日常生活で時折耳にする「多種多様」という言葉。皆さんは、どのような場面で使っていますか? 近年ではさまざまな価値観や新しい働き方などが生まれて、「多種多様な働き方を知りました」などビジネスシーンでも使う機会が増えているのではないでしょうか? そこで本記事では、「多種多様」の意味や使い方、「多様性」などの類語を解説します。
「多種多様」の意味
「多種多様(たしゅたよう)」の意味を、辞書で確認していきましょう。
[名・形動]種類が多く、さまざまであること。また、そのようなさま。「人の趣味は―だ」「―な職業」
『デジタル大辞泉』(小学館)より引用
「多種多様」は文字通り、「種類が多く、さまざまな状態のものがたくさんあること」を指します。すべてが同じ見た目であったり、1種類に限られているのではなく、異なるものがたくさんある場合に使われますね。
使い方を例文でチェック!
「多種多様」は日常会話からビジネスシーンまで、幅広い場面で用いられます。ここではその両方の使い方を例文でチェックしていきましょう。
1:アマゾンには、多種多様な生き物が生息している。
「多種多様」は、自然環境や生物の多様性などを語るときに使われることが多い言葉です。「多種多様な」ということで、実にさまざまな種類の動植物が生息していることがわかりますよね。
2:海外赴任をしたことがきっかけで、世界には多種多様な仕事があるのだと気づきました。
海外に行ったことで、日本にはない仕事や新しい働き方があることを知ったという方も多いはず。いくつもの事業を掛け持ちしたり、リモートワークで場所に縛られずに仕事をするなど、自分とは異なる生き方を知ることで、視野が広がりますね。
3:お客様からの多種多様な意見をうかがうことは、商品開発をする際に役立ちました。
さまざまな年齢層や性別、考え方を持ったお客様からの意見を聞くことで、「こんなものがあったら助かる」など、新たなニーズを発見することに繋がります。商品開発に煮詰まった時ほど、自分や身の回りにいる人とは異なる人々の意見を聞くことで、問題解決の糸口が見つかるかもしれません。
類語や言い換え表現は?
さまざまな種類のものがたくさんあるという意味を持つ言葉は、「千差万別」「多様性」「十人十色」などがあります。それぞれの意味をチェックして、日常会話で使ってみてはいかがでしょうか?
1:千差万別
「千差万別(せんさばんべつ)」の意味は、以下のとおりです。
[名・形動]種々さまざまの違いがあること。また、そのさま。千種万様。せんさまんべつ。「―な(の)意見」
『デジタル大辞泉』(小学館)より引用
多くのものに、さまざまな違いがあることを「千差万別」と言います。「千差」は「多くの差別」。「万別」は「さまざまであること」を表すことからも、「多種多様」と意味がとてもよく似ていることがわかりますね。日常会話では、「人の好みは千差万別だから」などと使われることが多いでしょう。
(例文)
・手相は人によって異なり千差万別である。
・人の性格は千差万別だから、気が合わない人がいても仕方ない。
2:多様性
「多様性(たようせい)」は近年よく耳にする言葉ではないでしょうか? 意味を見ていきましょう。
いろいろな種類や傾向のものがあること。変化に富むこと。「生物の―を保つ」
『デジタル大辞泉』(小学館)より引用
いろいろな種類があることから、今までは自然環境や学校教育で使われる傾向がありましたが、近年では社会的な話題など、より広範囲で用いられるようになっていますね。国籍や人種、価値観などで差別せず、自分と違ったバックグラウンドを持った人を尊重する場面で、「多様性」が用いられることが多いでしょう。
(例文)
・教育の場において、多様性を尊重し受け入れることが大切です。
・より多くの企業で、多様性が認められる社会にしたい。
3:十人十色
「十人十色」は、「じゅうにんといろ」と読みます。意味は以下のとおりです。
考え方や好みなどが各人それぞれに違っていること。「―の服装」
『デジタル大辞泉』(小学館)より引用
10人いれば、10通りの性格や考え方がある、というような意味ですね。ここでいう10は、言葉通りの意味ではなく、「たくさんの」という意味合いがあります。学校のクラスや職場などたくさんの人が多く集まる環境の中で、使われることが多い表現です。他の類語と違って、「十人十色」は人に対してのみ使われます。
(例文)
・A先生は生徒は皆十人十色だと考えている。
・十人十色の意見があっても良いのではないでしょうか?
英語表現は?
「多種多様」と同じようなニュアンスを英語で表現したい場合には、「wide variety」を使ってみるといいですよ。「wide」は「幅広い」、「variety」は「種類」「多様」「変化」などの意味があります。「wide variety of opinions(多種多様な意見)」「wide variety of services(多種多様なサービス)」など覚えておくと、ビジネス会話で役立ちそうですね。
(例文)
・We will incorporate a wide variety of opinions.(多種多様な意見を取り入れていきます)
・That company offers a wide variety of services.(その会社は多種多様なサービスを提供している)
・That magazine covers a wide variety of subjects.(その雑誌は多種多様なテーマを扱っている)
最後に
「多種多様」とは、「種類が多く、さまざまであること」。ビジネスシーンでは、「多種多様な働き方」「多種多様な意見」など使う機会が多いかもしれませんね。類語である、「千差万別」「多様性」などの意味もあわせて覚えて、会話の中で活用してみてください。
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