日々の仕事やプライベートで、新しいことを始めるときに「幸先」という言葉を耳にすることがあります。いい予感や先行きへの期待を込めて使われることが多いですが、実際にどのような意味を持ち、どのように使うと伝わりやすいのでしょうか?
そこで、この記事では、「幸先」の意味からビジネスや日常で役立つ表現まで分かりやすく紹介します。
「幸先」とは? 読み方と意味を確認
まずは、「幸先」という言葉の読み方と意味を押さえておきましょう。

「幸先」の基本的な意味と読み方
「幸先」は「さいさき」と読みます。辞書で意味を確認しましょう。
さい‐さき【▽幸先】
引用:『デジタル大辞泉』(小学館)
《「さい」は、「さき」または「さち」の音変化》
1 よいことが起こる前兆。吉兆。
2 事を始めるときに当たって何かを感じさせる物事。前兆。縁起。「―がいい」「―がわるい」
「幸先」とは、これからの展開に対していい予感をもたらすような出来事や兆しのことを指します。特に「幸先がいい」「幸先が悪い」といった形で、「スタートの良し悪し」を表現する際に使われることが多い言葉です。
「幸先」の使い方を例文とともに確認
例文と解説をもとに、「幸先」の使い方を具体的に確認していきましょう。
新商品の初日売上が予想を大きく上回り、幸先のいいスタートを切ることができた。
「幸先がいい」は、「出だしが順調」、「今後もいい結果が続きそう」といった明るい見通しを表す表現です。特にビジネスやプロジェクトの始動時に使われることが多く、成果や展望が期待される場面で活用されます。
朝から電車が遅れて、おまけに財布まで忘れるなんて… 今日は幸先が悪い。
「幸先が悪い」は、立て続けに不運が重なり、その日の運勢がよくなさそうだと感じたときに使われます。日常会話では、軽いぼやきや愚痴のようなトーンで用いられることが多く、親しみやすい言い回しです。
「幸先が悪い」は、立て続けに不運が重なり、その日の運勢がよくなさそうだと感じたときに使われます。日常会話では、軽いぼやきや愚痴のようなトーンで用いられることが多く、親しみやすい言い回しです。

初対面なのに会話が弾んで、なんだか幸先がよさそうな出会いだった。
人との出会いや新しい関係の始まりに対して、「これからうまくいきそう」だと感じたときに使われる表現です。恋愛や友情、仕事上のご縁など、良好な未来を予感させるシーンで自然に使えます。
「幸先」の類語や言い換え表現は?
「幸先」に近い意味を持つ言葉はいくつかあります。ここでは3つ紹介しましょう。
吉兆(きっちょう)/凶兆(きょうちょう)
「吉兆」は、いいことやおめでたい出来事の前触れを指す言葉です。一方、悪いことが起こりそうな予兆を「凶兆」といいます。どちらも、未来に起こることの「兆し」を表す点で「幸先」と似ていますね。
縁起がいい/縁起が悪い
「縁起」は吉凶の前触れのこと。「縁起がいい/縁起が悪い」は、「幸先がいい/幸先が悪い」と近い意味で使われます。
吉凶(きっきょう)
「吉凶」とは縁起のいいことと悪いことを指します。「運」や「縁起の良し悪し」に着目する場面で使われることが多く、「幸先」や「縁起」と同様に、未来への予感や兆しを表す言葉として用いられます。

「幸先」の英語表現は?
「幸先がいい」「幸先が悪い」といった言い回しは、英語でも「兆し(sign)」を使って表現されます。以下に代表的なフレーズを紹介します。
It is a good sign that〜
“a good sign”は、これから物事が順調に進みそうだというポジティブな前兆を示す表現です。ビジネスや日常会話など、幅広い場面で使えます。
例文:It’s a good sign that the project was approved right away.
(プロジェクトがすぐに承認されたのは、幸先のいいスタートだ。)
It is a bad sign that〜
“a bad sign”は、物事の出だしに不安を感じるときに使う表現です。「うまくいかなそう」「不穏なスタート」といったニュアンスを含みます。
例文:It’s a bad sign that the system crashed on the first day.
(初日にシステムがダウンしたのは、幸先が悪いね。)
最後に
「幸先」は、日常からビジネスまで幅広い場面で活用できる言葉です。物事の始まりに感じる期待や不安、希望を端的に表現できるため、自分らしいコミュニケーションを目指す人にとって役立つ言葉となるのではないでしょうか。
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