「荒唐無稽」とは?簡単に基礎知識を解説
「荒唐無稽」の読み方は、〈こうとうむけい〉です。「そのような荒唐無稽な話があるわけがない」などのように会話のなかで使われています。
はじめに、荒唐無稽とはどのような言葉なのか、基礎知識を確認しましょう。詳しい意味や語源・由来、荒唐無稽な人・荒唐無稽な計画などの使い方・例文などを解説します。あわせて、使う際に注意するポイントも確認しましょう。
意味は「言動に根拠がなく、現実味のないこと」
荒唐無稽とは、「言動に根拠がなくて現実味のないこと」「でたらめなこと」を意味する言葉です。相手の言葉や行動などに根拠が認められず、「非現実的だ」「でたらめだ」と感じたときなどに使います。
また、人物の特徴や性格を言い表す際にも、「荒唐無稽なところがある人だ」などと表現可能です。
荒唐無稽の「荒唐」は、「限りなく大きくてつかみどころがない」という意味で使われていた言葉です。さらに、「言葉や考え方に根拠が認められないこと」を指す場合もあります。「無稽」は、「根拠がなくでたらめなこと」を意味します。
荒唐無稽の語源・由来
語源・由来となったといわれているのは、「荒唐之言(こうとうのげん)」や「無稽之言(むけいのげん)」です。
荒唐之言は、中国の思想家・荘子(そうし)の著書である『荘子(そうじ)』に登場する言葉です。荘子のなかで、荒唐は「限りなく大きい」「つかみどころがない」と、良い意味で使われています。
一方、無稽之言は中国の儒教の経典である五経のうち、『書経(しょきょう)』に見られる言葉です。無稽は「根拠がなくでたらめなこと」を意味しています。
中国の古典において、「荒唐之言」と「無稽之言」が同時に使われている事実や、「荒唐無稽」という言葉そのものは見当たりませんが、これらが組み合わされ、「でたらめなこと」を強調した意味の言葉として使われるようになったと考えられています。
荒唐無稽な人・荒唐無稽な計画などの使い方や例文
実際に使う際は、「荒唐無稽な人」「荒唐無稽な計画」などと表現します。それでは、使い方を簡単な例文で確認しましょう。
・彼が話した計画は、あまりにも荒唐無稽な内容だった。宝くじを当てて、それを元手に起業するなど、できるとは思えない。
・彼女は、荒唐無稽なところがある人です。
・今日観た映画は荒唐無稽なシナリオで、ついていけなかった。
・彼はビジネスでは新しいものを生み出して大活躍しているが、傍から見ると荒唐無稽な発言ばかりしているように感じた。
・荒唐無稽に感じるアイデアだとしても、実は成功をもたらす発想である可能性があります。
荒唐無稽を使う際に注意するポイント
実際に使う際は、注意すべきポイントがあります。
先述したとおり、荒唐無稽とは言動に根拠がなくて現実味のないこと・でたらめなことを指す表現です。ネガティブなニュアンスが強く、よい意味で使われることはほとんどありません。
誰かに対して使う場合には、その対象を否定することになる可能性があります。使い方によっては相手に失礼になる場合があり、不快な思いをさせてしまいかねないことを押さえておきましょう。
荒唐無稽の関連語もチェック!
荒唐無稽の関連語も、あわせて確認しましょう。
荒唐無稽の類語・言い換え表現と対義語表現は、以下のとおりです。
<類語・言い換え表現>
・無茶苦茶、滅茶苦茶
・突拍子もない
・出鱈目
<対義語表現>
・杓子定規
・合理的
それぞれの言葉の意味を解説します。
荒唐無稽の類語・言い換え表現
荒唐無稽の類語・言い換え表現は、以下のとおりです。
・無茶苦茶(むちゃくちゃ)、滅茶苦茶(めちゃくちゃ)
……まったく筋道が通らないこと。度外れなこと。
・突拍子もない(とっぴょうしもない)
……とんでもなく調子はずれであること。並外れであること。
・出鱈目(でたらめ)
……言動がいいかげんなこと。筋が通らないこと。
これらのほかに、「非常識」や「頓珍漢(とんちんかん)」「荒唐不稽(こうとうふけい)」「荒誕不稽(こうたんふけい)」なども、荒唐無稽の類語・言い換え表現だといわれています。
▼あわせて読みたい
荒唐無稽の対義語表現
荒唐無稽の対義語表現は、以下のとおりです。
・杓子定規(しゃくしじょうぎ)
……一定の基準に当てはめて物事を判断していて、融通がきかないさま。
・合理的(ごうりてき)
……道理や論理にかなっているさま。目的にあっていて無駄のないさま。
杓子定規は、ひとつの規則や標準に当てはめて物事を判断することを指します。荒唐無稽は物事を判断する根拠がないことを意味するため、反対の意味だといえるでしょう。ただし、ネガティブなニュアンスがある荒唐無稽と対照的な言葉であるとはいっても、杓子定規も褒め言葉にはならないことに注意が必要です。
▼あわせて読みたい
荒唐無稽と「支離滅裂」との違い
荒唐無稽と似たシーンで使われる言葉に、「支離滅裂(しりめつれつ)」があります。支離滅裂とは、「物事に一貫性がなく、ばらばらでまとまりのないことや、そのさま」を意味する言葉です。「支離滅裂な話」「説明が支離滅裂だ」などと使います。
荒唐無稽と支離滅裂は、どちらも「でたらめであること」を表現可能です。使い分けるヒントとしては、荒唐無稽は話の内容は理解できるものの言動に根拠がないことを、支離滅裂は話の内容自体が理解できないようなことを指すというニュアンスを踏まえるとよいでしょう。
▼あわせて読みたい
荒唐無稽という言葉を正しく理解しよう
荒唐無稽は、「言動に根拠がなく、現実味のないこと」「でたらめであること」を意味する四字熟語です。よい意味で使われることがあまりないネガティブなニュアンスの強い言葉であるため、誰かに対して使う場合には伝え方や場面に注意しましょう。
荒唐無稽の類語・言い換え表現は、「無茶苦茶」「突拍子もない」「でたらめ」などです。一方、対義語表現には「合理的」などがあります。
言葉の詳しい意味や使い方、関連する表現などをあわせて確認し、多くの言葉を正しく使えるようになりましょう。
メイン・アイキャッチ画像:(C)Adobe Stock