【目次】
・【知っておきたい】食欲が抑えにくくなる状態
・【食欲を抑える方法5つ】耳ツボやレシピなど
・【肥満治療薬】食欲を抑える“やせ薬”
・最後に
【知っておきたい】食欲が抑えにくくなる状態
「太りやすいのは運動不足のせい」というイメージがありますが、“食欲が増える状態”になってしまうことも原因のひとつです。食欲が止まらない、でも痩せたいと悩む女性に、生活習慣で防げることや知っておくべきことを解説します。
【1】睡眠不足
教えてくれたのは、及川美由紀先生
[NPO法人日本痩身医学協会認定講師、おいかわ整骨院ダイエットカウンセラー]
睡眠時間が短いと、食欲を抑える「レプチン」というホルモンの分泌が低下します。レプチンの分泌が低下すると食欲を抑える働きが落ちて、ついつい食べ過ぎることに。睡眠時間が短くなるほど、レプチンの分泌が減少する一方、食欲を高める「グレリン」というホルモンが増えます。
その結果、必要以上に食べてしまい、肥満になりやすく、生活習慣病のリスクも高まります。起きている時間が長ければ活動している時間も増え、その分痩せそうに思いますが、実は結果は真逆なのです。
【2】脳内ホルモンとストレス
教えてくれたのは、工藤孝文先生
[ダイエット外来の医師で肥満治療評論家]
Q. 脳内ホルモンやストレスはどのように食欲に影響するのでしょうか?
A. 不安な気持ちになると「セロトニン」が不足して糖質が食べたくなり、喜びを感じたときに分泌される「ドーパミン」が減ると油ものが食べたくなります。
また、ストレスを感じることで「コルチゾール」が分泌されます。これは、筋肉を脂肪に変えるという肥満につながる働きをするホルモンです。
【3】生理による影響
教えてくれたのは、杉山力一先生
[杉山産婦人科勤務。女性向けアプリ「eggs LAB」監修]
“生理前の一週間”は、体が脂肪や水分を蓄えようとするためむくみやすくなり、食欲のコントロールが効きにくく、体重が増えやすい時期になります。
また、“排卵から次の生理が始まるまでの約14日間(高温期)”は「プロゲステロン」が分泌。食欲のコントロールがしにくく、痩せにくい時期になります。
反対に、“生理終了から排卵までの約7日間(低温期)”は、痩せやすい時期。「エストロゲン」と呼ばれる女性ホルモンが多く分泌され、脂肪の燃焼を促したり心を前向きにさせたりします。
【4】日照時間
教えてくれたのは、友野なお先生
[睡眠コンサルタント。株式会社SEA Trinity代表取締役]
日照時間が短い(日光不足の)冬季は「セロトニン」の分泌が減少する傾向にあります。精神の安定や自律神経のバランスが崩れやすくなり、過食になることも。
【食欲を抑える方法5つ】耳ツボやレシピなど
ダイエットの方法も気になるけれど、まずはこの抑えきれない食欲をなんとかしたい。そんな女性におすすめの5つの方法を紹介します。
食欲を加速させるストレスは脳の不満状態。脳を満たす方法~食べ物などを、ちょっとした“スキマ”に取り入れてみましょう。
【1】脳を満足させる
教えてくれたのは、日比野佐和子先生
[医療法人康梓会Y’sサイエンスクリニック広尾 統括院長]
「食欲」というように、欲を満たしてくれる“食”。ストレスを感じたときなど、心を満たすためについつい食に走る人も多いはず。おいしい食べ物を食べたり、お腹がいっぱいになったりすると、幸せな気持ちになりますよね。
そのような人は、“食べること”だけが幸せなのではなく、趣味などを持って他のことに没頭するのも良いでしょう。恋愛すると食欲が抑えられるように、脳が満足していると食欲は抑えられます。
42歳で-15kgに成功した日比野佐和子医師のダイエット方法とは?
