「反故」の意味や読み方とは?
「反故」という言葉を知っていますか? ビジネスシーンで度々登場する表現ですが、意味や読み方を知らない方も多いかもしれません。そこで今回は、「反故」の意味や使い方、類語、英語表現などを解説します。
意味
「反故」には、「書き損じて不要となった紙」「不要になったもの、役立たなくなったもの」という2つの意味があります。「反故」はもともと古語で、文字や絵を書き損じた紙を指す言葉として使用されていました。それが転じ、役立たなくなった物事を指すようになったそうです。
読み方
「反故」の正しい読み方は「ほご」。「はんこ」とは読まないため注意しましょう。古くは、「ほうご」「ほうぐ」などと読まれていたようですが、現代ではあまり使用されません。
語源
「反故」は本来、書き損じた紙のことを指していました。昔は、文字や絵を書き間違えてしまったときに、すぐに紙を処分せず、裏側に書いて再利用していたそう。このことから、「裏返すこと」を意味する「反」と、「〜のせい」などの理由を示す語である「故」という漢字が用いられたとされています。
使い方を例文でチェック!
「反故」は、主に「反故する」「反故される」というように使われます。ビジネスシーンでも使う機会のある言葉なので、正しい使い方をマスターしておきましょう。
1:印刷の設定を間違えて、はがきを何枚も反故にしてしまった。
職場で印刷をミスして、コピー用紙を無駄にしてしまったときにも「反故」は使います。わかりやすく言えば、「無駄にする」「捨ててしまう」というような意味です。しかし、ビジネスでこれらの言葉を使うには直接的すぎると感じることもあるでしょう。そんな場合に「反故」を使うことで、やや遠回しかつ、丁寧な言い方で相手に伝えることができますよ。
2:取引先からせっかく決まりかけた契約を反故されて落ち込んだ。
ビジネスシーンにおいて「反故」は、「無効にする、取り消される」という意味として用いられます。せっかく決まりかけていた契約を取り消されたり、約束ごとを無効にされたりしたときに「約束を反故にされた」と言うことができますよ。
3:反故紙を捨てるともったいないから、メモとして使うことにした。
書き損じた紙は「反故紙(ほごし)」とも呼ばれます。少し書き違えただけで余白の残った紙などを見ると、もったいないと感じることもあるでしょう。オフィスではそのような紙を「反故紙入れ」と呼ばれる箱にまとめたり、メモとして再利用しています。
類語や言い換え表現とは?
ビジネスシーンでは、「計画や約束を無効にする」という意味で使われる「反故」という言葉。ここでは、職場で使える言い換え表現をピックアップして紹介しましょう。
1:白紙に戻す
「反故にする」によく似た表現に「白紙に戻す」があります。こちらのほうが日常的に馴染みのある表現ですね。決まりかけていた物事を一旦ゼロの状態に戻すことを「計画を白紙に戻す」と言ったりします。ビジネスにおいては、問題を解決できる見込みのないプロジェクトや無理のあるスケジュールなどに使われることもあるでしょう。
・1年かけて積み上げてきたプロジェクトは、経営悪化により白紙に戻された。
・この間の昇進の話は白紙に戻させてもらうよ。
2:破棄する
「破棄」には、「破り捨てること」「契約・取り決めを一方的に取り消すこと」という意味があります。ビジネスシーンでは、不要な資料やメールを処分したときに「破棄する」という表現が適切です。また、一方的に取り消すといった意味合いで「昇進の話は破棄させていただく」というように表現することもできるため覚えておきましょう。
・パソコンの容量が減ってきたので不要なデータを破棄した。
・世界情勢の悪化により、計画は破棄された。
3:撤回する
いったん提出したものを取り下げることを「撤回」と言います。一度決まった契約や約束を「反故」した場合、「撤回する」と言い換えることもできますね。前に言った言葉を取り消すことを「前言撤回」と言ったり、一度決まった事柄を元の状態に戻したりすることを「白紙撤回」と表現します。
・社長として簡単に意見を撤回するわけにはいかない。
・住民たちはビル建設計画の白紙撤回を求めた。
英語表現とは?
「反故」の英語表現にはどのようなものがあるのでしょうか? ここでは、「反故紙」を意味する「wastepaper」と、「(計画や約束を)反故する」という意味の「renege」「go back on one’s word」に分けて紹介します。
1:renege
「反故」の英語表現には「renege」があります。「renege」は、「(約束などを)破る」という意味です。ビジネスで計画を「反故」されたときなどに使うことができますよ。「renege on」で「〜を取り消す、破る」ということもできます。
・I have not reneged on my promise.(私は約束を破ったことは一度もない)
2:go back on one’s word
「約束を反故する」と表現したい場合には、「go back on one’s word」を使ってみましょう。「go back」は「〜へ戻る」という意味なので、「無効になる」「白紙に戻る」というようなニュアンスになります。
・I promised him I’d lend him some money if his business got into financial trouble. I can’t go back on my promise word.(彼の事業に金銭的問題が持ち上がったら、融資すると約束しました。約束を破ることはできません)
3:wastepaper
「反故」の元々の意味である「書き損じた紙」は、英語で「wastepaper」といいます。端的に言えば紙くずのことです。「waste」には、「無駄、くず、廃棄物」などの意味があるので使わなくなった紙のことを伝えたい場合にはこちらの単語を使うと良いでしょう。
・She found the invoice in the pile of wastepaper.(彼女は紙くずの山から請求書を見つけた)
最後に
「反故」は、もともと書き損じた紙のことを指す言葉ですが、現在では「約束や契約を無効にする」という意味として使われるのが一般的。オフィスでは「反故紙」や「反故紙入れ」という言葉の方が馴染みがあるかもしれませんね。「反故」は否定的なニュアンスを丁寧に伝えられる言葉ですが、口語で「ほご」と言ってもイマイチ伝わりにくいことも。状況によって、「破棄する」「白紙に戻す」などの言葉を上手に使い分けてみましょう。
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