【目次】
・【生姜は生薬】頼もしいスパイス食材
・【症状別】生姜が頼りになるベストタイミング
・【季節別】オールシーズン頼もしい生姜パワー
・【おすすめの食べ方】温度を持続させて脱・冷え!
【生姜は生薬】頼もしいスパイス食材
【1】漢方薬にも配合
「生姜」といえば、身体をぽかぽかとあたためてくれる香辛料。漢方では「生姜(しょうきょう)」と呼ばれ、葛根湯をはじめ様々な漢方薬に配合されている生薬です。
「風邪気味のときに生姜湯を飲む」というのもおなじみですね。
【2】風邪っぽいときにいいのはどうして?
食べると身体が温まり、体表から入ってこようとする邪気を発汗作用で追い出そうとします。冷えによる下痢や食欲不振・吐き気・咳・寒気など、風邪かも… と感じたときはすぐに生姜湯を飲むのがおすすめです。
【3】免疫力を高めたいときにも
教えてくれたのは… 杉山力一先生
[杉山産婦人科グループ3院の理事長。医学博士]
免疫力を高めていく(保っていく)ためには、栄養バランスのとれた食事をこころがけること。そして、生姜などの身体を温める食材を取り入れることも大切です。
身体を冷やす食材の場合は加熱したり、生姜などと一緒に調理したり、工夫して摂りましょう。
【症状別】生姜が頼りになるベストタイミング
【1】冷えによる便秘
国際中医薬膳師・漢方アドバイザー:大木さと子さんが、東洋医学の視点から「生姜の魅力」を解説します!
冷え性・腰まわりをさわると冷えている・運動不足など、冷えにより腸が動いていないことで便秘が起こっている「冷え便秘タイプ」。身体をあたためる生姜を積極的に摂りましょう。
【2】消化不良
「胃は温度が一定まで上がらないと消化活動を始められません。冷たいものはしばらく胃の中にとどまっていることになり、これが続けば消化不良や下痢を起こすことも。身体を温める定番食材「生姜」は手軽でおすすめです」(大木さと子さん)
【3】胃もたれ・ムカつき
「横になると胃がもたれたりムカつく感じがする時は、水はけが悪くなっている場合も。消化を助ける生姜を食事のメニューに加えて、不眠ケアをしましょう」(大木さと子さん)
【4】飲むとお腹をこわす
「飲んだ次の日お腹をくだしてしまう… という人は、お酒によって胃腸が冷えている可能性が。生姜を食べて身体を温めましょう」(大木さと子さん)
【5】吐き気
「“止嘔”の作用をもつ生姜は、二日酔いなどの吐き気があるときにもおすすめ。レモンやハチミツとと一緒にお湯に溶かして、ゆっくり飲んでみて」(大木さと子さん)
【6】乗り物酔い
「吐き気を癒す作用のある生姜は、乗り物酔いにもおすすめ。チューブタイプの生姜をスポーツドリンクに混ぜた“簡易ジンジャードリンク”も良いでしょう。ただし、カフェイン入りなど胃を刺激する飲み物は避けて」(大木さと子さん)
【季節別】オールシーズン頼もしい生姜パワー
【1】冬
身体が芯から冷える冬は生姜料理がぴったり!
「寒さを感じる時にはやはり温かいものを積極的に取りましょう。スープや鍋料理のほか、生姜も積極的に取り入れて」(大木さと子さん)
【2】夏
ついつい冷たいものばかり食べがちな夏こそ、身体の冷えに気をつけて!
「東洋医学では、湿度が高い時期は胃腸の機能も低下すると考えます。胃が冷えて水分コントロール不良になると、食欲不振のほか、下痢・膨満感・吐き気・疲労感・倦怠感などを招くことも。
身体をあたためながら、冷たい食事との中和をはかる薬味。エアコンなどでお腹が冷えたときなどにも、生姜が大活躍です!」(大木さと子さん)
食事には「薬味」がマスト! 味覚だけではない、その薬膳的役割とは?
【3】秋
「秋は空気が乾燥し、呼吸器系が傷つきやすい季節。体内の気の巡りを良くしたり、風邪の時に発汗を促したり、発散作用のある生姜の辛み成分が肺の養生に役立つとされています」(大木さと子さん)
【4】梅雨
「東洋医学では、梅雨は湿気で体表からの水分調整がスムーズにいかないため、体内に水分が溜まりやすい時期とされています。見た目にわかる“むくみ”もそう。全身の倦怠感や無気力・食欲不振なども水分の停滞によって起こりやすく、これを水毒の状態と呼びます。
体に水分が溜まりやすい梅雨は、体も冷えがち。体が冷えると水分循環がうまくいかず、水はけが悪くなるという悪循環に。不安定な気温による不調や冷えを感じたら、積極的に生姜を!」(大木さと子さん)
【5】春
日中と朝晩の温度差で不調を起こしやすい“春冷え”。身体のバランスを整えるためにも生姜は有効です。大切なのは、温まった身体をキープすること。
次章では、身体の温度を持続させるための食べ方を解説します。
【おすすめの食べ方】温度を持続させて脱・冷え!
【1】しょうがの辛み成分
教えてくれたのは… 田部昌弘先生
[イー・バン・アト研究所 所長。薬学博士。漢方・生薬・薬膳の専門家]
しょうがにはジンゲロールという辛味成分が含まれていますが、このジンゲロールは加熱または乾燥することでショウガオールという成分に変化します。
≪ジンゲロール≫
末梢血管を拡張して血液をよくする働きがあるので体の深部の熱を体表に運ぶことで手足が温まります。
≪ショウガオール≫
胃や腸などお腹の壁を刺激し、筋肉を動かす運動作用により体の深部に熱を作る働きがあります。
このことから、生しょうがだと熱を運ぶだけなので一時的な温度上昇でしたが、「加熱しょうが」を摂取すると熱を作り出すことで体の中からぽかぽかと温まり、冷えにくいというわけです。
【2】身体の冷えを防ぐ食べ方
「体の中が冷えている“冷えのぼせ”。体全体が冷えている“低体温”。これらの状態を改善させるには、体の中から温め、その状態を持続させる『加熱しょうが』がおすすめです。
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