【2】耳ツボ
教えてくれたのは、小林英健先生
[学校法人近畿医療学園 近畿医療専門学校 理事長。株式会社KMC小林整骨院グループ 総院長]
足裏に全身のツボがあるように、耳にも全身のツボが分布しています。中でも、食欲抑制効果に期待できるツボは「飢点(きてん)」と「肺(はい)」です。
《耳ツボマッサージのやり方》
1. 耳全体を軽く揉みほぐし、柔らかくしてから始めると効果的。
2. 先端に丸みのある綿棒などで、刺激したいツボを1日5回程度押しましょう。
※イタ気持ちいいくらいの強さで。入浴後など血流がいい状態で行うのもおすすめです。
【3】レモン果汁
教えてくれたのは、工藤孝文先生
[ダイエット外来医師、肥満治療評論家]
脂肪細胞から分泌される「アディポネクチン」は“痩せホルモン”といわれ、分泌量が多いと運動したのと同様の脂肪燃焼効果が得られて、太りにくい体になることがわかっています。
肥満になると分泌が減少する性質をもつアディポネクチン。分泌を促すためには、レモンの力を借りるのもおすすめです! レモンの香りや刺激は交感神経を高めて満腹中枢に働きかけ、空腹ホルモンといわれる「グレリン」を抑え込みます。さらに、満腹ホルモンといわれる「レプチン」の分泌も促進します。
満腹になるまでタイムラグがあるため、食事の20分前にレモン水を飲んでおくのが満腹中枢に働きかけるポイントです。
【4】タンパク質
教えてくれたのは、杉山力一先生
[杉山産婦人科院長。婦人科系の悩みをテーマとした不妊治療の名医]
タンパク質を補うことで、食欲を抑えられる場合があります。タンパク質が不足していると、わたしたちのからだに必要な「必須アミノ酸」という栄養分が十分に吸収されなくなるため、からだが栄養を欲しがる状態に。よって、過食気味になりやすくなるのです。
タンパク質というと肉類のイメージが強いかもしれませんが、カツオ、アジ、サバ、マグロ、鮭などの魚もおすすめです。
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【5】玉ねぎヨーグルト
血液サラサラ効果が期待できる玉ねぎ × 腸内環境を整えるヨーグルト。玉ねぎヨーグルトは、腸内細菌が短鎖脂肪酸(※)を作り出すことにより、食欲・代謝アップなどダイエットにいい効果が期待できます。
※腸菅ホルモンの分泌を活性化させて食欲を抑えたり、代謝を高める働き
《玉ねぎヨーグルトのレシピ》
【材料】
玉ねぎ:1/2個(100g)
無糖ヨーグルト:200g
塩:小さじ1/2
【作り方】
1. 玉ねぎは繊維と垂直の方向に薄切りに(スライサーを使用してもOK)。辛味成分が抜けやすくなり、食感もやわらかくなります。
2.[1]の玉ねぎを30分ほど追いて辛味を飛ばします。ざるなどに広げてなるべく空気にさらすようにするのがおすすめ。(辛味が気にならなければこの工程は省いてOK)
3.[2]の玉ねぎとヨーグルト、塩を混ぜ合わせます。保存容器の中で混ぜても◎
4. すぐに食べられますが、ふたをして冷蔵庫で一晩おくと、玉ねぎがしんなりとして食べやすくなります。
※2〜3日で食べ切りましょう。
腸内環境は2週間程度で変わると言われています。玉ねぎヨーグルトを食べはじめるとまれにお腹がゆるくなることも。これは、体にあわないのではなく腸内環境が変化して起こることなので、様子を見ながら続けてください。
【肥満治療薬】食欲を抑える“やせ薬”
◆インクレチン
教えてくれたのは、増富健吉先生
[国立がん研究センター研究所 がん幹細胞研究分野分野長。医学博士]
食事をすると、色んなホルモンや消化酵素が腸管などから分泌されます。これは、消化管の運動をうながして食べ物を消化したり、食事で上がった血糖を下げるための「インスリン」の分泌を促進するためのものです。
そのなかでも注目されているのが「インクレチン」というホルモン。インクレチンはインスリンの分泌を促すため、糖尿病の治療薬として使われているのですが、食べ物を胃に停滞させる作用と食欲抑制作用もあったのです。
そもそもが体内で分泌されるホルモンですから、想定される悪影響も最少限とくれば本当に夢のよう。肥満の人が多い欧米では、実際の肥満治療薬として効果を発揮しているのも事実です。
ただ残念ながら、日本では糖尿病の治療薬としてしか国が認めていませんので、やせ薬として使おうとすれば、自己負担でしか購入できません。それでも興味がある場合は「GLP-1受容体作動薬」で調べてみてください、色々と情報がでてきます。
最後に
忙しく働きながら抱える日常のストレス。「さらに食欲のストレスを上乗せしたくない」「食を細くして胃を小さくしたい」… そんな女性が知っておくべき、食欲が増進する状態や、食欲抑制におすすめの方法を紹介しました。食べ方以外にも改善できる方法って意外とあるのですね。
外出しにくく運動不足になりやすい今の生活環境。心身のために少しずつ取り入れていきましょう。
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