「空中楼閣」という言葉を目にしたとき、少し幻想的で響きの美しい印象を受けるかもしれません。しかし実際には、計画や構想に対して冷静な視点を含んだ言葉として使われています。
この記事では、「空中楼閣」の意味や使い方を丁寧に紹介し、より自然に使いこなすためのヒントをお届けします。
「空中楼閣」の意味と読み方とは?
まずは「空中楼閣」の読み方と意味を確認してみましょう。
「空中楼閣」の読み方と意味
「空中楼閣」は「くうちゅうろうかく」と読みます。辞書では次のように説明されていますよ。
くうちゅう‐ろうかく【空中楼閣】
引用:『デジタル大辞泉』(小学館)
《「桃花扇」入道から》
1 空中に楼閣を築くような、根拠のない架空の物事。
2 蜃気楼(しんきろう)。
「空中楼閣」とは、「根拠のない架空の物事」もしくは「蜃気楼」を表すときに使います。響きのいい言葉ですが、実現に向けた根拠が不十分な構想や発想に対して使われることが多いでしょう。

「空中楼閣」の語源は?
「空中楼閣」とは、「空中に築いた高い建物」のことです。転じて、根拠のない空想を指すようになりました。
参考:『故事俗信ことわざ大辞典』(小学館)
「空中楼閣」の使い方と具体例を紹介
「空中楼閣」という言葉は、会話や文章の中でどう使われているのでしょうか? ここでは、具体的な例文をもとに解説していきます。
「将来の理想を語るのは大切ですが、土台のない空中楼閣を描くだけでは現実には近づけません」
目標や計画を語る場面で、「実現性のない構想」として控えめに表現しています。「空中楼閣を描く」という形で使われることが多いでしょう。

「経験や準備がともなわないまま理想ばかりを並べても、それは空中楼閣を築くようなものです」
慎重な姿勢や段階的な努力の重要性を伝える文脈で使える例です。「空中楼閣を築く」という表現もよく使われます。
「彼のアイデアは空中楼閣のようだったが、誰も否定できなかった」
この例文では、実現可能性の低いアイデアであっても、魅力や意欲があるために否定しづらいという状況を表しています。「空中楼閣」を使うことで、評価と慎重な態度を同時に伝える工夫が見られます。
「空中楼閣」と将棋の関係
将棋には「空中楼閣」と呼ばれる特徴的な陣形があります。これは「中段玉(ちゅうだんぎょく)」の一種で、玉を盤の中段、つまり四段目から六段目の位置に構える戦法です。
一般的には、自陣寄りの位置、先手なら六段目、後手なら四段目に玉を置く形を指します。
「空中楼閣」の類語や言い換え表現は?
「空中楼閣」と近い意味を持つ表現を知っておくと、場面に応じた言い換えがしやすくなります。響きやニュアンスの違いも含めて、ここでは3つの言葉を紹介していきましょう。

空中楼台(くうちゅうろうだい)
「空中楼閣」とほぼ同じ意味を持つ表現です。実体のない理想や、根拠のない考えをたとえるときに使われます。
蜃気楼
実際には存在しないものが、目の前にあるように見えてしまう自然現象を指します。海上や砂漠で起こることが多いでしょう。
砂上の楼閣(さじょうのろうかく)
見た目は立派でも、土台が脆いためにすぐ崩れてしまうような物事のたとえです。「空中楼閣」と同じく、実現の難しい計画などに対して使われることがあります。
最後に
理想を描くことは大切ですが、現実とのバランスを見極める視点も必要かもしれません。「空中楼閣」という言葉を知ることで、自分や誰かの計画を見つめ直すときのさりげないヒントになることもあるでしょう。
TOP画像/(c) Adobe Stock