『海宝直人×オーケストラ more in TOKYO 舞台芸能活動30周年記念コンサート』、11月29日(土)15:15〜WOWOWにて放送・配信!
劇団四季ミュージカル『美女と野獣』チップ役でデビューしたのは1996年、7歳のときのこと。それから30年、今では日本のミュージカル界を牽引する存在に——ミュージカル俳優・シンガーとして活躍する海宝直人さんの舞台デビュー30周年を記念して開催されたオーケストラコンサートがWOWOWで放送・配信されます。30年にわたるキャリアを彩ってきた名曲の数々をフルオーケストラで堪能できる同公演について、そして〝ベテラン俳優〟としての仕事論について、海宝さんにたっぷりとお話を伺いました。

——今夏開催された『海宝直人×オーケストラ more in TOKYO 舞台芸能活動30周年記念コンサート』。7月21日に東京・Bunkamuraオーチャードホールで行われた公演の模様がWOWOWで放送・配信されます。まずは同公演の見どころ、聴きどころを教えてください。
海宝さん:やはりフルオーケストラでミュージカルの楽曲を聴けるところですね。サウンドはもちろんですが、オーケストラの皆さんがズラリと並んでいるビジュアルも壮観! そして音楽監督の森 亮平くんのアレンジも素晴らしいんですよ。オーバーチュア(公演冒頭で演奏される序曲)に関しても、30周年にまつわるいろいろな楽曲を詰め込んでメドレーにしてもらいました。そのどの部分で入場すると盛り上がるんだろう…?とそんなところもこだわっています。曲をどうつないで、どんなトークをして、どう歌に入っていけば、お客様が自然と楽曲の世界に入っていけるのか…自分自身のコンサートは、セットリストはもちろん台本もざっくりと自分で書いているんです。
——特に気に入っていらっしゃるパートや「うまくいったな」と感じた構成はありますか?
海宝さん:同じ公演の中ではじめて二役を演じた『アナスタシア』のグレブ役とディミトリ役の楽曲を2曲続けたところですね。歌い分けようという意識はあまりなかったんですが、「歌い出しから雰囲気が違う」とおっしゃっていただくことが多くて。それぞれ異なるものを積み重ねて過ごした役ですから、やっぱり声色やムードも自然に変わるんだなと。その違いをお客様に楽しんでいただけたように感じますし、僕自身もこれができてよかったなと思います。

——セットリストには王道の名曲も数多く並んでいて、ミュージカルファンはもちろん、ふだんミュージカルに馴染みのない方でも楽しめる公演だなと感じました。
海宝さん:『アラジン』をはじめとして、ディズニー作品は特に入り口としてすごくいいですよね。歌声で、音楽で、一瞬にしてその世界へ連れて行ってくれる。ミュージカルの力強さやミュージカル楽曲の物語性というのは、やっぱりとても魅力的なものだなと改めて感じました。
——音楽監督・指揮をつとめられている森 亮平さんとは長いお付き合いですよね。
海宝さん:亮平が19歳、僕が20歳のときからの付き合いなので、本当に長いですね。お互いにミュージカルの世界で経験を重ねてきて、彼は大作で指揮者をつとめたり、いろいろな作品で音楽監督もつとめるようになり、『レ・ミゼラブル』では同じ舞台に立つこともできました。出会った当時はこんな未来を想像もしていなかったですけど、ずっと一緒に歩んできたという感覚があります。僕は、彼の音楽的な感覚を信頼していますし、この公演も亮平の指揮で歌うことにすごく安心感がありました。このコンサートはふたりの歴史でもあるなと思います。
がむしゃらに懸命に…そんな30歳を経て至る、現在の仕事論
——この公演は海宝さんの〝30年〟にわたる舞台キャリアを記念して開催されたものですが、Oggiは〝働く30歳から〟がメインターゲット。海宝さんの30歳前後は、どんな時期でしたか?
海宝さん:ロンドンと日本を行き来したりもしていて、とにかく忙しかったですね。コロナ禍でいろいろなものが一気に止まってしまうまで、走って走って走って…かなり無茶もしていたと思います。でも、新しいことへの挑戦が多かったこともあって、「とにかくやるしかない!」といい意味であまり考えすぎず、目の前の課題にどんどんぶつかっていくことができた。それはすごくいい経験になりました。その頃の年齢でなければできていなかったんじゃないかとも思いますが(笑)。
——そのときできる全力で経験を積み重ねていくことで、得られるものがあったのですね。
海宝さん:すべてを上手くやれていた…とは言わないですが、お声がけいただいた仕事を誠心誠意がんばったことで、〝次〟につながっていった。このとき頑張っていたからこそ、今があると思っています。

