海千山千とは? 意味を解説
「海千山千(うみせんやません)」とは、世間の経験を多く積み、物事の裏表を知り抜いていて悪賢いこと、悪賢い人のことを意味することわざです。したたか者、狡賢い人のことを言います。
「海千山千」は主に人物、人物像に対して使われます。例としては「海千山千の政治家」「あの人は海千山千の営業マンだ」などといった使い方をします。
豊富な知識や経験があり、優秀な人であると認めつつ、狡賢く悪知恵が働く人だと皮肉めいた評価をしたり、周囲の人に注意を促す場合に用いられます。
海千山千の由来・語源
「海千山千」は、「海に千年、山に千年住んだ蛇は竜になる」という中国の古事成語が由来になっています。
海千山千の類語・対義語
海千山千の類語
百戦錬磨(ひゃくせんれんま)
たびたびの戦いで鍛えられていることや、経験が豊かで処理能力にすぐれていることを表します。「海千山千」は「狡賢い」などのネガティブな意味が含まれますが、百戦錬磨はポジティブな意味で使われます。
老獪(ろうかい)
さまざまな経験を積んでいて、悪賢いことやそのさまを表します。同じ意味で老猾(ろうかつ)という言葉もあります。
千軍万馬(せんぐんまんば)
戦闘の経験が豊富であることから転じて、社会経験などを多くつんでいることを意味します。百戦錬磨と同じく、ポジティブな意味で使われます。
海千山千の対義語
芋の煮えたも御存じない(いものにえたもごぞんじない)
芋が煮えたのか煮えてないのかの区別をつけることもできない、世間知らずな人をあざけて使う言葉です。「海千山千」は豊富な経験や知識を持ちしたたかな様子を意味するので、経験が浅いことや世間知らずであることを表す言葉が対義語になります。
海千山千は褒め言葉? 例文を紹介
海千山千は褒め言葉としてはNG
「海千山千」の由来となった古事成語は、もともと蛇が知識や経験を積んで立派な竜になるというポジティブな意味で使われていた言葉です。そのため、褒め言葉として使う人も多いようですが、実はあまり褒め言葉には向いていません。
現在の「海千山千」は、「したたか者」「狡賢い人」という皮肉な意味も含まれているので、褒め言葉として使ったつもりでも、嫌味と捉えられてしまう場合があります。
海千山千の使い方・例文
あの人は海千山千の商売人だ
「食えない人だ」に近いニュアンスの例文です。「食えない人」とは、「狡猾な人」や「油断できない人」などの意味があり、調理しても食べられないものは手に余ることから、対応の難しい手合いのことを表す言葉として使われています。
ライバルはみんな海千山千の強者ばかりだ
例えば競合他社とのコンペであったり、社内プレゼンなどビジネスの場でも使う場合があります。ただ、上述している通り嫌味に聞こえてしまう場合もあるので、特定の個人には使わない、言い方に気をつけるなど、注意して使うようにしましょう。
誠実そうに見えて、あの人は実は海千山千のやり手だ
一見いい人そうなのに、実は狡猾な部分がある人に対しての皮肉を込めた言い方です。
海千山千の英語表現
海千山千を英語でいう場合は、「狡賢い」や「したたか」というニュアンスの言葉を使います。
old fox
直訳すると「古狐」となりますが、実は「fox」には「狡猾な人」「ずるい人」という意味もあります。これだけでも意味は伝わりますが、「old fox」を使った他の英語表現もあわせて紹介します。
sly old fox
「ずるい」という意味を持つ「sly」をつけることで、「老獪な人」「狡賢い人」となります。
wily old fox
「wily」には「狡猾な」という意味があります。
最後に
「豊富な経験から物事の裏表を知り抜いたしたたか者」という意味を持つ「海千山千」。ネガティブな意味を持っているので、会話に用いるときにはしっかりと注意をして使うようにしたいですね。
言葉の意味/デジタル大辞泉
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