「卓袱台」とは? 言葉の基礎知識をまとめて解説
「卓袱台」と「卓袱」は、「台」を付けるか付けないかで漢字の読み方やおもな意味などが変わります。読み方の難易度が高いため、ここでしっかりと確認しておくのがおすすめです。
はじめに、卓袱台の読み方や意味、語源・由来などを解説します。日本の食卓で広く活用されてきた卓袱台のメリットや「卓袱台返し」という表現の意味も、あわせてチェックしましょう。
卓袱台の読み方
「卓袱台」の一般的な読み方は「ちゃぶだい」です。「たくふくだい」と読まないように気を付けましょう。
読みやすさを重視して「ちゃぶ台」と表記されることもあります。地域によっては、当て字で「茶袱台」と書く場合もあるようです。
「台」を付けずに「卓袱」と表記する場合には、「しっぽく」と読みます。「卓袱台」と書いて「しっぽくだい」と読む場合もあります。
ちゃぶ‐だい【▽卓×袱台】
出典:小学館 デジタル大辞泉
《「ちゃぶ」は「卓袱」の中国音からという》和室で用いる、足の短い食卓。
卓袱台の意味
卓袱台(ちゃぶだい)とは「和室で使われる、脚の短い食卓」です。脚を折りたためる四本脚の座卓などが特徴的で、正円形・楕円形・正方形・長方形のものがあります。
日本で古来から使用されてきた家具の1つで、畳のある和室でよく使用される傾向が見られます。現在は卓袱台(ちゃぶだい)の代わりにダイニングテーブルがある家庭が増えました。
また、卓袱台を「しっぽくだい」と読む場合には、「卓袱(しっぽく)」と同様に「中国風の食卓」を意味します。

卓袱台の語源・由来
一説によると、卓袱台(ちゃぶだい)の語源は、中国から伝わってきた「卓袱(しっぽく)」だとされています。
「卓袱料理(しっぽくりょうり)」が広まるまでは、日本では「箱膳」で一人ひとり分かれて食べるのが一般的でした。その後、江戸時代に卓袱料理が広まってからは、みんなで机を囲んで食べるようになったとされています。このとき、みんなで取り囲んで食べられる台のことを卓袱台(ちゃぶだい)と呼ぶようになったとか。
「卓袱(しっぽく)」や「卓袱料理(しっぽくりょうり)」の詳細は、後述します。
卓袱台を使うメリット
卓袱台(ちゃぶだい)は、昭和初期における家族団らんの象徴的な家具といえるでしょう。脚は折りたたみができるものがほとんどのため、必要なときには卓袱台(ちゃぶだい)を出してみんなで囲んで食べ、食事が終わって必要がなくなれば脚を折りたたんで部屋の隅に置いておくことも可能です。
また、円形の卓袱台(ちゃぶだい)にはさらに異なるメリットも。円形の場合、脚を畳んで縦向きにすると転がして動かせるため、力の強くない子どもでも手軽に移動可能です。また、円形の場合は座る人数の融通がきくこと、上座や下座という概念があいまいになって気楽な場になることなどのメリットも挙げられます。
関連する「卓袱台返し」とは
卓袱台(ちゃぶだい)に関連する表現として使用頻度が高い慣用句が「卓袱台返し(ちゃぶだいがえし)」です。「ちゃぶ台返し」や「ちゃぶ台がえし」と表記する場合もあります。
昭和のアニメやドラマなどでは、怒った父親が感情的になって卓袱台(ちゃぶだい)をひっくり返すシーンが描かれました。その様子がまさに「卓袱台返し」です。
このとき、台の上には家族のために用意された食事がのっていることも。家族団らんのひとときであったはずが、卓袱台(ちゃぶだい)をひっくり返されてしまったせいで料理が台無しになり、料理を片付けたり作り直したりする手間が発生します。
そこから転じて「ほぼ完成しつつあった物事を権力者や上長の意向でなかったことにすること」「権力者の激昂などによって下の者のお膳立てが台無しになること」も「卓袱台返し」と呼ばれるようになりました。
語源・由来となった「卓袱(しっぽく)」とは?
続いて、卓袱台(ちゃぶだい)の語源とされる「卓袱(しっぽく)」について見ていきます。同じ言葉が用いられている「卓袱料理(しっぽくりょうり)」についても、あわせて確認しておきましょう。

卓袱の意味
卓袱(しっぽく)とは、「中国風の食卓」「うどんやそばの料理名」「長崎の郷土料理」という3つの意味がある言葉です。
中国風の食卓を指すのであれば、わかりやすいように「台」を付けて「卓袱台(しっぽくだい)」と表現する場合もあります。テーブルを指す場合「朱漆で塗った台に紅白の紗綾(さや)を垂らした、高さ1mほどの中国風の食卓」を指すことが多いです。
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関連する「卓袱料理(しっぽくりょうり)」とは
同じ漢字が用いられた「卓袱料理(しっぽくりょうり)」は、中国料理に日本料理の手法を加えた、長崎特有の料理のことを指します。大きな器に料理を盛り、食卓の中央に置くのが特徴です。また、一部にオランダの味付けや調理法が取り入れられていることもあります。
江戸時代、日本では鎖国政策を実施していました。長崎は鎖国政策を実施した江戸時代でも中国やオランダとの通商が許されていたため、外国の文化や食の影響を受けた、異国情緒あふれる料理が広まったとか。卓袱料理は、現在では長崎の郷土料理として親しまれています。
しっぽく‐りょうり〔‐レウリ〕【▽卓×袱料理】
出典:小学館 デジタル大辞泉
中国料理に日本料理の手法を加えた長崎特有の料理。大きな器に料理を盛って食卓の中央に置く。
卓袱台を理解しよう!
「卓袱台」は、基本的には「ちゃぶだい」と読み、「和室で用いる脚の短い食卓」のことを指します。しかし、「しっぽくだい」と読む場合には「高さ1メートルほどの中国風のテーブル」を意味するため、漢字で表記されているときはどちらを指しているのかに注意が必要です。
近年ではダイニングテーブルを使う家庭が増え、卓袱台(ちゃぶだい)自体よりも「卓袱台返し(ちゃぶだいがえし)」という慣用句としてよく使用されています。
「卓袱(しっぽく)」と表記する場合には、「中国風のテーブル」「うどんやそばの料理名」「長崎の郷土料理」のいずれかを指します。
この記事を参考に、卓袱台や関連する表現への理解を深めましょう。
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