金科玉条とは? 読み方も紹介
「金科玉条」とは、最も大切な法律・規則や、絶対的なよりどころとなるものを指す言葉です。「きんかぎょくじょう」と読みます。
きんか‐ぎょくじょう【金科玉条】
出典:小学館 デジタル大辞泉
《揚雄「劇秦美新」から》最も大切な法律・規則。絶対的なよりどころとなるもの。「父の教えを金科玉条とする」
「科」と「条」は、いずれも法律の条文を表す漢字でもあります。つまり、金や宝玉のように素晴らしい法律が「金科玉条」です。
【状況別】金科玉条の使い方
自分にとっての絶対的なルールや行動規範を指して、「金科玉条」と呼ぶことがあります。たとえば、次のように使います。
・わたしにとっては論語は金科玉条だ
・父親の口癖をまるで金科玉条のように唱えている
「金科玉条」自体には良い悪いはありませんが、言外にポジティブなニュアンスやネガティブなニュアンスを含ませることもあります。よくある使い方を紹介します。
大切なルールや考え方を守っているとき
大切なルールや考え方を守っている人を褒めるニュアンスで、「金科玉条」という言葉を使うことがあります。この場合は、金科玉条が指すものに対してポジティブな意味を込めています。
・彼女は亡くなった祖母の言葉を金科玉条として生きている。彼女の一本筋がとおった生き方は、祖母の教えに由来するのだろう
・彼が私欲を優先したのを見たことがない。利他主義を金科玉条としているようだ
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融通が利かないことを批判するとき
特定の書物や教えを自分の行動規範とすることは、決して悪いことではありません。しかし、あまりにも頑なに書物や教えを守るのは柔軟性に欠け、融通が利かない行為です。頑固に特定の考え方に執着しているときなどは、批判する意味を込めて「金科玉条」を使うことがあります。
・彼女はまるで金科玉条のように自分の価値観を押し付ける。多様性という概念がないのかもしれない
・彼は母親の言葉を金科玉条としている
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金科玉条と類似する表現
「金科玉条」と類似した意味で使う表現としては、次のものが挙げられます。
・拠り所(よりどころ)
・至上命令(しじょうめいれい)
・規矩準縄(きくじゅんじょう)
それぞれの使い方を例文をとおして見ていきましょう。
拠り所(よりどころ)
「拠り所(よりどころ)」とは、頼みとするところや支えてくれるものを指す言葉です。たとえば、次のように使います。
・わたしにとってペットの猫は心の拠り所だ。もちろん何かを教えてくれるわけではないが、日常生活のイライラを吹き飛ばしてくれる存在といえる
・いつまでも今のような生活を続けているのは良くないと思う。生活の拠り所となる何かを見つけたい
また、拠り所は根拠という意味でも使われます。
・彼が犯人だと気づいたのはなぜですか? 何が拠り所となったのですか?
・君の意見には納得できない。拠り所を明確にしてほしい
至上命令(しじょうめいれい)
「至上命令(しじょうめいれい)」とは、絶対に服従しなければならない命令のことです。他のすべてに優先して実施しなくてはいけない事柄に対して使います。
・会長の言葉は至上命令だ。正しいかどうかではなく、とにかく従わなくてはいけない
・売上ノルマ達成が至上命令だ
なお、「至上」とは、この上もないことを指す言葉です。最上や最高の意味で使われることもあります。
規矩準縄(きくじゅんじょう)
「規矩準縄(きくじゅんじょう)」とは、物事・行動の規準になるもののことです。法則や規則、手本とも言い換えられます。
・規矩準縄があることで、世の中は成り立ちます
・ルールがないと無法地帯になる。国を作るときには、規矩準縄が必要だ
金科玉条の反対の意味で用いる表現
金科玉条とは反対の意味で用いる言葉としては、次のものが挙げられます。
・薄物細故(はくぶつさいこ)
・陶犬瓦鶏(とうけんがけい)
いずれも普段あまり耳にする言葉ではないため、日常生活で使うことは少ないかもしれません。
薄物細故(はくぶつさいこ)
「薄物細故(はくぶつさいこ)」とは、取るに足らないものや無価値なもの、役に立たないものを指す言葉です。「薄物」も「細故」もいずれも些細で役に立たないものを指し、「薄物細故」と重ねることで、役に立たないことを強調しています。
・薄物細故にはこだわらない性格だ
・君が大切にしているものは、わたしにとっては薄物細故だ
陶犬瓦鶏(とうけんがけい)
「陶犬瓦鶏(とうけんがけい)」とは、焼き物の犬と瓦で作った鶏のことで、形だけで役に立たないもののたとえです。「瓦鶏陶犬(がけいとうけん)」と表現することもあります。
・見た目は立派だが、陶犬瓦鶏だ
・陶犬瓦鶏ばかり集めてどうするの?
金科玉条を正しい状況で使おう
金科玉条は、自分にとってのルールや行動規範となるものを指す言葉です。他人のルールに対してポジティブなニュアンスで使うこともありますが、融通が利かないことを暗に批判するために使うこともあります。状況に合わせて、正しく使えるようにしましょう。
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