意気軒昂とは意気込みが盛んで元気いっぱいなこと
意気軒昂(いきけんこう)とは、意気込みが盛んで、元気いっぱいな様子のことです。「意気」とは気概や積極的な心持ち、「軒昂」は、大いにふるって高まることを指します。意気軒高と表記することもあります。
いき‐けんこう【意気軒×昂】
出典:小学館 デジタル大辞泉
[ト・タル][文][形動タリ]意気込みが盛んで、元気いっぱいなさま。「意気軒昂たる女性チーム」[補説]「意気軒高」と書くこともある。
なお、意気軒昂の「昂(こう)」は、高くなるや上昇する、感情が高ぶるなどの意味を持つ漢字です。「昴(すばる)」と似ていて間違いやすいので注意してください。
ビジネスシーンで
意気軒昂は、ビジネスシーンで使われることも少なくありません。
・難しいとされる仕事をやり遂げ、彼は意気軒昂と会社に戻ってきた。
・何年も前に引退した我が社の会長は、いまだに多くのイベントに意気軒高と出席している。
メールや手紙で
意気軒昂は、話し言葉だけでなく書き言葉としても使われます。メールや手紙での使い方を、例文を通して見ていきましょう。
・意気軒昂たるご様子を拝見し、たいへんうれしく思いました。
・ご無沙汰しております。ますます意気軒昂とうかがい、たいへん心強く感じております。
スピーチで
意気軒昂は、スピーチでも使われることがある言葉です。意気込みを表現したいときや元気な様子を示したいときに、意気軒昂の言葉を用います。
・昨年度に続き、今年も目標を上回る売上を上げられるよう、意気軒昂と取り組んでまいります。
・メンバーの意気軒昂たる表情を見ると、まだまだこのチームは上を目指せると思わざるをえません。途中結果に満足してしまうことがないよう、気を引き締めて頑張っていきましょう。
意気軒昂と類似する言葉を例文で紹介
意気軒昂と同じく、意気込みが盛んで元気な様子を指す言葉としては、次のものが挙げられます。
・意気衝天(いきしょうてん)
・意気揚揚(いきようよう)
・意気昂然(いきこうぜん)
それぞれの使い方を例文を通して見ていきましょう。
意気衝天(いきしょうてん)
意気衝天(いきしょうてん)とは、意気込みが天を衝(つ)くほど、激しく盛んな様子を指す言葉です。意気軒昂も意気込みが盛んな様子を指しますが、意気衝天は意気込みが天に届くほどの高さであるとたとえていることから、激しさの程度が尋常ではないことがうかがえます。
・彼女が出す曲は次から次へとヒットして、まさに意気衝天の勢いだ
・彼は意気衝天たる勢いで仕事に打ち込んでいるが、飽きっぽいのでそのうちさぼりだすよ
意気揚揚(いきようよう)
意気揚揚(いきようよう)とは、得意な様子を指す言葉です。意気揚々と表記することもあります。
・営業成績優秀者として表彰された彼女は、本社での授賞式に参加し、意気揚揚と帰ってきました
・意気揚揚と試合に出かけた彼だが、初戦敗退という思わぬ結果になり、意気消沈しているようです
意気昂然(いきこうぜん)
昂然(こうぜん)とは、意気の盛んな様子や自信に満ちて誇らしげな様子を指す言葉です。「昂然と胸を張る」のようにそのままでも使いますが、「意気」と組み合わせて「意気昂然と胸を張る」と使うこともあります。
・彼の意気昂然とした口ぶりに、危うくだまされるところだった
・難関の試験を突破したからか、彼女は近頃、意気昂然たる様子に見える
意気軒昂と反対の意味の言葉を例文で紹介
意気軒昂とは反対の意味の言葉として、次のものが挙げられます。
・意気消沈(いきしょうちん)
・意気阻喪(いきそそう)
いずれも元気や覇気がなく、気持ちがふさいでいる様子が周囲からもわかるときに使われる言葉です。使い方や意味について、具体的に見ていきましょう。
意気消沈(いきしょうちん)
意気消沈(いきしょうちん)とは、意気込みがすっかり衰えている様子や元気がなくなる様子を指す言葉です。なお消沈は、気力が消え失せるという意味で使われます。
・彼女に振られて以来、彼の顔からは生気がなくなってしまったようだ。意気消沈した様子でうつむいている姿が、学校でもしばしば見られている
・元気づけようとして世間話をしたつもりが、どういうわけか、かえって意気消沈させることになってしまった
失敗や不幸などにより、気落ちをしている様子に使います。相手に対してだけでなく、自分に対して使うこともあるようです。
・彼の成功話を聞いて、「わたしには無理だ」と意気消沈してしまった
・意気消沈しているところに、彼女は無神経な話ばかりを聞かせてくる
意気阻喪(いきそそう)
意気阻喪(いきそそう)とは、意気込みがくじけ弱ることです。意気沮喪と表記することもあります。なお、「沮喪」とは気力がくだけて阻まれる様子のことです。
・連敗が続いて、彼はすっかり意気阻喪してしまっている
・確かに成果は出ていないが、意気阻喪していてはいけないよ。対処策を考えなくちゃ
元々は意気込みがあったにもかかわらず、何かの原因で意気込みが弱ってしまうときに使われることが一般的です。ほかにも、「落胆する」「落ち込む」「失望する」「腑抜ける」などの言葉で言い換えられることがあります。
・連敗が続いて、彼はすっかり落胆してしまった
・お客さまから厳しい指摘を受けて落ち込んでいる
・何をしてもうまく行かず、前途に失望している
・失恋してから、ずっと腑抜けている
「意気」のつく四字熟語を使いこなそう
気概や積極的な心持ちを指す「意気」を使う四字熟語は多数あります。意気軒昂や意気消沈、意気揚揚など、普段の会話でも使用する言葉が多くあるため、それぞれの意味を正確に覚えておくと表現力が高まるでしょう。
また、適切な場面で使用することも大切です。元気なのかどうか、何かの理由があって元気をなくしているのかなどに注目し、適切と思われるシチュエーションで適切な「意気」のつく四字熟語を使えるとよいでしょう。
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