【目次】
・体のリズムとうまく付き合いたい
・【これってPMS?】生理前に起こりやすい症状
・【漢方・薬・サプリ】症状別のおすすめ
・【PMS対策】日常でできること
・最後に
体のリズムとうまく付き合いたい
月に1度やってくる、心と体が不安定になる「生理」。生理前から精神的・身体的にさまざまな不調が起こる状態を「PMS(月経前症候群)」と呼びますが、症状や程度は人それぞれ。女性にとって大切な生理期間を少しでも快適に過ごすための対策を紹介します。
〈POINT〉
・自分に当てはまる症状を確認
・症状に合った方法を取り入れる
・日常でできることを習慣にする
【これってPMS?】生理前に起こりやすい症状
職場や家で気分が落ち込んだり、八つ当たりしたり、フッと我に返って自己嫌悪に陥ったり。はじめに、生理前に生じる「PMSの症状」について確認しましょう。
【1】PMSの代表的な症状
教えてくれたのは… 成田亜希子先生
[一般内科医。日本内科学会・日本感染症学会・日本公衆衛生学会所属]
生理に伴うホルモンバランスの変化によって、生理前に3~10日ほど続く様々な不快症状を引き起こすPMS。
■PMSの代表的な症状
・情緒不安定
・抑うつ
・不安
・イライラ
・めまい
・食欲不振
・のぼせ
・倦怠感
・乳房の張り など
PMSの症状は多岐に渡り、精神的な症状・身体的な症状が生じます。
【2】精神的につらい症状
教えてくれたのは… 竹村直也先生
[直レディースクリニック 院長]
PMSの症状の中でもイライラや落ち着きのなさ・憂鬱など、精神的な症状がひどい場合はPMDD(Premenstrual Dysphoric Disorder・月経前不快気分障害)と呼ばれています。
薬物治療としては漢方・抗うつ剤などがありますが、今すぐの妊娠希望がなければピルが効果的です。
※ピルを使用する場合は、事前にピルについての知識を深めましょう。あとの章で解説します。
【漢方・薬・サプリ】症状別のおすすめ
一時的な症状であれば適当にやり過ごすこともできますが、PMSは長く続くと日常生活に支障をきたすことも。PMSの症状は軽く考えず、漢方薬などをうまく活用するのもひとつです。
■PMSの一般的な治療法
「PMSを改善するには、女性ホルモンの変化を少なくする経口避妊薬(ピル)の内服や、それぞれの不快症状に対する対処療法がメインです。
しかし、妊娠を希望している女性や通院の時間がない女性にとって、これらの治療はやや敷居が高いと言わざる負えません。そこで、便利なのがドラッグストア等で手軽に購入できる漢方です。漢方の効き目には個人差があるとされていますが、症状に適したものを服用すれば大きく改善することも少なくありません」(成田亜希子先生)
【1】“抑うつ状態や過度な不安感”におすすめの漢方
無気力・憂鬱・悲しい気持ちになって泣きたくなるなど、気分が落ち込んだり不安になる人におすすめの漢方です。
■半夏厚朴湯(はんげこうぼくとう)
抑うつ状態や過度な不安を改善する作用を持ちます。PMSの精神的な症状にも効果があるとされており、特に動悸やめまい・吐き気などを伴う女性に良いとされています。
【2】“イライラ”におすすめの漢方
■柴胡加竜骨牡蠣湯(さいこかりゅうこつぼれいとう)
日常的にストレスを感じることによってイライラしやすい方におすすめ。身体にこもった熱を発散させることで心を落ち着かせる効果があるとされ、ストレスに伴う動悸や睡眠障害を改善する効果も期待できます。また、更年期障害の諸症状にも効くとされています。
■抑肝散化陳皮半夏(よくかんさんかちんぴはんげ)
自律神経のバランスを整え、気持ちを落ち着かせる作用のある漢方薬です。些細なことで怒りっぽくイライラしがちな方におすすめ。特に「ストレスを感じることが多くなった」「ストレスの耐性が低くなった」と感じる人に効果が期待できます。
「イライラの原因の多くは、自律神経の乱れによるもの。女性の場合は生理前や更年期など女性ホルモンバランスの乱れも大きな原因となります」(成田亜希子先生)
【3】“イライラ”が強い人におすすめの漢方
■加味逍遙散(かみしょうようさん)
イライラ感が強い人に対して、生理不順・生理痛・更年期障害・冷え性などの改善を促します。
【4】“むくみ”におすすめの漢方
イライラの原因の一つともされる「むくみ」におすすめの漢方です。
■五苓散(ごれいさん)
むくみを改善する作用を持ちます。生理前のむくみに効果的。
【5】“不眠”におすすめの漢方
もともとはよく眠れてた(体調が良かった)人
