疲れているとき、スパイシーなカレーや激辛ラーメンなど「辛いもの」が食べたくなりませんか? でも、逆に内臓を疲れさせてしまうかも…。辛いものが食べたくなるとき、体はどんな状態なのでしょうか? 秋の体の養生法も一緒にお教えします。
秋に食べたい「辛味」とは?
東洋医学には「五味」と呼ばれるものがあり、季節に対応した相性の良い味覚があります。秋に相性の良い味は「辛味(しんみ)」。辛、と聞くと唐辛子がまず思い浮かびますが、山椒やネギ、紫蘇、大根、生姜など薬味に使われるような食材も辛味に当たります。
秋は空気が乾燥し、呼吸器系が傷つきやすい季節なので、発散作用があり、体内の気の巡りを良くしたり、風邪の時に発汗を促したりする働きがあるこの辛味が肺の養生に役立つとされています。
注意したい「唐辛子の辛味」
東洋医学、薬膳でいう味覚の「辛味」とは、口に入れた時に感じる辛さではなく、先に挙げた発散作用などの性質・効能のことを指しています。疲れると辛いものが欲しくなる、という人がいますが、注意してほしいのは唐辛子による単純な辛さ=味覚ではなく“刺激”だということ。
疲れている時は体の機能が低下しますが、辛さを欲するのは体の反応が鈍っているために刺激を求めている、と捉えられます。刺激を与えることで覚醒させるようなイメージです。
でも胃が弱っている場合、唐辛子による刺激を多量に与えることは得策ではなく逆効果。さらに疲労で肝機能が弱っている場合、東洋医学での臓腑の関係上、味覚として「辛味」は相性が良くありません。
内臓が疲れているときは温かく消化の良いものを
疲れて胃が弱っている時は、消化に良いもので胃をいたわりましょう。胃の機能が弱っている時に相性が良いのは「甘味」で、砂糖などの甘みというよりは穀類や芋類などでんぷん質の甘みが胃を癒します。元気のもとの「気」を作る食材としては鶏肉がおすすめ。「参鶏湯(サムゲタン)」はぴったりのメニュー!
ちなみに、肝機能が弱っている時は「酸味」。酢や果物などの酸っぱさですが、栄養学的にも酢などに含まれるクエン酸は疲れを取る性能があります。ストレスでふさぎ込むような時や、イライラする時にもこの酸味が有効です。
辛味を有効活用するにしても、適量である事が肝要です。どの味覚も、とりすぎては元も子もないのでご注意を。