——そんな時期を経ての今。働く上で大切にしていることは?
海宝さん:あまり無茶をしないこと。20代後半から30代前半が〝数〟や〝量〟でがんばっていた時期だとしたら、次はひとつひとつの仕事に対して、さらに腰を据えて向き合っていく。そんな働き方を大事にしたいです。そういう姿勢で新しい作品にチャレンジしながら、叶うのであれば海外でも活動したいという思いもありますし、クリエイティブというか〝つくる側〟にもチャレンジをしてみたいなと。先々…ですけどね。
——では、海宝さんにとって〝働く〟とは?
海宝さん:表現者として〝もがき続けること〟ですね。「これができたから成功」というような、目に見えるような正解がないので、演出家のみなさんや音楽監督さんやクリエイティブチーム、そして自分自身を信じて前に進み続けるしかない。歌や芝居に関しては、ずっともがき続けていくしかないんだろうなと思います。
——正解がないものとどうやって向き合われているんですか?
海宝さん:信頼できる人たちからの言葉は、大きな指標になりますね。舞台をみにきてくださったら感想をうかがって「ここが良かったよ」「ここが足りないんじゃない?」と教えていただくようにしています。言われたままに芝居を変えるわけではないですけど、かけられた言葉は自分の自信や課題につながっていく。作品は常に顔合わせというまっさらな状態からスタートするし、作品によって求められる芝居の質感も異なる…そんな仕事だからこそ、柔軟に対応していくことが大切なのではないかと。ときに友人や先輩たちの言葉を聞きながら、やわらかくしなやかに。そんな自分でいられたらなと思います。
海宝さんにちょっと気になる3つのQ&A!

Q1:生まれ変わったらどんな職業に就きたいですか?
A:小さなころから習っていないとできないような…たとえば楽器を弾く人とかになりたいです。今、ピアノにチャレンジしているんですけど、これが楽しくて難しくて。今からでは絶対にピアニストにはなれないだろうなと感じるので、〝生まれ変わらないとなれないような職業〟に就きたいですね。
Q2:元気がほしいときに聴く一曲は?
A:ヒグチアイさんの『やめるなら今』。心が折れそうなときに聴くと「もうちょっと頑張ってみようかな」と思える、すごく好きな曲です。とても言葉の力が強くて、応援歌だなって思います。
Q3:「私、意外に●●が得意です!」、〝●●〟に当てはまるのは?
A:唐揚げをつくるのは得意かもしれません。唐揚げって、たまに揚げたてが食べたくなりませんか? お肉を切って、味付けして、冷蔵庫で寝かせて、油の温度を管理しながら、二度揚げして…。マヨネーズをしっかり下味に入れると美味しいんですよ!
WOWOW『海宝直人×オーケストラ more in TOKYO 舞台芸能活動30周年記念コンサート』

■放送・配信日:11月29日(土)午後3時15分 WOWOWライブ/WOWOWオンデマンド
■出演:海宝直人
スペシャルゲスト:星風まどか
コーラス:磯部杏莉、感音、清水彩花、村井成仁
音楽監督・指揮:森亮平
オーケストラ:新日本フィルハーモニー交響楽団
■番組サイト:https://www.wowow.co.jp/detail/205138
海宝直人
かいほう・なおと/1988年、千葉県生まれ。1996年、劇団四季ミュージカル『美女と野獣』チップ役で舞台デビューし、舞台を中心に活動。2018年には『TRIOPERAS』でロンドン・ウェストエンドでもデビューを果たす。主な出演作に、ミュージカル『アナスタシア』『レ・ミゼラブル』『ミス・サイゴン』『ノートルダムの鐘』『アラジン』『ライオンキング』など。またロックバンド・シアノタイプのボーカルとしても活躍。2026年1〜2月はミュージカル『ISSA in Paris』で主演をつとめる。
ジャケット¥29,700・パンツ¥18,700(PUBLIC TOKYO カスタマーサポート〈PUBLIC TOKYO〉) 中に着たトップス¥9,900(フューズ ルクアイーレ店〈FUSE〉)
撮影/谷口 巧(Pygmy Company) スタイリスト/津野真吾(impiger) ヘアメイク/友森理恵(Rooster) 構成/旧井菜月



