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ヨガ「ダウンドッグ」はボディラインを整えてくれる最強ポーズ
ヨガのレッスンを受けていると、ほぼ必ずといっていいほど登場するポーズがあります。それが、「ダウンドッグ(アドー・ムカ・シュヴァーナ・アーサナ)」。
「アドー」は下、「ムカ」は向く、そして「シュヴァーナ」は犬という意味を持ち、「下向きの犬のポーズ」とも呼ばれるこのポーズは、お腹を引き上げて全身を山なりにします。まさに、犬が伸びをしている姿そのもの。
主な効果は、体の背面のストレッチや下半身の強化、下半身のむくみ解消、姿勢の改善、肩こりの緩和、体幹の強化で、ボディラインの引き締めにも大いに役立ってくれます。
ちなみにヨガのレッスンでは、座位から立位へと姿勢を変えるときのつなぎとして、また呼吸を落ち着けるとき、休憩のときなどによく出てくるため、「やったことがある!」という人もいるのでは?
ところがこの「ダウンドッグ」…簡単そうに見えて、実際にやってみるとまあ正しい姿勢を取るのが難しい。「できない」「苦手」「しんどい」と思われがちなポーズでもあるんです。
そこで今回は、ボディラインを整える最強ポーズ・基本の「ダウンドッグ」のやり方から「ダウンドッグ」が上手くできないときの対処法、さらには「ダウンドッグ」をアレンジしてトレーニング要素をプラスしたポーズまで一挙にご紹介していきます。
基本の「ダウンドッグ」やり方
ヨガ初心者さんや「ダウンドッグ」が苦手という人は、まず基本をしっかり押さえておきましょう。
STEP 1:四つ這いになる。
▲手は肩幅、脚は腰幅に開き、肩の下に手首、股関節の下にひざをつきます。腕と太ももは、床に対して垂直。尾骨(背骨の一番下、しっぽのような骨)を下に向けたらヘソを引き上げ、背中を平らにしましょう。
STEP 2:お尻をかかとのほうに引き下げる。
▲腕はしっかり伸ばし、足の指は立てておきます。座骨(お尻の下のほうにある尖った骨)の下にかかとがくるように意識すると〇!
STEP 3:腰を持ち上げ、ひざを伸ばす。
▲座骨を後方斜め上に向けて引き上げます。上腕は、真上に引き上げましょう。
STEP 4:ひざを伸ばして、腰を高く引き上げる。
▲ひざを真っすぐ伸ばします。手~お尻までが斜め一直線になるように背筋を伸ばしましょう。ヘソは下に引き下げ、座骨は引き続き後方斜め上に引き上げます。〈回数:5呼吸〉
「ダウンドッグ」ができないケース1:かかとがつかない場合
「ダウンドッグ」でかかとが床につかない場合、足首やアキレス腱、ふくらはぎ、太ももの裏、お尻などといった体の背面の硬さが原因のひとつにあげられます。
「ダウンドッグ」のポーズをとる前に、前屈のストレッチなどをして体の背面をほぐしておくのもいいでしょう。「ダウンドッグ」に入ったら、片脚ずつ足踏みをして下半身の筋肉をほぐしてみてください。
ポイント :片脚ずつ交互にひざを曲げて、足踏みをする。
▲息を吐きながら、かかとを床に押し付けるように踏み込みます。ひざの裏やふくらはぎ、足首などの硬くなりやすい部分を丁寧にストレッチしていきましょう。
慣れてきたら、両脚同時にかかとの上げ下げも。
ポイント :つま先立ちになってかかとを持ち上げる~かかとを下ろす。
▲足指をグッと折り返し、かかとを高く持ち上げましょう。そうすることで、足首を伸ばすときに使われるふくらはぎの筋肉が刺激されます。
家にヨガブロックがある場合は…
ポイント :かかとをヨガブロックの上に乗せる。
▲ヨガブロックを2個用意したら、かかとの下にセット。
