ニュースを見ていて、「大胆不敵な犯行」「大胆不敵な手口」などという表現を聞いたことはありませんか? どちらかというとあまりよくない意味として使われる印象がある言葉ですが、具体的に「大胆不敵」とはどのような様子を表す言葉なのでしょうか? そこで本記事では、「大胆不敵」の意味や使い方、類語、英語表現を解説します。
「大胆不敵」の意味
「大胆不敵」は、「だいたんふてき」と読みます。意味を辞書で確認してみましょう。
[名・形動]度胸があって、恐れを知らないこと。また、そのさま。「―な面がまえ」
『デジタル大辞泉』(小学館)より引用
非常に度胸があって、ものに動じないことを「大胆不敵」と表現します。まるで、敵を敵だと思っていないかのように、大胆な行動をとる人に対して「あの人は大胆不敵だね」ということも。
「大胆不敵」は、勇敢な行動をとる人に対して褒め言葉のように使うことがあったり、時には悪いことをしたのに反省せず、ふてぶてしい態度を表す時にも使用します。相手や状況により、意味合いが良くも悪くも変化することを押さえておきましょう。
使い方を例文でチェック!
「大胆不敵」は、実際にどのように使えば良いのでしょうか? 主な例を3つみていきましょう。
1:彼は大胆不敵にも、社運を賭けた一大プロジェクトを打ち出した。
失敗するリスクを恐れず、大きなプロジェクトを提案する姿は、他の人の目に「大胆不敵」にうつることも。経営難から脱出するための社運を賭けた試みに、乗るか乗らないかで会社の行末は大きく変わるかもしれません。失敗を恐れず挑戦する姿勢を褒める意味合いもある一方で、あまりに向こうみずな計画だと「無謀すぎる」と揶揄されることもあるでしょう。
2:窃盗団は、真昼間にもかかわらず大胆不敵な犯行に及んだ。
ニュースでは、万引きや強盗を報じる際に「大胆不敵な犯行」「大胆不敵な手口」と表現することもありますね。例えば、夜間ではなく明るい昼間を選んだり、お客がたくさんいるお店で宝石などを盗んだりするなど、警察に捕まるリスクの高い行動に出ているケースを「大胆不敵な犯行」と呼ぶことが多いでしょう。
3:窃盗団のリーダーは、大胆不敵な面がまえをしていた。
「面がまえ」とは、「顔つき」のこと。特に強そうな表情をしている場合を指します。肝が据わっており、何が起きても動じないようなイメージです。例えば、取り調べをしている時も、警察の質問に動じず、余裕綽々で受け答えしている姿は、どこかふてぶてしく感じられるかもしれません。
類語や言い換え表現は?
「大胆不敵」のように、度胸があって恐れを知らない人を指す言葉に「怖いもの知らず」「無鉄砲」があります。どんな時に使うのか、例文を見ながら確認していきましょう。
1:怖いもの知らず
「怖いもの知らず」の意味は、以下の通りです。
自信に満ちて、何ものをも恐れないこと。また、無鉄砲なこと。「―の若者」
『デジタル大辞泉』(小学館)より引用
「怖いもの知らず」とは、自信に満ちて、何も恐れないこと。もしかしたら失敗するかもしれないのに、無謀なことにチャレンジする人のことを「あの人は、怖いもの知らずだね」ということも。大抵の人が怖がってやりたがらないことを、自ら進んでやることが特徴と言えるでしょう。
(例文)
・どんな難しい企画も通してしまうA先輩は、怖いもの知らずで有名だ。
・小心者の私には、怖いもの知らずの彼のことが理解できない。
2:無鉄砲
「無鉄砲(むてっぽう)」とは、どのような意味でしょうか?
[名・形動]《「むてんぽう(無点法)」、または「むてほう(無手法)」の音変化という。「無鉄砲」は当て字》是非や結果を考えずにむやみに行動すること。また、そのさまや、そのような人。むこうみず。「―な計画」
『デジタル大辞泉』(小学館)より引用
結果を考えずにむやみに行動することを「無鉄砲」と言います。「大胆不敵」は状況によっては難題をクリアしている人に対する尊敬が込められていることもありますが、「無鉄砲」は他人から見て計画性がなく、常識はずれな行動を指すため、あまり好意的な意味で使用されません。
(例文)
・あいつは無鉄砲だから何をしでかすかわからない。
・彼女の無鉄砲な行動で計画が台無しになった。
英語表現は?
「大胆不敵」が持っている、「危険を恐れない」「勇敢な」などの意味を、英語では「fearless」「daring」と表現します。意味と例文をチェックしていきましょう。
1:fearless
「fearless」は、「恐れを知らない」「大胆不敵な」「勇敢な」という意味があります。どちらかというと、賞賛に値するような大胆な行動をとった時に使われる傾向があるようです。また、日本語のように「大胆不敵な顔つき」を表現することもできますよ。
・She was fearless and full of energy.(彼女は大胆不敵で、エネルギッシュだった)
・The organization’s leader looked fearless.(組織のリーダーは大胆不敵な顔つきをしていた)
2:daring
「daring」は、「(人が)勇敢で恐れ知らずの」「大胆不敵な」という意味。良い意味、悪い意味両方に用いられ、どちらかというと危険を伴うことに挑戦している時に使われます。
(例文)
・He had boundless daring when young. (彼は若い頃、とてつもなく向う見ずであった)
・He says daring things.(彼は大胆不敵なことを言う)
最後に
「大胆不敵」とは、「度胸があって、恐れを知らないこと」。「大胆不敵な犯行」「大胆不敵な面がまえ」などと表現します。「大胆不敵」には、リスクを恐れずに勇敢に挑戦する人に対する褒め言葉のように使われることがある一方で、「向こうみずだ」と揶揄するニュアンスが含まれていることもあります。その時の状況や相手に合わせて、うまく使ってみてくださいね。
TOP画像/(c) Adobe Stock