「大器晩成」とは?簡単に基礎知識を解説
「大器晩成」の読み方は〈たいきばんせい〉です。才能があるものの世間に認められず苦労している人や、若いころに苦労したものの晩年になってようやく成功をつかんだ人などに使います。ポジティブな意味で、ビジネスシーンの人物を評価するときなどに用いられる四字熟語です。
それでは、大器晩成とはどのような言葉なのか、基礎知識を確認しましょう。詳しい意味や語源・由来が故事であること、使い方・例文、「大器晩成型」の人の性格・特徴などを解説します。
大器晩成の意味
大器晩成とは、「偉大な人物は世に出るまでに時間がかかること」を指す言葉です。大きな器は、完成するまでに多くの時間がかかります。偉大な人物が大成するまでの時間も、それと同様に長い年月がかかり、遅れて頭角を現すものであるという表現です。
大器晩成のうち、「大器」とは「大きな入れ物」もしくは「並外れた才能や器量をそなえた人物」を指します。「晩成」の意味は、「晩く成る(おそくなる)」つまり「通常よりも遅れて完成すること」「年をとってから成功すること」です。
これらを組み合わせ、現在の意味で使われています。
大器晩成の語源・由来は故事
大器晩成の語源・由来となったのは、老子が残した中国の書物「老子道徳経」とされています。
〈原文〉
大方無隅 大器晩成 大音希声 大象無形
〈読み下し文〉
大方は隅無し 大器は晩成し 大音は声希かに 大象は形無し
〈意味〉
あまりに大きな方形は隅がないかのようであり、大きな器は完成が遅い。大きすぎる音は聞き取れず、大きすぎる事象は認識できない。
ただし、老子道徳経での大器晩成の使い方は、「大きすぎるものは完成しない」という解釈もでき、ポジティブな意味で用いるようになったのは後年になってからだと考えられています。
大器晩成の使い方や例文
それでは、大器晩成の使い方を簡単な例文で確認しましょう。
・あの子は要領がいいわけではないけれど、疑問に思ったことをしっかりと調べている。大器晩成型の子なのではないだろうか。
・今はまだ周りから評価されていないけれど、大器晩成を信じて続けてみようと思う。
・彼は小さなころから努力を続け、見事に成功者となった。まさに大器晩成だ。
・大丈夫。きっとあなたは大器晩成型の人だと思うよ。
このように、「誰かを褒めるとき」「誰かや自分を激励するとき」「落ち込んでいる人を慰めるとき」などに使われます。
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「大器晩成型」の人にみられる性格・特徴
長い時間をかけて成功を収める大器晩成型の人は、時間をかけてコツコツ力を蓄えるため、最終的に成功する確率が高いとも考えられるようです。
大器晩成型の人には、たとえば以下のような特徴がみられます。
・コツコツと努力し続けられる
・逆境に耐えられる精神力がある
・向上心が強い
・自分の信念がしっかりとある
・自分の軸がぶれない
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大器晩成の関連語もチェック!
あわせて、大器晩成の関連語も確認しましょう。
大器晩成の類語・言い換え表現と対義語表現としては、以下のような例があげられます。
〈類語・言い換え表現〉
・大本晩成(たいほんばんせい)
・大才晩成(たいさいばんせい)
・遅咲き
〈対義語表現〉
・啄木鳥(きつつき)の子(こ)は卵(たまご)から頷(うなずく)く
・栴檀双葉(せんだんのふたば)
最後に、これらの言葉の意味を解説します。
大器晩成の類語・言い換え表現
類語・言い換え表現は、以下のとおりです。
・大本晩成(たいほんばんせい)
……優秀な人は年を取ってから頭角を現すこと。「大本」とはものごとの根源となるもの。
・大才晩成(たいさいばんせい)
……優秀な人は年を取ってから頭角を現すこと。「大才」とは優れた才能や器量のこと。
・遅咲き
……成功するまでに時間がかかること。
また、「スロースターター」なども、大器晩成の類語・言い換え表現といえます。
「長い時間をかけて大事業を成し遂げる」という意味では、「ローマは一日にして成らず」や「愚公山を移す」も似たように使用可能です。
大器晩成の対義語表現
一方で、大器晩成の対義語表現は以下のとおりです。
・啄木鳥(きつつき)の子は卵から頷く
……幼いときから将来を予見させる才能を秘めていること。
・栴檀双葉(せんだんのふたば)
……成功を収める人は、幼いときから優れていること。
どちらも、幼いときから優れていることがわかっているという点が、大器晩成と対照的だといえるでしょう。
大器晩成という言葉を正しく理解しよう
大器晩成とは、「偉大な人物は世に出るまでに時間がかかること」です。
言葉の詳しい意味や使い方、関連する表現などを確認し、多くの言葉を正しく使いましょう。
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