クレームについて知っておくべきこと
クレームの電話対応は、できれば避けたいと思う人も多いでしょう。電話の要件がクレームだった場合、一気に緊張してしまうのではないでしょうか?
クレームの電話対応で大切なのは、対応の基本を押さえること。対応で避けたいことも含めて知っておくことで、クレーム対応が楽になりますよ。まずは、なぜクレームが発生するのかを見ていきましょう。
なぜクレームが発生するのか?
クレームは、相手(お客様や取引先など)の満足度が満たされないことで発生。「聞いていた話と違う」「期待していたものではない」「想像以上に悪かった」など、相手にとって想定外の良くないことが生じ、それがクレームになるのです。
電話でクレームを言う時点で、相手は多かれ少なかれ、怒りや不満を抱いています。それゆえ、最初に電話を取った人の対応はとても大切です。自分が起こしたクレームではないと思っても、それは相手には通用しません。
クレームの電話対応は、会社としての対応が求められるもの。そう認識し、きちんとていねいに対応することが必要です。
クレームの電話対応、基本的な5つのステップとは?
電話でクレームを受けたら、次の5つを意識して対応してみてください。これは電話以外のクレーム対応にも共通します。
Step1:まずは相手の話をしっかり聞く
相手は、言いたいことや伝えたいことがあって、クレームの電話をしてきます。これが満たされないと、いくら良い提案をしても、受け入れてもらえません。まずは相手の「聞いてほしい」を満たすべく、相手の話をしっかりと聞いてください。
ここで大切なのは、相手に「自分の話が受け入れられた」と感じてもらえるかどうかです。そのためにも、内容をきちんと聞き取り、メモを取って情報の整理をしながら、相手の言いたいことを把握するようにしてください。
Step2:相手の気分を害したことについて、ていねいにお詫びする
クレームの内容が事実かどうか、こちらに非があるかどうかは、すぐに判断できません。しかし、相手の気分を害したことは事実です。それに対して、ていねいにお詫びをします。
お詫びの際、注意したいのが「責任の所在」について触れること。「こちらに責任がある」のように伝えてしまうと、大きなトラブルに発展する可能性があります。この時点では、責任については触れず、気分を害したことへの謝罪に留めてください。
Step3:クレームの内容について、確認をする
クレームに至った経緯や理由について、正しく把握するために、相手に内容に相違がないかの確認をします。この際、「こちらの捉え違いがあってはいけませんので、再度内容を確認させていただいてよろしいでしょうか?」のように伝え、相手の了承を得てから話を進めてください。
質問は、簡潔かつわかりやすく聞くことを意識します。望ましいのは、一問一答形式。質問が長い、聞きたいことが曖昧などは、相手の怒りを増長させてしまうので、注意してください。
Step4:対応策の提示
可能であれば、その時点においてできる対応策を提示します。この場合、相手の気持ちを汲み取りながら、わかりやすい言葉で伝えるようにしてください。
また、対応策は良識の範囲内での提示が大切。誠意を見せようと、度を超えた内容を提示すると、他の人のクレームにつながる可能性があります。
その場で判断できない場合や、裁量権が自分にない場合は、いったん電話を切り、上司や先輩と相談のうえ、折り返しの連絡で対応するようにします。この時、勝手な自己判断で対応策を決めてしまうと、違うトラブルを招く恐れも。注意してください。
Step5:質問や意見を伺い、お礼の気持ちを伝える
対応策の提示をした場合は、相手がどう思ったかを知ることが大切です。相手に納得してもらうためにも、提示した対応策についての意見や質問を必ず伺ってください。
また、対応策を提示できなかった場合は、折り返しの連絡で提示することを伝えます。相手が了承してくれたら、「他にお伝えになりたいこと、お聞きになりたいことはございませんか?」のように伺い、相手が納得できるようにしてください。
最後は、貴重なご意見を賜ったこと、時間を割いていただいたことに対してお礼を述べ、相手が電話を切ってから、受話器を置きます。先に電話を切らないようにしてくださいね。
なお、相手が異常に興奮しているなど、対応が難しいケースもありますよね。その場合は速やかに上司に報告を。すべて一人で対応しなければ、と思う必要はありません。
クレームの電話対応で避けたいこと
クレームの電話対応では、次のことは可能な限り避けてください。いずれも、相手の怒りを増幅させる可能性がありますから、意識しておくことをおすすめします。
1:NGワードや反論、言い訳は避ける
怒りや不満を持っている時、相手に否定されたら、誰でも怒りが増しますよね。それを意識し、否定を感じさせる言葉は使わないようにします。
<NGワード>
でも/しかし/そう言われても/そうおっしゃいますが/それは違います/そんなはずはありません など
また、反論や言い訳、身内をかばうような発言も、同様の理由で避けてください。相手が誤解していたとしても、まずは相手の怒りが静まるのを待ち、それから伝えることをおすすめします。
2:相手のことを勝手に推測して決めつけない
クレームの電話で、相手が淡々と穏やかに話していると感じても、「それほどお怒りではない」と決めつけるのは危険です。怒りの表現は人それぞれ違うもの。ストレートに怒りをぶつける人もいれば、静かに怒る人もいます。
勝手な推測で決めつけたがゆえに、適切な対応ができないということもあります。電話の対応でわかることは少ないと捉え、相手の話にしっかりと耳を傾けてください。
3:誠実に相手と向き合う
クレームの電話対応は、時間がかかるうえに疲弊しますよね。クレーム対応のため、予定の変更が生じたり残業になったりすると気持ちが焦り、「早く電話を終わらせたい」と思うかもしれません。しかし、そのような思いは、口に出さなくても相手に伝わってしまうものです。
クレームの電話対応で大切なのは、誠実に相手と向き合うこと。クレームの対応がよかったから、その会社や商品のファンになったという事例は、実はたくさんあるのですよ。
クレームの電話対応は、相手と新たな関係性を築いたり、新たなアイデアにつながったりすることも多々あります。クレームをいただいたことに感謝し、誠意を示しながら対応することを心がけてくださいね。
最後に
クレームの電話対応は、時間がかかり疲弊する業務ですが、仕事をするうえでは避けられません。クレームの電話対応は、基本的なことや避けたいことを押さえておくと、どんどん対応力が上がります。クレームの電話を受けたら、まずは相手の話を聞くことに集中し、誠意を持って対応してくださいね。
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