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謝罪メールを書く時の3つのポイント
どんなに細心の注意を払っていたとしても、ミスやトラブルは生じてしまうもの。お客様や上司など、関係各所にメールで謝罪をする時のポイントを、5万人のキャリアサポートを行い、コミュニケーションスキル講座を担当するキャリアコーチの菊池啓子(きくち・ひろこ)さんにお話を伺いました。
「謝罪をしなければならない時、気が重くて、なかなか着手できない… という気持ちになりますよね。とはいえ、ネガティブなことほど迅速な対応が必要。後回しにしてしまうと、事態は悪い方に変化してしまうものです。
できれば、対面や電話など、相手に直接謝罪をすることがベスト。『謝罪は直接会って頭を下げるものだ』との価値観の人もいます。また直接コンタクトをとることで、表情や姿勢、声のトーンなどで、謝意が伝わりやすく、相手と同じ時間を共にすることで、その場で解決できる可能性も高められることでしょう。
とはいえ、メールでのコミュニケーションが主となる関係性もあり、直接出向くことが難しいケースも。その場合は、メールで謝罪をするという選択になります。謝罪メールを書く際には、まず謝罪の気持ちを丁寧に伝えることが大切です。謝罪の気持ちが伝わらないと、相手は怒りや不快感を増す可能性があります。
また、メールで送るということは、テキストとして後々まで残るもの。誤解を招くような曖昧な表現はしないよう、十分に気をつける必要があります」(キャリアコーチ・菊池さん)
謝罪の気持ちを伝える際は、以下のポイントを押さえましょう。
1:事態をどのように把握しているのか
ミスの内容やトラブルの経緯など、状況を具体的に伝えます。また、そのことで相手にどのような迷惑をかけたのかを説明することも大切です。相手に与えた不快感や怒りの気持ち、嫌な思いをさせてしまったこと、どのような損失や被害を与えたのかを、理解していることを伝えます。
2:謝罪の気持ちを、誠意を持って伝える
言い訳などは、厳禁。相手から見たら、この事態はどのような意味があるのかを、相手の立場に立って捉えてみましょう。
また、テキスト情報(文章)では、表情や声など、気持ちを十分に伝えやすい情報が使えません。謝罪メールは、相手に不快な思いをさせないよう、いつも以上に伝え方に配慮し、丁寧な言葉遣いで書くことが大切です。
また、誤字脱字がないように、必ず確認してから送信しましょう。
3:解決策の提示
ビジネスの場合は、謝罪して終わりというわけではありません。この事態をどのように解決させるのか、相手に理解をしてもらう必要があります。具体的な代替案や、それが提示できない場合は、提示をできる期日をお伝えしましょう。
謝罪文を構成する5ステップ
ビジネスシーンにおける謝罪メールは、相手の時間を奪うことになるため、簡潔にまとめることが大切です。基本構成として、以下の流れを把握しておきましょう。
1:件名を工夫する
件名は、メールの本文を読んでもらうための「ガイド」です。相手のメールボックスの中から、すぐに認識してもらうためにも、謝罪メールの件名は工夫をする必要があります。
ポイントは、件名だけで3つの「分かる」を伝えることです。それは、「謝罪であることが分かる」「何についての謝罪なのかが分かる」「緊急性・重要性が分かる」。
件名の最初に【お詫び】【重要】などを入れ、「商品不良についてのお詫び」「確認ミスに関するお詫び」「納期遅延について」など、内容が分かるように簡潔に記載します。
2:謝罪の気持ちを丁寧に伝える
最初に、謝罪の気持ちを丁寧に伝えます。具体的なミスの内容や、そのことで相手にどのような迷惑をかけたかを説明すると、誠意が伝わりやすくなりますよ。
謝罪を伝える言葉は、以下のようなものがあります。
・大変申し訳ございませんでした。
・誠に申し訳ございませんでした。
・深くお詫び申し上げます。
・心よりお詫び申し上げます。
・重ねてお詫び申し上げます。
・ご迷惑をおかけして申し訳ございません。
・ご不便をおかけして申し訳ございません。
状況や相手によって、適切な言葉は異なるものです。例えば、軽度なミスの場合は「申し訳ございませんでした」、重大な失敗の場合は「誠に申し訳ございませんでした」など、状況に応じた表現を選ぶ必要があります。
3:問題が起きた経緯や原因を報告する
謝罪をする際には、相手に「なぜこのような事態が発生したのか」を理解してもらうことが大切です。原因を具体的に伝えることで、相手は納得感を得ることができ、謝罪を受け入れやすくなります。また、原因を認めて改善に努めている姿勢を見せることで、信頼回復につながりますよ。
「いつ、誰が、どのようなことをしたのか」「どのような原因で問題が発生したのか」をふまえ、問題が起きた経緯や原因を具体的に伝えましょう。
原因を説明する際には、言い訳や責任転嫁にならないように。あくまでも、事実に基づいて説明をします。
また、原因を説明するタイミングは、謝罪の後。謝罪の前に原因を説明してしまうと、相手に「言い訳をしている」と受け取られてしまう可能性があります。
4:再発防止の提示
同様のミスがないように、再発防止を誓う言葉を添えます。以下は文例です。
・今後は、このようなことがないよう、再発防止に努めてまいります。
・○○の原因を究明し、再発防止に努めてまいります。
・このようなミスを繰り返さないために、○○の対策を講じます。
できれば、原因をふまえて、「具体的な対策」と「実行の約束」を伝えましょう。相手に「同じことは繰り返さない」「改善に向けて実行する」との期待を持ってもらえることが、信頼回復へとつながります。
5:締めの言葉で改めて謝罪する
謝罪メールの締めの言葉は、謝罪の気持ちを誠実に伝え、相手に納得感を与えるために重要な要素です。改めて謝罪の気持ちを伝え、今後の対応を示します。
例えば、以下のようなものがありますよ。
・ご迷惑をおかけしたことを改めてお詫び申し上げます。
・重ねてお詫び申し上げます。
・誠に申し訳ございませんでした。
・ご迷惑をおかけしてしまい、誠に申し訳ございませんでした。
・今後このようなことがないよう、再発防止に努めてまいります。
・今後とも、何卒よろしくお願い申し上げます。
ポイントを押さえて、適切な言葉を選びましょう。そして最後に、誤字脱字がないかの再確認が必要です。
最後に
誰にでも失敗やミスはあるもの。早めで丁寧な対応をすることで、信頼回復につなげていきましょう!
TOP画像/(c) Adobe Stock
キャリアコーチ 菊池啓子(きくち・ひろこ)さん
2003年から企業研修トレーナー・人材育成コンサルタントとして活動。国家資格キャリアコンサルタント。研修登壇回数は年間100回を超え、これまでに5つの大学でキャリアデザインを教える。現在「社外上司」として多くのビジネスパーソンの悩みに寄りそい成長をサポート。趣味は出張先での御朱印集め。家族は夫と猫2匹。
Twitter:@lotus_kikuhime
ライター所属:京都メディアライン