「悶々とする」ってどういう意味?
「悶々とする」という言葉を聞くと、皆さんはどんな状態をイメージしますか? なんとなく思い悩んでいるような状態は思い浮かぶものの、詳しく説明はできないという方が多いかもしれません。そこで今回は、「悶々とする」の意味や使い方、「ムラムラ」との違い、言い換え表現などを紹介します。
意味と読み方
「悶々」とは「もんもん」と読み、悩み苦しんでいる精神状態を表します。体をよじって苦しむ「悶える」という漢字が使われていることからも、その辛い状況が想像できますね。「悶々とする」は、悩んでいる様子を外に出さず、心の中に悩みや葛藤を抱えていることがポイント。友達に相談したり、思い切り泣いたりすることは「悶々としている」とは言いません。
恋愛や人生に関することでなかなか答えが出ず、気持ちが塞いでしまったり、ある人から言われたことが気になって仕方ないような時に、「悶々とする」ことが多いようです。
「もやもや」や「ムラムラ」とはどう違う?
「悶々とする」はその言葉の響きから、「もやもや」や「ムラムラ」と混同されることもしばしば。「もやもや」は、「原因がはっきりとしないこと」「心にわだかまりがあって、さっぱりとしないこと」という意味があります。はっきりしないことに焦点が当てられているため、「悶々」のような深く悩むといったニュアンスはありません。
また、「ムラムラ」は激しい感情が急に沸き起こることを表すため、意味合いが異なります。性的な欲求を抱えている状態を「悶々」と表現されることがありますが、本来そのような意味はないので注意しましょう。
使い方を例文でチェック!
続いて、日常生活において「悶々とする」シチュエーションと使い方を3つみていきましょう。
1:デートの時に彼から言われた一言が忘れられず、悶々としている。
日常生活の些細なことがきっかけで、思い悩むようになってしまったということもあるでしょう。例えば、友達に外見や性格のことでからかわれた時。また、デートの時に恋人に言われた何気ない一言などが心に引っかかって、「あれは一体どういう意味だろう?」と考えすぎてしまうこともあるはず。だからといって、本人に問いただすこともできないため、一人で抱え込んでしまうのです。
2:どんなに考えてもなかなか答えが出ず、悶々とした日々を過ごしている。
悩みや苦しみを一人で抱えたまま、生活していることを「悶々とした日々を過ごしている」と言います。例えば、好きな人が自分のことをどう思っているのか少し不安に思っている時。そのほかにも、人には言えない深刻な悩みを抱えている時には、こんな日々を過ごすこともあるでしょう。心の中がもやもやしていると、気分も落ち込みがちになってしまいますよね。
3:一人、悶々としたまま夜を明かした。
布団の中に入っても、気になることやその日のことを考えてしまうこともありますよね。頭の中でいくら考えても、なかなかいい解決方法が思い浮かばず、結局朝になっていた! なんてことも。そんな状況は、まさに「悶々としたまま夜を明かした」と言えるでしょう。
類語や言い換え表現とは?
「悶々とする」の類語には、同じ「悶」という漢字が付く「煩悶」「苦悶」などが挙げられます。また、同じような状態を表す言い換え表現として「鬱々とする」も合わせて覚えておくといいでしょう。それぞれの意味を詳しく説明します。
1:鬱々とする
「悶々とする」とよく似ている表現が「鬱々とする」。「鬱」には、「気分が塞がる」という意味があり、「心の中に不安や悩みがあって、思い沈むさま」を表します。感情を外に発散せず、心の中に抱え込んでいる状態が「悶々」とよく似ていますね。いずれにしても、ネガティブな感情に苛まれているということなので、あまりいい状況とは言えません。
・兄は外に出る元気もなく、鬱々とした日々を過ごしているようだ。
・彼女に振られたショックで鬱々としている。
2:煩悶
「煩悶(はんもん)」とは、「いろいろ悩み苦しむこと」。「悶々」と同じく「悶」という漢字が使われており、苦しみに悶えている状態を表します。また、「煩」には、「わずらわしい」という意味があり、面倒なことに振り回されて苦しんでいる、嘆いているといったニュアンスも。恋愛や進路などさまざまな問題に頭を抱え、じっとしていられないくらい悶えている状態といえるかもしれませんね。
・彼女への想いをなかなか伝えられず煩悶している。
・なかなか将来の進路が決まらず煩悶する。
3:苦悶
「苦悶(くもん)」とは、「肉体的、精神的に悶え苦しむこと」。「苦悶に満ちた表情」「〜に苦悶する」というように表現します。心配事や悩みなどの精神的な苦しみを表す「悶々」とは異なり、「苦悶」は肉体的な苦しみにも使えるのがポイント。例えば、誰かに思い切り足を踏まれたり、きついトレーニングに耐えている時に「苦悶の表情を浮かべる」と言ったりしますね。
・どうにかしてこの研究を成功させようと日夜苦悶していた。
・私の問いかけに、彼は苦悶の表情を見せた。
4:憤悶
あまり聞き慣れない言葉ですが、「憤悶(ふんもん)」とは、「いきどおり、悩むこと」。強い不平不満や怒りなどがあり、心の中が晴れない状態を指します。「悶々とする」や「苦悶」などは、不安や苦しみといった感情が中心になりますが、こちらは怒りの感情が強い傾向。何かに対して、不満があったり、怒っているような時には「憤悶」を使ってみましょう。
・相手の失礼な態度に憤悶した。
・彼に対して憤悶していることに気付いてほしい。
最後に
今回は、「悶々とする」の意味や使い方、類語などをみていきました。不安や悩み事などを抱えて、心の中がすっきりしない状態を「悶々とする」と言います。仕事や恋愛、進路など、「悶々とする」原因はさまざま。今の苦しい心境を相手に伝えたい時に「悶々とする」という言葉を知っておくと役立ちます。「モヤモヤする」「鬱々とする」などの言い換え表現も覚えて、自分の気持ちを的確に伝えてみましょう。
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