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2025.11.04

見るのは死の間際だけじゃない「走馬灯」の意味とは? 英語表現や使い方も紹介

「走馬灯(そうまとう)」とは、過去の記憶が、映像のように連続して頭の中に浮かぶ状態を指します。この記事では、「走馬灯」の意味や語源、使い方、注意点、言い換え表現、英語表現、よくある疑問と回答を紹介します。

この記事のサマリー

・「走馬灯(そうまとう)」とは、過去の出来事が映像のように次々とよみがえる様子を表す言葉です。
・語源は、火の熱で回転する紙灯籠「回り灯籠」。幻想的な動きが記憶の回想にたとえられました。
・「死の間際に見るもの」という意味に限定されず、「懐かしい思い出を振り返る」場面でも使うことができます。

「走馬灯のように思い出がよみがえる」という表現を耳にしたことはありませんか? ビジネスシーンや日常会話でも使われる言葉ですが、実際にどんな意味や由来があるのか聞かれると、自信を持って答えられる人は少ないかもしれません。

本記事では、「走馬灯」という言葉の正しい意味や使い方、由来、そして注意したいポイントなどを解説します。

「走馬灯」の読み方や意味、語源とは?

「走馬灯」は「そうまとう」と読みますが、「そうばとう」と読まれることもあります。

「走馬灯のよう」と表現されることが多く、過去のことを次々と思い出すことを意味します。辞書では次のように説明されていますよ。

走馬灯(そうまとう)のよう
過去のことが次々に思い出されるさまのたとえ。
「幼い頃のことが―に脳裏に浮かぶ」
引用:『デジタル大辞泉』(小学館)

例えば、「卒業式の帰り道、学生時代の思い出が走馬灯のようによみがえった」などのように、過去の記憶が、映像のように連続して頭の中に浮かぶ状態を指します。「懐かしい」や「感慨深い」などという感情を込めて使われることが多く、人生の節目や印象的な瞬間を描写する際に使われることが多い表現です。

「走馬灯」の語源は?

もともと「走馬灯」は、「回り灯籠(まわりどうろう)」を意味する言葉です。「回り燈籠」とは、中央にろうそくを灯し、その熱で筒がゆっくりと回転し、外側に映し出された影絵が次々と動いて見える燈籠のこと。内枠には人や馬などの絵を切り抜いて貼られました。この幻想的な回り燈篭が「走馬灯」と呼ばれました。

(c)Shutterstock.com

「走馬灯」の使い方を例文でチェック

「走馬灯」の日常会話での使い方や、ビジネスシーンで使うことができるのかを見ていきましょう。

日常会話

「走馬灯」は、懐かしさを表したいときにぴったりの言葉です。例えば、懐かしいアルバムを見返したときや、昔の友人と再会したときなどに使うことができます。

【例文】
・「卒業式の夜、学生時代の思い出が走馬灯のようによみがえった」
・「久しぶりに実家の庭に立つと、子どもの頃の夏休みの光景が走馬灯のように浮かんだ」

「走馬灯」は、悲しい場面だけでなく、心温まるシーンにも使うことができます。

ビジネスシーンでの使用はOK?

ビジネスシーンではスピーチや挨拶、送別のメッセージなどで、しみじみとした思いを込めたいときに使うことができます。

【例文】
・「この5年間のプロジェクトの出来事が、走馬灯のように思い出されます」
・「退職のご挨拶をしながら、入社当初の思い出が走馬灯のようによみがえりました」

「走馬灯」を使うときの注意点は?

「走馬灯」は、使う場面や表現を誤ると、相手に違和感や不快感を与えてしまうことも。ここでは、「走馬灯」を使うときに気をつけたいポイントを紹介します。

「死の直前に見るもの」ということに限定されない

「走馬灯」という言葉は、「死の間際に見るもの」という印象を持つ人も少なくありません。しかし、本来の意味は「過去の記憶が次々に浮かぶさま」です。「死の間際」だけに限った表現ではありません。

未来のことや想像上の出来事には使わない

「走馬灯のように」は、過去を振り返るときに使う言葉です。「これからの人生が走馬灯のように思い浮かぶ」などのように、未来や想像での出来事と組み合わせるのは誤用になります。

(c)Shutterstock.com

「走馬灯」の言い換え表現は?

「走馬灯のよう」の言い換え表現には「フラッシュバック」・「回想」・「追憶」などが挙げられます。詳しく見ていきましょう。

「フラッシュバック」

「フラッシュバック」は英語の“flashback”に由来する言葉です。過去の出来事が突然・鮮明に蘇ることを指します。心理的ショックや強い印象を伴う体験を思い出すときに使われることが多い表現です。

辞書では次のように説明されています。

フラッシュバック【flashback】
1 映画・テレビで、瞬間的な画面転換を繰り返す手法。登場人物の激しい心理や緊張した場面などを表現する。
2 過去の出来事がはっきりと思い出されること。逆行再現。→ピー‐ティー‐エス‐ディー(PTSD)
3 「フラッシュバック現象」に同じ。
引用:『デジタル大辞泉』(小学館)

「回想」

「回想(かいそう)」は、かつて経験したことを思いめぐらすこと。過去のことをふりかえって思い起こすことを言います。「少年の日を回想する」などと表現することができます。

「追憶」

「追憶(ついおく)」は、過ぎ去ったことに思いをはせること。「追憶にふける」や「少年時代を追憶する」などというように使います。

「走馬灯」を英語で表現したい場合は?

「flash back」を使うと、「走馬灯のように思い出す」と言うことを伝えることができます。

例文:Memories of my childhood were flashed back in rapid succession.
(子供時代の思い出が走馬灯のように駆け巡った。)

引用:『プログレッシブ和英中辞典』(小学館)

(c)Shutterstock.com

「走馬灯」に関するFAQ

ここでは、「走馬灯」に関するよくある疑問と回答をまとめました。参考にしてください。

Q1:「走馬灯」は“死ぬ間際に見るもの”ですか?

A1:もともとは「回り灯籠(まわりどうろう)」を意味する言葉で、死の瞬間だけの現象を指すわけではなく、「過去の出来事が連続して思い出される状態」をたとえた言葉です。

Q2:「走馬灯のように〜」という表現はどんな時に使うことができる?

A2:懐かしい思い出を振り返るときや、人生の節目を迎えたときに使うことが多いでしょう。

Q3:「走馬灯」を使うときのNG表現は?

A3:未来のことや想像の出来事に対して使うのは誤用です。

「走馬灯」は「過去の記憶がよみがえる」ことを意味します。

最後に

「走馬灯」という言葉は、もともと夏の風物詩であった「回り灯籠」のことを言いました。それが「人生の記憶が映し出される光景」に例えて使われるようになったとされています。

日常の中で「走馬灯のように思い出がよみがえる」と表現すると、そのときの感情や背景が周囲の人と共有できるかもしれません。

TOP画像/(c)Adobe stock

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