TVアニメ『TO BE HERO X』に出演! 声優・宮野真守さんにインタビュー
旬の人気声優をクローズアップする、人気インタビュー連載『耳恋』。今回のゲストは、先日TV放送で最終話を迎えたTVアニメ『TO BE HERO X』でX(エックス)役を演じている、宮野真守さん。
数値化された人々の信頼によって生み出されたスーパーヒーローたちが、唯一絶対のヒーロー〝X〟の座をかけて戦いを繰り広げる——そんな唯一無二の世界観を描く同作は、中国を拠点に若者たちから人気を集めるbilibiliと数多くの人気アニメを手掛けるアニプレックスがタッグを組んで製作された、異色のオリジナルアニメ。現在はNetflix、Prime Videoをはじめとする各配信プラットフォームで第1話から第24話(最終話)まで配信中の同作について、宮野さんはこう語る。
「日本のアニメーションとは異なるアプローチで個性的。映像での表現も音楽の使い方も独特の世界観があって、おしゃれで素敵ですよね。劇伴も一曲一曲が〝BGM〟というより〝楽曲〟のようで…すごく面白いなと感じました」
画面から目を離せなくなる、物語の世界にどんどん引き込まれていく——2Dと3Dを見事に横断・融合させた『TO BE HERO X』の美しくスタイリッシュな演出が誰よりも映えるヒーロー、それが宮野さん演じるX(エックス)だ。
▲2年前に公開された『TO BE HERO X』のコンセプトムービー。2Dと3Dを自在に行き来する、アーティスティックなXのアクションに目を奪われる!
嘘のない彼の日常を、まっすぐに演じたい
圧倒的な強さで一瞬にしてヒーローの頂点にのぼりつめたXだが、素性は謎に満ちている。そんな彼について、「強い信念と意志をもって行動している人」と宮野さんは分析。
「『あのときのコインが俺をヒーローへ誘ったと思ってたが』なんてセリフがあるんですけど、ヒーローになった以上はヒーローとして生きるしかない。彼はそういう決断をしているんじゃないかと思うんです。それが決して本意ではなくても、自分に課せられた運命から逃げることなく立ち向かっていく。『残業はイヤだ』とか『本当はヒーローの頂点から引退したい』とか口では言っているけれど、自分の立場を理解してまっとうしようとしている。そんな彼の存在は面白いなと思いますし、同時に共感も覚えます。そして、絶対的なヒーローである彼にも存在している日常を、僕はまっすぐに演じられたらなと。彼が誰とどのように接して、どんなことを思って、何を大切にして日々を暮らしているのか…そこに嘘はないと思うので」

完全無欠のヒーローにも〝日常〟があり、また〝日常〟を生きるどんな存在もヒーローになれる可能性を秘めている——それが『TO BE HERO X』の世界。そして、その可能性を大きく左右するのが、情報の共有・拡散ツールとして発達したSNSの存在だ。
「みんな良くも悪くもSNSの反応や反響に左右されながら生きていて、SNSがきっかけで急にスポットライトが当たったりもする。現代社会におけるSNSとヒーローの信頼値とをうまくリンクさせていますよね」
手練れの人たちが揃うと、シーンに説得力が生まれる
現代のSNS文化を巧みにシナリオに取り入れ、〝ヒーローもの〟という王道のテーマに鮮度と共感性を与えている同作。ランキング上位のヒーロー10人がそれぞれの主人公として独立したエピソードをもち、オムニバス形式で全24話が展開されていく作品構成も大きな特徴のひとつ。そして、10名のメインヒーローはもちろん、脇を固めるキャラクターたちのキャストの豪華さも話題を集めた。
「大御所の方々がどんどん登場してくるんです。そういった皆さんと一緒にお芝居ができるのは非常に有意義な時間でしたし、同時に僕より若い世代の子たちの表現にもとても刺激を受けました。いち声優である僕がこういう表現をするのもおかしいですけど…手練れの人たちがこれだけ揃うと、やっぱりひとつひとつのシーンに説得力が生まれるんだなとも実感しました」

回が進むにつれて各ヒーローの物語が重なり合い、ひとつの世界が出来上がっていく同作だが、宮野さん演じるXのエピソードを描く【X編】は大トリ。最終話である第24話に設定されている。
「最終話にして、やっとたくさん喋ることができました(笑)。〝物語の真相〟に限りなく迫っている回なのですが、謎に包まれた終わり方でもあります。この物語がどのような姿をしていたのか、皆さんにも想像してもらえたら嬉しいですね」
信頼を得るために大切なのは、自分ができる仕事をまっとうすること
最終話をみることで、また遡って1話から全話を追いかけたくなる——そんなアニメ『TO BE HERO X』。作品全体のテーマである〝信頼〟という二文字は、働くOggi読者にとっても切ってもきり離せないもの。信頼を得るために、宮野さん自身が大切にしていることを聞いてみた。
「信頼されたいから…と相手にベクトルを向けるのではなく、自分ができる仕事を全うする。役者として自分ができる最高の芝居を追求する。あくまでも僕の仕事の場合ですけど、それが大事なんじゃないかと思っています。今の自分に足りていないものを考えて、学んで、突き詰めて、新しい表現を身につける——そうやって前に進んでいくうちに、『マモ、いい芝居するね』って、信頼されたい人たちに信頼してもらえるようになった。そんな気がするんです」

そんな宮野さんの〝信頼論〟は、子役から声優へと歩みを進めた少し特殊なキャリアも影響している。
「大人になった今だから言えますけど、声優という仕事はもともと目指していた場所ではなかったんです。右も左もわからないまま声優の世界に入って、がむしゃらに頑張るしかなかった。でも、そうやって自分の仕事にまっすぐ向かっていたからこそ、『これもやらせてみよう』と周りの方が思ってくれて、今がある。そして、数えきれないくらいの宝物を得ることができました。やっぱり一生懸命やるしかない。自分も大人になったなって思います(笑)」
…と、Oggi世代に向けての話題もたっぷりな宮野さんのインタビューは後編へ! 宮野さんならではのヒーロー論、そしてOggi世代へのアドバイスなど、お楽しみに。
★インタビュー後編は10月13日(月)12:00公開予定です。
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Profile
宮野真守/みやの・まもる。1983年6月8日、埼玉県生まれ。声優・俳優・歌手。2001年、海外ドラマ『私はケイトリン』で声優デビュー。『ザ・スーパーマリオブラザーズ・ムービー』や『キン肉マン 完璧超人始祖編』などで主演をつとめ、数多くのアニメ作品に出演。俳優としては劇団☆新感線の『「髑髏城の七人」Season月≪下弦の月≫』、ミュージカル『ジョジョの奇妙な冒険 ファントムブラッド』をはじめとする舞台作品のほか、人気ドラマや映画にも出演。また、2008年からアーティストとしても活動しており、11月19日には8thアルバム『FACE』をリリース予定。
撮影/中川達也 スタイリスト/横田勝広(YKP) ヘア&メイク/Chica(C+) 構成/旧井菜月