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突然、仕事の現場で出てきた「狡猾」という言葉。知っているフリして「うんうん」うなづいてしまった経験、ありませんか? 改めて、その言葉の意味や使われ方を深掘りしていきましょう。
「狡猾」の意味とは?
「狡猾」の言葉の意味
「狡猾(こうかつ)」とは、自分だけ得をしようと、さりげなくずる賢くいことをさす言葉です。「狡」はずるい、悪賢い、すばやいことを、「猾」は悪賢いことやかき乱すことを意味しています。
獣偏に「交」と書く「狡」は、身を交わして逃げる獣、獣偏に「骨」と書く「猾」の字は、ずる賢いさまを表します。獣が逃げ回って、ルールを乱すという意味から、先回りをして人に遅れをとるようなことのない動きをする、ずる賢いという意味になったと言います。
狡猾の類義語にはどのような言葉が? 代表例4つ
狡獪(こうかい)
悪賢いこと、ずるく立ち回るさまを表しますが、こちらは相手の考えや心情などをすべて計算に入れて、それを逆手に利用し意のままに操るという意味で、とてもずるい様子を表しています。
狡い(こすい)
悪賢い、ずるいという意味。
陰険
表面はよく見せかけて、陰でこっそりあくどいことをする様子。意地悪そうな性質であること。
邪知(じゃち)
悪知恵、不正なことに働く知恵。
「狡猾老獪」という四字熟語もある
「狡猾老獪」は「こうかつろうかい」と読みます。「老獪」は経験を積んでいて、したたかでずる賢いことを指します。「獪」はずるいこと。それらが組み合わさって「経験豊富で悪賢い」といった意味になりました。
「狡猾」と「老獪」は、どちらも“悪賢いこと”を意味しているので2つを重ねることで、さらに悪賢いイメージが強くなります。
ちなみに、「老獪」の対義語には「老練」があります。「老練」は、「多く経験を積んで、物事に慣れ巧みであること」です。
「狡猾老獪」の類語は次のようなものがあります。
「海千山千」(うみせんやません)
経験豊富で悪賢いこと。
「奸佞邪知」(かんねいじゃち)
心が曲がっていて悪知恵が働き、人に媚びへつらうこと。
狡猾の正しい使い方は? 例文をご紹介
「彼は狡猾な手段を使っても勝とうとする」
「狡猾」には「悪賢い」といった意味が含まれているので、悪い意味で使われます。また「狡猾な○○」「狡猾である」「狡猾さ」という言い回しでも多く使われています。
「狡猾そうな笑みを浮かべた」
悪賢さは隠しているつもりでも、実は表情や行動に表れるものです。表向きは柔らかい表情をしていても、ずる賢く、悪知恵が働きそうなイメージは相手に伝わるものです。
「彼女はいつも狡猾そうな振る舞いで責任を逃れようとする」
似た表現で「狡辛い(こすからい)」あるいは「狡っ辛い(こすっからい)」がありますが、抜け目がない、悪賢い、ずるくてけちけちしていることを表します。
狡猾はこんな使われ方も
小説などでは「狡猾い」と書いて「ずるい」と読むこともあります。最近は「ずるい」と言っても、「可愛い」の意味を含んで使われることがありますが、この「ずるい」はどちらかといえば「あざとい」に近いニュアンスかもしれません。
狡猾の対義語は?
愚直(ぐちょく)
あまりに正直すぎて、融通がきかないこと。ばか正直な様子をさします。
「愚」という文字が使われていますが「愚直」は褒める意味合いで使われます。臨機応変の処置がとれなかったり、損な役回りを負わされやすかったりしながらも一生懸命に取り組む人やさまを表します。
ただ、真面目だけど気が利かない、要領が悪いといった意味でも使われますので、目上の人に対して使うと失礼に当たります。自分や自分の家族のことを謙遜して述べるときや、親しい友人などに対して使うのがいいかもしれません。
実直(じっちょく)
正直なこと、律儀で裏表がないことを指します。「実直」は「愚直」のような要領の悪さ、気が利かないといったニュアンスが含まれませんので、相手を問わず使用できます。
以上、狡猾についてまとめてご紹介しました。職場ではマイナスなシーンでしか使われなさそうな言葉ですが、勘違いして恥をかかないよう、改めて見直しておきましょう。
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