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「眼光、紙背に徹す」という言葉を聞いたことはありますか? この言葉には、文字や言葉の奥に隠された意図や本質を鋭く見抜く知性への敬意が込められているかのようです。書かれた言葉だけでなく、その背後に広がる世界に心を向けてみると、新しい発見があるかもしれません。
この記事では、「眼光、紙背に徹す」の意味や由来、使い方について見ていきましょう。
「眼光、紙背に徹す」とは? 意味と背景を知ろう
まずは、「眼光、紙背に徹す」の読み方と意味、由来から確認していきましょう。

「眼光、紙背に徹す」の読み方と意味
「眼光、紙背に徹す」は、「がんこう、しはいにてっす」と読みます。辞書では次のように説明されています。
眼光(がんこう)紙背(しはい)に徹(てっ)す
引用:『デジタル大辞泉』(小学館)
《紙の裏まで見通す意から》書物の字句の背後にある深い意味をも読みとる。
「眼光、紙背に徹す」とは、表面上の内容をなぞるだけでなく、文字の背後にある考えや意図まで読み取ることを意味します。読書や文書など、場面を問わず生かせる視点といえますね。
なお、辞書では「眼光紙背に徹す」と句読点なしの表記で紹介されています。
「眼光、紙背に徹す」の由来は?
「眼光、紙背に徹す」という表現は、文字どおり“書かれている紙の裏まで見通す”という意味から生まれました。
参考:『日本国語大辞典』(小学館)
「眼光、紙背に徹す」の使い方を例文を通して確認
ここでは、「眼光、紙背に徹す」の使い方を例文で確認していきましょう。
彼の読書は眼光、紙背に徹すものであり、表面的なあらすじだけでなく、作者の考えや時代背景まで読み取っていた。
この例文では、単に文章を読むだけでなく、その奥にある意図や背景まで深く理解する様子を表現しています。
レポートの添削で、先生は文章に隠れた主張まで見抜き、「眼光、紙背に徹すとはこのことだ」と学生たちを感心させた。
指導者が表に見える言葉だけでなく、文章に込められた真意まで見抜く力を表しています。

その評論家は、詩の一行一行から作者の人生観や価値観まで読み取る、まさに眼光、紙背に徹す読解力を持っていた。
詩の表現を通して、詩人の思いや哲学まで感じ取る洞察力をたたえる使い方です。
「眼光、紙背に徹す」とよく似た表現を紹介
「眼光、紙背に徹す」に近い意味を持つ表現を知っておくと、日常会話や文章の幅が広がります。ここでは、使いやすい言い換え表現を2つ紹介します。
言外(げんがい)の意味を読み取る
言葉に直接表現されていない部分や、話し手の意図など、表面に現れない意味を読み取ることを指します。言葉の奥にあるニュアンスや気持ちを感じ取るときに使われます。
深意(しんい)を解する
「深意」とは、表面には見えない深い考えを意味します。「深意を解する」は、その奥に込められた思いや意図を理解することを表します。話し手の心情を汲み取るときなどに用いられることが多いでしょう。

日曜劇場『VIVANT』に登場し、注目される
「眼光、紙背に徹す」という表現は、近年では堺雅人さん主演のTBS系日曜劇場「VIVANT(ヴィヴァン)」(2023年)で使われ、話題となりました。
劇中、乃木(演:堺雅人さん)が飛行機の中で、野崎(演:阿部寛さん)に向かって「あなたは鶏群(けいぐん)の一鶴、眼光紙背に徹す」と言うシーンが印象的に描かれています。
「鶏群の一鶴」とは、多くの凡人の中でひときわ際立った才能や人物を表す言葉です。このセリフは、「物語の伏線になっているのではないか?」と話題になりました。
最後に
「眼光、紙背に徹す」は、物事の本質を見抜きたいと願う人に寄り添う言葉です。表面的なことにとどまらず、背後にある思いや意図を感じ取ることで、日常生活にも新しい視点が加わるのではないでしょうか。
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