目次Contents
この記事のサマリー
・「ご厚意に甘えて」とは相手の親切や思いやりをありがたく受け取る表現です。
・「ご好意」と表記しないよう、注意。
・場面に合わせて、「ご配慮に感謝いたします」や「お言葉に甘えて」などに言い換えられます。
ビジネスメールや会話の中で、「ご厚意に甘えて」という言葉を使おうとしたものの、立ち止まってしまった経験はありませんか?
一見丁寧に聞こえるものの、状況によっては「図々しい」と受け取られるリスクもある表現です。
この記事では「ご厚意に甘えて」の意味や背景、適切な使い方、さらに言い換え表現まで幅広く解説します。
「ご厚意に甘えて」とは? 意味を確認
まずは「ご厚意に甘えて」というフレーズへの理解を深めましょう。
「ご厚意に甘えて」の意味
「ご厚意に甘えて」とは、相手の配慮や思いやりのある言葉、行動をありがたく受け取ることを示す表現です。
「厚意」について、辞書では次のように説明されています。
こう‐い【厚意】
思いやりのある心。他人が自分に示してくれた気持ちについていう。厚情。「―にすがる」「―に感謝する」
引用:『デジタル大辞泉』(小学館)
「ご厚意に甘えてご相伴に預かります。誠にありがとうございます」というように感謝を伴って用いられます。
「ご好意」と「ご厚意」の違い
「ご厚意」とよく間違われる単語に、「ご好意」があります。「好意」とは、人に対する親切な心。また、好ましく思う気持ちです。特に、相手に対する愛情のやや遠回しな表現に用いられます。
「ご好意に甘えて」と表記すると、相手は「別に好意がある訳ではないのに…」と、相手が困惑してしまう場合があるので注意しましょう。

ビジネスシーンでの使い方と注意点
職場でよく用いられる表現だからこそ、適切な場面と不適切な場面を知ることが、信頼関係を損なわないカギになります。
「ご厚意に甘えさせていただきます」
ビジネスでは、「ご厚意に甘えさせていただきます」というフレーズはよく使われます。例えば、勤務中に発熱し、上司に体調が悪いことを伝えたとしましょう。話を聞いた上司から「今日はもう帰宅して構わない。ゆっくり休むように」と言われたときに返事として使えます。
相手に敬意を表しつつ、相手からの思いやりをありがたく受け入れる表現として最適です。
「ご厚意に甘えて、ご馳走になります」
「ご厚意に甘えてご馳走になります」は、以下のようなシーンで使われます。一つ目は、上司や、目上の人に、飲食店などでご馳走してもらうシーンです。目上の人が、飲食店で「ここは私が払うよ」というのに対して、「ありがとうございます。ご厚意に甘えてご馳走になります」と伝えるといいでしょう。
二つ目は、上司や、目上の人の自宅やパーティーなどに招かれ、食事をするシーン。「本日は、お招きいただきありがとうございます。ご厚意に甘えてご馳走になります」と伝えてから食事をすることで、相手への敬意と感謝が伝わるでしょう。
「ご厚意に甘えて、参加させていただきます」
イベントや、パーティーなどに招待された時に使えるフレーズです。先方から、「来月社内パーティーを開くのですが、お越しいただけますか?」と尋ねられた時に、「お誘いいただき、ありがとうございます。ご厚意に甘えて、参加させて頂きます」とこたえる場面で使えます。
使うと失礼になるケース
上司や顧客に繰り返し使うと「いつも頼ってばかりだ」と受け止められてしまう危険性があります。例えば「毎回ご厚意に甘えてばかりで申し訳ございません」といった文言は、自己評価を下げてしまう可能性も…。
使い方としては正しくても、相手が「またか」と感じれば信頼を損ないます。状況に応じて言い換えを検討しましょう。

「ご厚意に甘えて」の言い換え表現集
相手や状況に合わせた言葉選びで、スマートで信頼感のあるコミュニケーションが可能になります。
ビジネスでよく使われる言い換え
「ご厚意に甘えて」は「ご配慮に感謝いたします」や「ご高配を賜り、誠にありがとうございます」といったフレーズに言い換えることができます。取引先とのやりとりでも違和感なく使える表現です。
カジュアルな場面での言い換え
社内の人間や親しい相手であれば「お言葉に甘えて」や「お気持ちに感謝して」など柔らかい表現が適しているでしょう。特に「お言葉に甘えて休ませていただきます」のように、相手の提案を受ける場面で自然と馴染みますね。

「ご厚意に甘えて」に関するFAQ
ここでは、「ご厚意に甘えて」に関するよくある疑問と回答をまとめました。参考にしてください。
使い方で気をつけることは?
上司や取引先など、目上の人に使用しましょう。
「ご好意に甘える」との違いは?
「厚意」はビジネス寄り、「好意」は個人的な親しみ寄りだと覚えておくと、わかりやすいでしょう。
取引先には「厚意」、友人には「好意」が適切です。
お礼と一緒に使うのは正しい?
「先日はご厚意に甘えさせていただき、ご馳走になりました。誠にありがとうございます」とすれば、受けた行為と感謝の両方を伝えられます。
「ご厚意に甘えて」の英語表現は?
“Thank you for your kindness.”
「甘える」を直訳せず、“thank you”や“appreciate”を使って、“kindness”(厚意)のお礼を伝えましょう。
最後に
「ご厚意に甘えて」は上司や目上の方から、思いやりのある行動や言葉を受けた時に使うフレーズです。ビジネスシーンでは、さまざまな場面で使える言葉でしょう。シーンに合わせて、言葉を使い分けられたら素敵ですね。
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