■柴胡加竜骨牡蠣湯(さいこかりゅうこつぼれいとう)
精神的な不安を感じやすく、それが原因となって「不眠」を引き起こしている人におすすめ。とくに血圧が高めの人・便秘がちの人に適しているとされています。
■黄連解毒湯(おうれんげどくとう)
「気持ちが落ち着かずイライラする」といった症状を和らげる作用があります。「気分が高ぶって眠れない」という人に特におすすめ。
もともと不眠がち(体調が思わしくなかった)人
■加味逍遙散(かみしょうようさん)
ストレスによる頭痛やめまい・不安、そして不眠などを改善する作用のある漢方薬です。また女性ホルモンの乱れや更年期障害などによる症状の改善にも有用とのこと。生理前などに不眠になりやすい人にもおすすめ。
■抑肝散(よくかんさん)
精神の高ぶりや怒りやすさ・イライラといった症状を緩和する効果が知られています。気持ちが落ち着かず寝つきが悪い人におすすめ。
【6】内服薬「ピル」のこと
「ピルには、エストロゲン含有量により中用量・低用量・超低用量があります。
■避妊以外のピルの効果
・PMS・PMDDの症状改善
・月経痛改善
・月経量減少
・肌荒れ
・多毛症改善
・卵巣がん
・子宮体がんのリスク低下 など
※排卵しなくなるので黄体ホルモンが卵巣から分泌されなくなり、PMS・PMDDに対して80〜90%の効果を発揮します。よって、今すぐ妊娠希望のある人や妊娠・授乳中の人は飲めません。
また、気分不良や倦怠感・胸の張り・頭痛・不正出血などの副作用や、血栓症の発症リスクがゼロではありません。
現在は、通信販売でもピルを購入することが可能です。ただし、個人輸入でピルを購入する場合は副作用があったときに国の補償などが受けられないため、医療機関でのピル処方を強くお勧めします」(竹村直也先生)
【7】PMSに使いたいサプリ
▲アンティーム オーガニック パリ|シークルドゥ
PMS(月経前症候群)やプレ更年期の際の症状にアプローチするサプリメントです。
【8】ハーブ飲料
▲コスメキッチン エルボリステリア|タンチュメール メリッサ
ヨーロッパの婦人科ドクターもよく使うメリッサ。月経痛を和らげる効果も望める。
【PMS対策】日常でできること
自分の体に寄り添って日頃からケアしていくことは、毎月の不調を癒やす手助けになることも。年齢にともなって不足しがちなものは、意識してサポートしていきたいですね。
【1】むくまないように気をつける
むくみとイライラの関係についてアンケート調査を行った結果、むくみの症状が強い人ほどイライラなどの否定的な感情が強いことが分かりました。
特に生理前は“妊娠しやすい状態”へと身体を整えるため、栄養や水分をため込みやすくなります。つまり“太りやすくむくみやすい”状態に。
■むくみ対策におすすめの成分
・ビタミンE(γ-トコフェロール・γ-トコトリエノール)
・エクオール(大豆など)
・カルシウム
【2】有酸素運動も
教えてくれたのは、杉山力一先生
[杉山産婦人科勤務。女性向けアプリ「eggs LAB」監修]
下腹部の痛みやむくみだけでなく、イライラや不安など心の不安定をも引き起こすPMS(生理前症候群)ですが、ジョギングなどの軽い有酸素運動を行っている人の方がPMSの症状が軽いというデータがあります。
■有酸素運動の例
・スクワット
・階段に足を交互に乗せる~降ろすといった動作を繰り返す運動 など
ちょっとした運動がPMSに効果を発揮する場合があるので、まずは「ながら運動」から取り組んでみましょう。
【3】PMSにおすすめの栄養素
「PMSを防ぐためには、まずはふだんからバランスのよい食事を心がけることが大切です」(杉山力一先生)
■PMSの際に摂りたい栄養素
・神経を鎮める働きのあるカルシウムやマグネシウム
・糖質やたんぱく質の代謝に関わるビタミンB1・B6
・血行を促進するビタミンE など
【4】情緒不安定な時におすすめの食材
女性に不足しがちな“鉄分”が豊富なあさり。薬膳的には貧血のほか、情緒不安定なときにおすすめな食材です。
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最後に
生理の際のホルモンの影響で、精神的・肉体的に“波”が生じる女性の体。体の痛みもつらいですが、心の揺らぎも生活に支障をきたすことがあります。正常な証である“女性のリズム”は受け入れつつ、心身の不調を癒やすための対策を紹介しました。参考にしてもらえたら嬉しいです。
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