体調不良はメールで伝えてOK?
体調不良で予定が変更になった時。仕事でもプライベートでも、関わる人がいる場合は連絡をしなければなりませんよね。プライベートであれば、その人との関係性によっては迷うことなくメールやSNSで連絡をするものの、ビジネスの場ではどうなのでしょうか?
5万人以上のキャリア相談にのり、企業研修でビジネスマナーを教えるキャリアコーチの菊池啓子(きくち・ひろこ)さんにお話を伺いました。
「昔に比べ、ビジネスの場での連絡は、メールが主となりました。一般的には、メールで体調不良を伝えるのは問題ないと思います。ただ、欠勤などその日の業務予定が変更になる場合は、関係者がその連絡を始業時間前に確認できることが重要。メールだと、見落とされてしまうことも。それを念頭に置きつつ、可能であれば電話との併用を。職場によっては、即時確認ができるSNSやチャット機能などを推奨している会社もあります。
職場の慣例や上司のタイプによっては、いまだに『電話が必須』ということも。体調が悪い時の電話は気が重い… ということもあるかもしれませんね。ポイントは、自分が抜けたとしても、スムーズに業務が進むようにしておくこと。元気な時に、体調不良を電話で伝えなきゃいけない時用のスクリプト(台本)を用意しておくのも、いいかもしれませんね」(キャリアコーチ・菊池さん)
体調不良での欠勤をメールで伝える時のポイント
メールで連絡をする場合は、電話で連絡するよりも印象が悪くなるのではないか… と心配になるかもしれません。でも、電話をとってもらうというは、相手の都合に割り込むこと。ポイントをしっかりおさえた対応をすることは、メールでの連絡が相手への配慮にもつながります。
メールで体調不良を伝える時は、欠勤もしくは遅刻や半休の報告。メールで伝える時のポイントを解説します。
1:件名は、一目で分かる書き方を!
「体調不良のため、お休みをいただきます」など、メールを開封しなくても、件名だけでも内容が分かるようにします。最初に視界に入った時に、相手に対処法を考え始めてもらうための配慮です。
2:症状や休む期間を簡潔に伝える
可能な限り、症状の詳細を伝えましょう。近年であれば、感染症などは社内規定で傷病休暇が定められている場合もあります。症状によっては、当日から2~3日で済むのか、長期欠勤になるのかによって、業務の穴埋め手配などをする必要もあるかもしれません。確定ではなくても、ある程度の見通しを伝える必要があります。
3:不在時の業務の引き継ぎを確実に行う
自分がまかせられている仕事は、欠勤をするにあたって誰かしらにフォローをしてもらう必要があります。可能であれば、対応を任せることができる人に、直接伝えることで情報の抜けや漏れが防げます。フォローをしてくれる人を自分で選べない時などは、伝言による不備がないように、簡潔に情報を伝えましょう。
4:締めの言葉に周囲への配慮を入れる
急な欠勤により、何かしらの不具合は生じてしまいます。誰かがフォローをしてくれるということを念頭に置き、申し訳ない気持ちなどを伝えておきましょう。お互い様ではありますが、礼を欠くような態度では、仕事は円滑に進めることができません。
5:上司に対しての欠勤連絡の例文
以下は上司に対する欠勤連絡の例文です。参考にしてください。
【件名】本日体調不良のため、お休みをいただきます。
【本文】
〇〇課長
おはようございます。◇◇です。
昨晩発熱し、今朝確認をしたところまだ38度の熱がある状態です。
体調がすぐれないため、本日はお休みをいただきたいと思います。
本日の業務で緊急のものは、ございません。
通常業務に関しては、△△さんにお願いをしております。
本日午前中に病院を受診する予定です。
本日中には回復が見込めると思うのですが、診断名を含め
あらためて連絡いたします。
課のみなさんにもご迷惑をおかけしてしまい申し訳ありませんが
よろしくお願いいたします。
6:同僚に業務の引き継ぎを行う場合の例文
以下は同僚に対する引き継ぎ連絡の例文です。参考にしてください。
【件名】体調不良で本日お休みします。業務に関するお願いごと。
【本文】
△△さん
おはようございます。◇◇です。
本日発熱のため、お休みをいただきます。
明日には復帰できると思うのですが、本日の業務でお願いしたいことがあります。
急ぎの案件はないのですが、
通常業務として●●に関する問い合わせがあるかもしれません。
この件に関しては、URLに格納してありますので
ご確認のうえ、ご対応お願いいたします。
URL:https://~~
緊急事案に関しては、社用の携帯電話にご連絡をいただけますか。
△△さんには負担をかけることになってしまい、本当に申し訳なく思っています。
なにとぞ、よろしくお願いいたします。
体調不良のメール、受けた場合の返信は?
Oggi世代のみなさんは、部下や後輩から欠勤メールを受ける側になるケースもありますよね。もらったメールに返信するポイントを解説します。
1:まずは、相手への気遣いを伝えましょう
仕事での急な対応は、ストレスになることもあります。まして相手の都合によって迷惑を被るような時には、いらだちを感じてしまうこともあるかもしれません。とはいえ、体調不良は誰にでも起こるもの。具合の悪い相手に対して、寄りそう気持ちを言葉で表現しましょう。
「お大事に」「しっかり休んでくださいね」「こちらのことは心配せずに」など、静養に専念できるように促してあげましょう。
2:返信時のNG項目は?
重要な判断をさせることや、心身の負担になるような指示などを、返信メールに書くことは控えましょう。体調不良時の対応では、ミスにつながることもあり得ます。欠勤に関しての確認事項など、聞きたいことは沢山あるかもしれませんが、なるべく最小限にしておくのがベター。
また、「昨日まで元気だったのに」や「周囲の人への配慮をしてください」など、嫌味っぽいコメントもNG。「どうしても一言、言ってやりたい! 」という気持ちがおさえられないのであれば、出社してきた時に声に出して伝えればいいのです。あえてメールに残す必要は、ありません。
おわりに
体調不良をメールで伝える時は、業務の引き継ぎ事項も正確に伝え、相手に迷惑をかけないよう配慮したいですね。また、受ける側になった時には、相手の気持ちに寄り添った温かい言葉を添えることが大切です。
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キャリアコーチ 菊池啓子(きくち・ひろこ)さん
2003年から企業研修トレーナー・人材育成コンサルタントとして活動。国家資格キャリアコンサルタント。研修登壇回数は年間100回を超え、これまでに5つの大学でキャリアデザインを教える。現在「社外上司」として多くのビジネスパーソンの悩みに寄りそい成長をサポート。趣味は出張先での御朱印集め。家族は夫と猫2匹。
Twitter:@lotus_kikuhime
ライター所属:京都メディアライン