「悪口雑言」の意味や読み方
「悪口雑言(あっこうぞうごん)」とは、思う存分に悪口を言うことです。口汚く発する言葉そのものを指します。
気を付けたいのは、「悪口」を「わるくち」ではなく「あっこう」と読む点です。「悪口」は、読み方によって意味が微妙に異なります。
「わるくち」も「あっこう」も、他人を悪く言うことや悪く言う言葉のことです。
「あっこう」した場合は、さらに「悪態をつく」という意味が含まれます。「悪態」とは、他者に対して憎まれ口をきくことです。人に憎まれることを言う様子や、言葉そのものを意味します。
いずれも善い行いとはいえませんが、他者をさんざんにののしることは「悪口雑言(あっこうぞうごん)」と言い表すことを覚えておきましょう。
あっこう‐ぞうごん〔アクコウザフゴン〕
出典:小学館 デジタル大辞泉
さんざん悪口を言うこと。いろいろののしること。また、その言葉。罵詈 (ばり) 雑言。
「悪口雑言」の使い方や例文
「悪口雑言」は、他者への強い悪意が感じられる四字熟語です。ネガティブなニュアンスが含まれるため、使用時は相手との関係性や状況に配慮しましょう。
・顧客から「激しいクレームを受けた」と連絡が入りました。至急状況を確認しますので、現場のリーダーは、その場で悪口雑言を浴びせられたという係員のフォローに回ってください
・先ほどから上司が部下を叱責しているが、問題の本質から逸れた悪口雑言の数々は、聞くに堪えないものがある
・その日、SNSは不祥事を犯した芸能人への悪口雑言で溢れかえった
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「悪口雑言」の類語や言い換え表現
「悪口雑言」は、状況に応じ以下のような類語に言い換えも可能です。
・罵詈雑言(ばりぞうごん)
・悪口(わるくち)
・憎まれ口(にくまれぐち)
・罵倒(ばとう)
・誹謗(ひぼう)
・恥辱(ちじょく)
ここでは、それぞれの正しい意味や使い方、「悪口雑言」との違いなどを紹介します。それぞれの言葉の特徴を理解し、シーンに応じて使い分けましょう。

「罵詈雑言(ばりぞうごん)」
「罵詈雑言」は、「悪口雑言」と同様に悪口で相手をののしることです。「罵詈」には、「口汚くののしる」という意味が含まれます。
「悪口雑言」との違いを挙げるなら、思う存分に悪口を言ったり、ひどくののしったりという意味が弱くなる点かもしれません。とはいえ、口汚く他者を侮辱する点は同じだといえます。
「罵詈雑言」と似た言葉に「罵詈讒謗(ばりざんぼう)」がありますが、こちらは「ありもしないことを言って人をののしる」という意味になります。「悪口雑言」や「罵詈雑言」と似ていますが、発するのは悪口に限らないため、混同しないように気を付けましょう。
・彼女は自分を傷つけた相手に対して、あらゆる限りの罵詈雑言を浴びせかけた
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「悪口(わるくち)」
「悪口」は、他者を悪く言うことです。「わるくち」または「わるぐち」と読みます。
悪く言う言葉そのものを指し、以下のように当人がいない場所で相手を悪く言う「陰口」と似た意味をもちます。
・平気で誰かの悪口を言う人は信用できないな
・彼女はいつも、本人がいない場所で聞かれてはまずい悪口を言っている
「憎まれ口(にくまれぐち)」
「憎まれ口」は、人に憎まれる発言をすることです。「憎まれ口を言う」のほか、「憎まれ口をたたく」「憎まれ口をきく」などの形で用いられます。
「憎まれ口」と似た言葉には、「減らず口(へらずぐち)」があります。こちらは、自分勝手な屁理屈を指す言葉です。
「悪口雑言」が他者の悪い点を言うのに対し、「憎まれ口」は他者に憎まれることや強がり、負け惜しみなどを言う際に使われます。
・仕事がうまくいかないからと憎まれ口ばかり叩いていると、周囲からの信頼を失ってしまうよ

「罵倒(ばとう)」
他者を激しい言葉でののしることは、「罵倒」と言い表します。「悪口雑言」も他者をののしることですが「罵倒」には「悪口」という意味は含まれません。
そもそも「罵」には他者をののしるという意味があり、同じ漢字を使った語句には「痛罵(つうば)」や「面罵(めんば)」があります。「痛罵」は相手を痛烈に非難すること、「面罵」は相手を面と向かってののしることです。
「罵倒」を含め、いずれも他者を強く非難するシーンに使われます。
・不祥事について何かしらの責任をとるべきではないのかと、取材陣は、言い訳ばかりする責任者を人前で罵倒した
「誹謗(ひぼう)」
「誹謗」とは、他者を悪く言うことです。「悪口雑言」のような「ののしる」というニュアンスはないものの、悪口で他者を非難する点は共通しています。
「誹謗」には、「誹謗中傷(ひぼうちゅうしょう)」という四字熟語もあります。「誹謗中傷」は、根拠のない悪口で他者を傷つけることです。
日常生活では、いずれも以下のように使用できます。
・上司に関する悪い噂を耳にすると思ったら、陰で誰かが誹謗していたらしい
・インターネット上の書き込みは、内容によっては誹謗中傷ととられ、法的な責任を問われる場合がある
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「恥辱(ちじょく)」
「恥辱」には、人の名誉を傷つけるという意味があります。「屈辱(くつじょく)」とニュアンスが似た言葉です。
他者に悪口を投げつける「悪口雑言」な行為は、結果的に「恥辱」につながる可能性があります。
会話では、以下のように「恥辱を受ける」「恥辱に耐える」の形で使用されます。
・人前で悪口雑言を浴びせられ、恥辱に耐える思いだった
・自分の経験やスキルすべてを人前で否定されるなんて、今までこれほどの恥辱を受けたことはない
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「悪口雑言」の意味や読み方を押さえよう
「悪口雑言」とは、誰かに思う存分悪口を言うことです。「あっこうぞうごん」と読み、他者をののしるさまを表します。
「悪口雑言」には、「罵詈雑言」をはじめとする多様な類語があります。いずれも悪口や憎まれ口を叩くこと、他者を非難することを指す言葉です。
近年は、根拠のない悪口で他者を傷つける「誹謗中傷」も問題視されています。それぞれの語句の意味や読み方、細かなニュアンスの違いを理解し、ビジネスシーンで正しく活用しましょう。
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