「杓子定規」の意味とは?簡単に基礎知識を解説
「杓子定規」は、一般的に少しネガティブなニュアンスで使われる言葉です。読み方は〈しゃくしじょうぎ〉で、人の性格などを表すときによく使われます。
それでは、杓子定規とはどのような言葉なのか、基礎知識を確認しましょう。詳しい意味や語源・由来、使い方・例文、杓子定規な人の性格や特徴、使う際に注意するポイントなどを解説します。
意味は頭が固いやり方や態度など
杓子定規とは、頭が固いやり方・態度を意味する四字熟語です。何でもひとつの形式に当てはめていて、融通や応用がきかないこと、また柔軟性がないことなどを指します。
たとえば、決まった考えや形式にこだわる融通のきかない相手に対して、「杓子定規な考え方だ」「杓子定規な対応」などと表現します。
もともとは、誤った基準で物事を判断することを表現する際に使われることが多い言葉でした。
杓子定規の語源・由来
言葉の由来は、「杓子」の柄を定規の代用としたことだといわれています。杓子(しゃくし)とは、ご飯や味噌汁などをすくいとる調理器具です。「おたま」や「おたまじゃくし(お玉杓子)」、「しゃもじ(杓文字)」ともいいます。
かつて使われていた杓子の柄は、たいてい湾曲していたそうです。そのような曲がった杓子の柄を無理やり定規と同じように使おうとしても、正しくはかれるはずがありません。
基準自体がそもそも正しくないものであることから、間違った基準で物事を判断する意味で使われるようになったようです。その後、意味が転じて頭が固い態度などを表すようになったといわれています。
「杓子定規な対応」などの使い方・例文
実際に使う際は、「杓子定規な対応だ」「杓子定規に(~する)」などと使用します。それでは、実際にイメージしやすいように、使い方を例文で簡単に確認しましょう。
・あの人はいつも杓子定規な考え方をする。
・気になったことをコールセンターに問い合わせてみたが、話を聞かず杓子定規に扱われたように感じた。
・マニュアルしか気にしないのは杓子定規に過ぎる。
「杓子定規な考え方」のように人や性格を表す使い方、「杓子定規に扱う」といった配慮が足りないときの使い方、語気を強めた「杓子定規に過ぎる」などの使い方があります。
杓子定規な人にみられる性格や特徴
杓子定規な人だと表現されやすい頑固な人の性格や特徴は、以下のようなものが挙げられます。
・自分の考えや価値観に自信がある
・「〜すべき」などの言葉をよく使う
・どのような場面でも自分の意見をつらぬく
・間違いを認めない
杓子定規な人は、多くの人にとっても自分の考えや価値観が普通であると考えがち。また、その基準から外れたことをいわれても受け入れず、自分の意見を貫こうとする傾向にあるでしょう。
▼あわせて読みたい
杓子定規を使う際に注意するポイント
杓子定規という言葉を使う際には、相手を批判するようなネガティブなニュアンスがあることに注意が必要です。先述のとおり、杓子定規とは何でもひとつの基準に当てはめてさまざまなことを判断しようとすること、融通や応用がきかないことなどを指します。
相手に対して杓子定規という表現を使うと、「頑固な人だ」「もっと融通をきかせればいいのに」という批判をされたととられる可能性があることに気をつけましょう。
杓子定規の関連語もチェック!
杓子定規に関連する言葉もあわせて確認しておきましょう。
杓子定規の類語・言い換え表現や対義語表現は、以下のとおりです。
〈類語・言い換え表現〉
・四角四面(しかくしめん)
・頑固一徹(がんこいってつ)
・融通(ゆうずう)がきかない
・マニュアルどおり
〈対義語表現〉
・臨機応変(りんきおうへん)
・融通無碍(ゆうずうむげ)
・ケースバイケース
・フレキシブル
それでは、これらの関連語の意味を解説します。
杓子定規の類義語・言い換え表現
類語・言い換え表現の例は、以下のとおりです。
・四角四面(しかくしめん)
……真面目過ぎて堅苦しいこと。非常にかしこまっていること。そのさま。
・頑固一徹(がんこいってつ)
……非常にかたくなで、自分の考えや態度を押し通そうとするさま。そのような性格。
・融通(ゆうずう)がきかない
……考え方や行動がかたよっていて、改められない性格であること。
・マニュアルどおり
……物事のありようが事前に決まっていること。物事が型にはまっているさま。
たとえば、「彼は四角四面な人で、なかなか打ち解けられない」などと使います。
▼あわせて読みたい
杓子定規の対義語表現
対義語表現の例は、以下のとおりです。
・臨機応変(りんきおうへん)
……その場にあわせて、適切な手段をとること。その様子。
・融通無碍(ゆうずうむげ)
……考え方や行動などにとらわれるところがなく、自由に対応できること。
・ケースバイケース
……原則や方針を決めないで、場面に応じて物事を処理すること。
・フレキシブル
……融通がきくこと。柔軟なこと。
たとえば、「マニュアルにとらわれ過ぎず、臨機応変に対応しよう」などと使います。
▼あわせて読みたい
杓子定規という言葉を正しく理解しよう
杓子定規とは、頭が固いやり方や態度などを意味する四字熟語です。また、曲がった杓子を定規の代わりにしようとしたという由来から、間違った基準で物事を判断することを指す場合もあります。相手を批判するようなネガティブなニュアンスがある言葉のため、人に対して使う際は注意が必要です。
杓子定規の類義語・言い換え表現は、「四角四面(しかくしめん)」「頑固一徹(がんこいってつ)」などです。また、対義語表現には、「臨機応変(りんきおうへん)」「融通無碍(ゆうずうむげ)」などがあります。
言葉の詳しい意味や使い方、関連する表現などをあわせて確認し、多くの言葉を正しく使えるようになりましょう。
メイン・アイキャッチ画像:(C)AdobeStock