえるでしょう。精妙な筆がよく表現されている人物画です。

人物に関する四字熟語

寒山拾得とは、シンプルに解説すると禅画に描かれた二人の僧のことです。このように、四字熟語では人物の特徴に表現されています。

特定の人物を指す四字熟語はそう多くありませんが、人物の特徴に触れた表現は数多くあります。本章では「大器晩成」「漁夫之利」「才色兼備」「海千山千」といった4つの言葉を見ていきましょう。

星を持ったり掲げたりしている人たちのイラスト
(C)Adobe Stock

大器晩成

大器晩成(たいきばんせい)は、どのような人物でも大成するまでには時間がかかるという意味の四字熟語です。ほかにも大物は、遅れて頭角を表すといった意味も含まれています。

大きな器は作るのに時間がかかることから、上記の意味で使われるようになりました。

基本的には褒め言葉として用いられますが、才能があるにもかかわらず運に恵まれていない人に対する慰めとしても使われます。

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漁夫之利

漁夫之利(ぎょふのり)は、二人が利益をめぐって争っているところに、第三者が現れて利益を横取りするさまを例えた四字熟語です。「漁父之利」と書くこともありますが、どちらも意味は同じです。

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才色兼備

才色兼備は、優れた才能と容姿の美しさをあわせもっている人を指す四字熟語です。読み方は「さいしょくけんび」ですが、「さいそくけんび」と読むこともあります。

才色兼備は多くの場合、女性に対して使われる傾向にある四字熟語です。才色とは、才能や才知、容姿のことを表します。兼備とは文字通り、兼ね備えるという意味をもつ熟語です。

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海千山千

海千山千(うみせんやません)は、ずる賢いという意味で用いられる四字熟語です。

「海に千年、山に千年」という意味であり、長い年月を経てさまざまな経験を積み、世の中の表も裏も知り尽くしているからこそ、悪知恵がはたらくという意味で用いられます。また、そのような「したたかな人」を表す場合も。

海と山に長らく棲みついた蛇は、竜へと進化するという言い伝えが由来となっています。

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寒山拾得を正しく使おう

寒山拾得とは禅画の画題の1つであり、寒山と拾得の二人の僧が描かれています。禅画の画題は、寒山拾得のほかに「達磨図」「祖師図」「禅機図」「釈迦図」などもあります。

寒山拾得は、普段はあまり馴染みのない言葉かもしれませんが、ぜひこの機会に押さえておいてください。

メイン・アイキャッチ画像:(c)Adobe Stock

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