報告と連絡の違いとは
学生時代の部活や、社会に出てからの就職など、組織に所属している限り欠かせない動作である「報告・連絡・相談」。 略して「ホウレンソウ」などと呼ばれていますが、相手との円滑な関係のためにも、欠かせないコミュニケーションツールの一つですよね。
その中の、「報告」と「相談」は「相手に伝える」という意味を持つ言葉です。一見、似たような言葉に捉えられがちですが、言葉の意味や使う状況、使い方はそれぞれ異なります。
「報告」とは、仕事などの任務を与えられた人が、与えた相手に「途中経過」や「結果」、「現時点での状況」などを告げることを指します。そこには自分の私情を挟むことは少なく、起きている事実を相手に伝えることにフォーカスが置かれている言葉です。
「連絡」とは、「自分の気持ちや考え」や「情報」、「今後の予定」などを相手に知らせることを意味します。「報告」と比較すると、何か義務があってしている訳でなく、「お知らせ」や「伝える」というニュアンスを含む言葉です。
「連絡」には、もう一つ別の意味があります。「別々の二つの地点をつなげる」という使い方もできるので、異なる交通機関が一つの地点で連結している「連絡地点」のような使い方もできるのです。
ここでは、組織に所属しているなら人なら押さえておきたい、「報告」と「連絡」のポイントや注意点を紹介します。
ビジネスでの報告時の注意点
ビジネスの場面で相手に報告する時は、あらかじめ、ある程度話す内容の手順を組み立てておくのがベスト。そうすることで、例え上司を前にしたとしても、焦らずスムーズに報告できるはずです。
一般的には、
・現状の結論
・その結論に至った経緯
・その結果、起こりうる可能性
の順序で報告するのが良いでしょう。ここでは、他に注意するべきポイントを紹介します。
1:結論を先に述べる
こちらが報告する際、相手も時間がない状況の中、時間を取ってくれているのかもしれません。結論を後回しにすると、時間もどんどん長くなってしまうでしょう。相手をやきもきさせないためにも、結論から先に報告するのがベストと言えます。
特に、トラブルなどのマイナスのできごとの報告を後回しにするのはタブー。いざ相手を目の前にすると、言いにくい気持ちもあるかもしれませんが、トラブルを解決させるためにも、まずは結論を先に報告しましょう。
2:手短に
報告する際は「手短に・分かりやすく」を意識しておくと、シンプルで分かりやすい報告ができるでしょう。長々と話したり、くどくど遠回りし過ぎると、結論が分かりにくい報告になってしまいます。無駄に長い報告は、内容の誤解を生む可能性も。
上司や周りの人からも、「あの人の報告は、何を話したいのか分からなかった」と判断される可能性があるので、気を付けてくださいね。
3:感想は不要
報告する際、内容がマイナスのものだと、どうしても自分の心情やいい訳を報告に組み込みたくなる方は多いかもしれません。しかし、ついつい感情的になったり、自分の意見などを混ぜてしまうと、事実が捻じ曲げられて伝わってしまう可能性もあります。そうならないためにも、「理想や希望」を報告と混合させないのも注意すべきポイントです。
あえて感想を伝えるなら、報告を伝えた後に、相手から質問があった時に初めて回答する方法がスマートかもしれませんね。
ビジネスでの連絡時の注意点
ビジネスの場では、何かと複数の人に同時に連絡する必要があるシーンは多いものです。一斉メールを使用してもいい場面なら問題ありませんが、口頭の場合、まず誰に一番に伝えるべきか順番を気にする必要があります。誰が一番か判断しにくい状況の時は、上司に判断を仰ぐのがベターです。
ここでは、ビジネス上で連絡する時に気を付けたいポイントを紹介します。
1:正確に伝える
連絡する内容が、スケジュールなどビジネスの重要な内容の場合、間違いや伝え忘れの項目がないように確認してから伝えましょう。連絡事項にミスがあった場合、大きなトラブルにもなる可能性もあります。伝える前に、連絡すべき項目のチェックリストを作成しておくと、ミスがなく安心できますね。
ビジネスでの連絡の場合、報告と同じく自分の感情などは避けて、まずは正確な情報を伝えることに重きを置きましょう。
2:口頭以外で記録に残す
仕事の納期の連絡など、大切な連絡の場合、相手と共有で記録に残す方法がおすすめです。同じ社内なら職場のボードやメモなどでできますが、そうでない場合、ネット上で管理しておくと漏れがなく安心できるでしょう。
報告と連絡を使うシチュエーション
日常で「報告」と「連絡」を使う状況はさまざまですが、特に職場などでは、意思疎通がうまく行われないケースもあるかもしれません。もちろん、報告や連絡を行う当事者の伝え方に問題があるケースも多いでしょう。しかしそうでない場合、原因は報告や連絡を行う当事者でなく、職場環境にあることが考えられます。
上司が日常的に部下に対して威圧的であったり、部下の行動に対して否定的である場合、報告や連絡をしにくい空気感になってしまうことも。そうならないためにも、部下が報告しやすいように普段から、上司の方からある程度アクションを起こしたり、最後まで話を聞いてアドバイスするなど、部下に寄り添う姿勢を見せることが大切です。そうすることで、報告や連絡しやすい環境ができるのではないでしょうか?
ここでは、「報告」と「連絡」を使用するシチュエーションをそれぞれ紹介します。
報告
・プロジェクトの報告
・事件の捜査結果を報告
・新商品開発の中間報告
・結婚の報告
・退職の報告
どちらかというと、ビジネスのシーンで多く使われることが多い印象ですね。
連絡
・納期を連絡する
・家族とこまめに連絡を取る
・スケジュールを連絡する
・折り返し連絡する
職場の上司や部下から家族や友人、恋人などの身内まで、幅広い人に対しても使える言葉ですね。
最後に
生きていく上で欠かせない、人とのコミュニケーション。仕事でもプライべートでも、その人間関係の中で「報告・連絡・相談ができない人」と認定されてしまうと、自分にとって不利なことしか起こりません。そうならないためにも、きちんと使い分けて円滑な人間関係を築いていきたいですね。
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