脚の背面の伸びがゆるやかになるだけでなく、ひざと前ももが引き上がり重心が上がって上半身も伸びやかに。肩の詰まりが取れて、呼吸を深めやすくなります。
「ダウンドッグ」ができないケース2:背中が丸まる場合
続いては、背中が丸まってしまうケース。背中が丸まらないようにするには、股関節まわりの柔軟性と引き込みが必要になってきます。ひざを伸ばしきる前に、お腹と太ももをグッと近づけてみましょう。
ポイント :お腹と太ももを近づけてから、腰を高く引き上げる。
▲「基本のダウンドッグ」STEP 3のときに、股関節の引き込みを意識します。下半身よりも、背中を伸ばすほうを優先してみて。
★骨盤や股関節まわりの柔軟性を高める「腸腰筋」ストレッチもおすすめ
骨盤を安定させ、股関節を引き込むためには背中~太ももの付け根にかけて斜めに通っている「腸腰筋(ちょうようきん)」のストレッチも有効です。
STEP 1:四つ這いの姿勢からスタート。左ひざの内側を床につけ、右脚はややうしろに下げる。
▲手は肩の下、左脚は90度を目安にひざを曲げます。ひざの内側を床につけたら、右脚を少しうしろに下げましょう。
STEP 2:上体を左に向ける。
▲背中から右の太ももの付け根にかけて、斜めに心地良い伸びを感じましょう。反対側もおこないます。〈回数:左右各5呼吸〉
「ダウンドッグ」ができないケース3:手が滑る・腕が疲れる場合
続いては、手が滑る・腕が疲れるとき。対処法としては、手や腕の力だけで頑張りすぎないように、基本のやり方でポーズの土台を整えること。それから、手の置き方も見直してみましょう。
コツは手のひらを大きく開き、人差し指を正面に向けることです。こうすることで肩が外側に回転して脇が締まり、力みが少ない状態で姿勢を保ちやすくなります。
ポイント :人差し指を正面に向け、手首のシワを横向きにする。
▲手の指はパーッと大きく開きます。人差し指を正面に向け、中指、薬指、小指はやや外向きにし、手の付け根部分で強く床を押してみましょう。
ハンドクリームをたっぷり塗ると手が滑りやすくなるので、注意!
引き締め効果を高めたいとき:「ダウンドッグ」アレンジ2つ
ここからは、基本の「ダウンドッグ」にアレンジを加えていきます。片脚を持ち上げておこなうため、体の各パーツの運動強度がグンとUP! 股関節の可動域も広がります。
アレンジ1:右脚を高く持ち上げる。
▲右脚は体の中心の位置でキープ、うしろに倒れすぎないように! 目線は右脇の下からうしろに向けましょう。〈回数:左右各5呼吸〉
アレンジ2:右ひざを曲げる。
▲右ひざを曲げて、骨盤を開きます。かかとをお尻に近づけましょう。反対側もおこないます。〈回数:左右各5呼吸〉
「ダウンドッグ」を控えた方がいいとき
「ダウンドッグ」は、頭が心臓よりも下の位置にくる「逆転のポーズ」のひとつ。頭が痛いときや血圧が高いとき、気分が優れないときは控えましょう。妊娠中の人は、医師の許可が出てからおこなってください。
全身をダイナミックに使う「ダウンドッグ」。スタジオでのレッスン時はもちろん、自宅でヨガやストレッチを行う際にも参考にしてみてくださいね。
ヨガインストラクター・高木沙織
「美」と「健康」を手に入れるためのインナーケア・アウターケアとして、食と運動の両方からのアプローチを得意とする。食では、発酵食品ソムリエやスーパーフードエキスパート、雑穀マイスターなどの資格を有し、運動では、骨盤ヨガ、産前産後ヨガ、筋膜リリースヨガ、Core Power Yoga CPY®、そのほかにもリフレッシュドライヘッドスパ、パーソナルリンパケアリストといった資格のもと執筆活動やさまざまなイベントクラスを担当。