「杜撰」とは?
「杜撰」の意味や語源、類義語・対義語などを解説します。難解な言葉の意味を覚えて読解力を鍛えましょう。
「杜撰」の読み方と意味
「杜撰」は「ずさん」と読み、「物事がいいかげんで、誤りが多いこと」というネガティブな意味を持ちます。よく聞く言葉だと思いますが、漢字を知らなかったという人も多いのではないでしょうか。「とせん」「しゃせん」と読み間違えられることが多いので、この記事で読み方や使い方を覚えていってくださいね。
「杜撰」の語源
「杜撰」の「杜」は中国王朝の宋の時代にいた詩人・杜黙(ともく)のことで、「撰」は詩文を作るという意味。杜黙の作った詩は当時の定型に合っておらず、いい加減だと批判を受けていました。このことから、誤りの多い著作を「杜撰」と呼ぶようになり、後に「いいかげん」「雑」という意味でも使われるようになりました。
「杜撰」のビジネスシーンでの使い方
「杜撰」は、ビジネスシーンではどのような使い方をするのでしょうか? 例文でチェックしていきましょう。
・彼の作る資料はいつも杜撰でわかりにくいと社内で噂になっている。
・後輩の杜撰な対応のせいで取引先からクレームが来ている。
・今回のミスは、私の杜撰な仕事が原因で起こったことです。
「杜撰」はこのように、雑な作業や間違いの多い物事を指す言葉です。そのため、人の人間性に関して用いるのは適切ではありません。例えばよくある間違いが、「杜撰な性格」「杜撰な人」という使い方。本来は正しくないので注意しましょう。
「杜撰」の類義語にはどのようなものがある?
「杜撰」には、「いいかげんで、誤りが多い」というネガティブな意味がありましたね。ここでは、同じような意味で使われる類語を3つ紹介します。
1:ぞんざい
「ぞんざい」は、「杜撰」と同じく「いいかげんに物事をすること」という意味です。また、「言動が乱暴で礼を失しているさま」「不作法」という意味でも用いられます。
(例)ぞんざいな態度の後輩には仕事を教えたくない。
2:粗雑
「粗雑」は「そざつ」と読みます。「細かい点にまで注意が行き届いておらず、荒っぽいこと」という意味で使われます。漢字の意味も分かりやすいですよね。「杜撰」とは違い、人の性格を表す際にも使うことができる単語です。
(例)上司は粗雑な人で、物を壊したりなくしたりすることが多い。
3:粗漏
「粗漏」は「そろう」と読み、「疎漏」と表記されることもあります。聞き慣れない言葉ですが、漢字の通り「物事のやり方がおおざっぱで、抜けた所がある」という意味です。
(例)下調べが粗漏だったから、今回のプロジェクトは失敗に終わった。
「杜撰」の対義語にはどのようなものがある?
このように悪い意味で使われる「杜撰」ですが、対義語にはどのようなものがあるのでしょうか。詳しく見てみましょう。
1:丁寧
「丁寧」は、「注意や気配りが行き届いていること」「入念に行うこと」という意味。また、言動が礼儀正しく、配慮が行き届いているさまを表す言葉でもあります。
(例)大事なプレゼンだから、ミスをしないよう丁寧に準備した。
2:緻密
「緻密」の意味は、「細かいところまで注意が行き届いていて、手落ちのないこと」。人の行動や動きに対して使う言葉で、「綿密」という単語と同じニュアンスで用いられます。
(例)緻密な計画をたて、それを実行に移すことが成功のカギだ。
3:入念
「入念」も、「細かな点まで行き届いていて、丁寧なこと」という意味。「入念なチェック」「入念に取り組む」など、よく聞く言葉ですよね。
(例)彼の事業に参画すべきかどうか、入念に検討しなければならないだろう。
最後に
「杜撰」は、物事に丁寧に取り組まず、いいかげんに作業をするということ。社会人は、そのような仕事ぶりでは周りに迷惑がかかってしまいますよね。人と仕事をする際は、緻密な作業や入念なチェックを怠らず、細かいところまで気を配って働きたいものです。
「粗雑」や「粗漏」という単語もあわせて覚えて、語彙力を磨いてみましょう!
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