骨盤が歪む原因と影響
骨盤とは、体のほぼ中心に位置する骨の集合体のこと。左右の寛骨(かんこつ)と仙骨(せんこつ)からなり、女性の場合は横長の形をしています。主な役割は、上半身と下半身をつなぎ、体全体のバランスを保つこと。それと、内臓や生殖器を支えて守ることが挙げられます。
ところが、日頃の姿勢の癖、歩く・座る・立つ・物を持つなど、日常生活でごく当たり前に繰り返されるちょっとした動作、運動不足による筋力の低下、妊娠・出産などによってさまざまな歪みが生じやすいパーツでもあるのです。
骨盤の歪みは、全身の骨格の歪みにつながり不良姿勢の原因になるだけでなく、腰痛、肩こり、むくみ、冷え、生理痛など、体に与える影響が大きいのが特徴です。
骨盤の歪みは3つのタイプに分けられる!
骨盤の歪みは大きく分けて「開閉」「前後」「上下」と3つのタイプがあるので、それぞれのセルフチェックのやり方と効果的なストレッチの方法を紹介していきたいと思います。
「開閉骨盤」原因とストレッチ
開閉の歪みは、左右どちらかの骨盤に開きが認められる状態のこと。加齢による筋肉量の減少や、筋肉の緊張、あぐらの姿勢で座る、足を組んで座ることなどが原因になるといわれています。
「開閉骨盤」のセルフチェック
仰向けになり、脚幅を広くします。足先を内側・外側にパタパタと倒しましょう。この動きを数回繰り返し、リラックスした状態でフワッと脚を脱力させます。
脚の動きを止めて脱力させた状態で、足先の角度を確認しましょう。左右同程度で大きく開きすぎていなければ、開閉の歪みは少なめ。反対に、左右どちらかの足先が外側に倒れている場合、開閉の歪みがあると考えられます。
この写真の場合、向かって左側の骨盤が開いている可能性があります。
「開閉骨盤」に効果的なストレッチのやり方
STEP 1:うつ伏せになるり、両手を重ねた上に額を乗せる
肩がすくむ場合、手を前後にズラして楽な位置を見つけましょう。脚は腰幅程度に開いておきます。
STEP 2:骨盤が閉じているほうのひざを曲げ、外に開く
【息を吸いながら】ひざを上体の方へ引き上げる~【息を吐きながら】緩める。
セルフチェックで確認した結果をもとに、閉じているほうの骨盤周辺を中心にストレッチをおこないます。左右両方ともおこなってもいいのですが、回数・キープ時間は閉じているほうを重点的に意識すると◎。【回数:呼吸を5~10回】
「前後骨盤」原因とストレッチ
骨盤の前後の歪みは、骨盤まわりや太ももまわりの筋肉の強さ・硬さに左右差があることが原因の1つにあげられます。立ったまま作業をするときに片脚を前に出したり、デスクワークの最中に体が左右どちらかを向いて椅子に座ったりしている方は要注意!
「前後骨盤」のセルフチェック
脚を揃えて立ち、目を閉じます。その場で1分間足踏みをしましょう。
<チェックポイント>
1分経過したら、その場でピタッと動きを止めて、体がどの方向を向いているかを確認します。
例えば、体が左側にまわっている場合、右の骨盤が前に出ていて、反対に右側にまわっている場合は、左の骨盤が前に出ている可能性があるでしょう。
「前後骨盤」のストレッチ:エア自転車こぎ
STEP 1:仰向けになりひざを立てる
腰が床から浮きすぎないように、恥骨を軽く突き上げると◎。
STEP 2:両脚を床から持ち上げ、自転車をこぐようにゆっくりと大きく脚を動かす
足先やかかとには力を入れず、骨盤周辺の動きを意識しながら繰り返します。【回数:前まわり・うしろまわり各10~20回】
「上下骨盤」原因とストレッチ
骨盤の片側一方が上がってしまうのが、上下の歪み。足を組んで座ることによって、骨盤周辺の筋肉がねじれたり、骨盤そのものが傾いたりして、歪みが生じやすくなります。
「上下骨盤」のセルフチェック
鏡の前に立ち、手を腰(上前腸骨棘・じょうぜんちょうこつきょく)に添えます。上前腸骨棘は、 手を腰に添えたとき指先が触れる尖った部分のこと。
左右の手の位置の高さに違いがあるかどうかを確認しましょう。この写真の場合、向かって左側が上がっています。
「上下骨盤」のストレッチ:ヨガ「三日月のポーズ」
STEP 1:ひざ立ちになり、手は腰に添える
腰が反りすぎないように、尾骨(背骨の延長線)をグッと引き下げておきます。
STEP 2:骨盤が下がっているほうの脚を、前に大きく踏み込む
ここでは右の骨盤が下、左の骨盤が上の場合を想定してストレッチをおこないます。右ひざの下にかかとがくるようにしましょう。左足の甲は寝かせます。
STEP 3:【息を吸いながら】両腕を頭上に伸ばす~【息を吐きながら】上体を後屈させる
ストレッチさせたいのは、左の股関節・前側。腸腰筋によって、上がっている側の骨盤を引き下げます。腰の反らせすぎに気をつけながら、心地よい伸びを感じ、呼吸を繰り返しましょう。【回数:呼吸を5~10回】
理想的な骨盤とは?
骨盤は、動きが良く、柔軟性に富んでいるのが理想的。しかし、1日のサイクルや生理周期などによって、骨盤の状態は変わってきます。朝や排卵期間は硬くなり、夜や月経期間は緩みやすくなるという特徴があるのです。
骨盤まわりの動きの悪さを感じるときは、無理のない範囲でストレッチを取り入れるなどして、セルフケアをしてみてはいかがでしょうか。姿勢の癖を直すことも、骨盤を正しい位置に戻すための第一歩にもなります。歪みが気になる方は、ぜひ意識して過ごしてみてくださいね。
※ 骨盤の歪みセルフチェックは、目安です
ヨガインストラクター 高木沙織
「美」と「健康」を手に入れるためのインナーケア・アウターケアとして、食と運動の両方からのアプローチを得意とする。食では、発酵食品ソムリエやスーパーフードエキスパート、雑穀マイスターなどの資格を有し、運動では、骨盤ヨガ、産前産後ヨガ、筋膜リリースヨガ、Core Power Yoga CPY®、そのほかにもリフレッシュドライヘッドスパ、パーソナルリンパケアリストといった資格のもと執筆活動やさまざまなイベントクラスを担当。
https://www.instagram.com/saori_takagi/